書評ブログ

『「俺のイタリアン」を生んだ男「異能の起業家」坂本孝の経営哲学』

人気レストラン「俺のシリーズ」で、料理人に夢を与える「第三の選択肢」を提供している起業家・坂本孝の経営哲学を書いた本があります。

 

 

本日紹介したいのは、大手金融機関やベンチャー企業CFOなどを経て現在、東京工科大学教授尾崎弘之さんが書いた、こちらの書籍です。

 

 

尾崎弘之『「俺のイタリアン」を生んだ男「異能の起業家」坂本孝の経営哲学』(IBCパブリッシング)

 

 

この本は、「ブックオフ」「俺の株式会社」という、まったく異なる新たなビジネスをゼロから立ち上げ成功に導いた異能の経営者の坂本孝経営理念を分析・紹介している書です。

 

 

ブックオフは、中古書店業界に革命を起こし、新たな市場を開拓し、2013年3月期で売上766億円というビッグビジネスに成長しました。

 

 

また、「俺のイタリアン」「俺のフレンチ」など、「俺のシリーズ」を展開する俺の株式会社も、急速な新業態開発と店舗展開により、急成長を続けています。

 

 

連日、行列を作って満席が続く「俺のシリーズ」は、外食業界に革命を起こしている、と坂本孝社長の師匠である稲盛和夫(京セラ創業者)さんは言います。

 

 

 

本書は、①「ブックオフ」を「俺のイタリアン」につなげたイノベーション、②「異能の起業家」坂本孝の魅力、という二本柱に分けて、以下の10部構成から成っています。

 

 

1.「俺のシリーズ」と「イノベータDNA」

 

2.一見無関係なものをマッチングさせる

 

3.現状に異議を唱える質問をする

 

4.周囲を観察して洞察やアイディアを得る

 

5.多様なネットワークから情報を得る

 

6.新しいアイディアを常に実験する

 

 

7.「坂本孝」の起業家DNA

 

8.「利他主義」で人を動かす

 

9.希望と夢を与える

 

10.役割と裁量を与えて人材を使いこなす

 

 

本書の冒頭で著者は、現代のイノベーション研究の第一人者であるクレイトン・クリステンセン『イノベーションのDNA』(Harvard Business School Press)を紹介して、坂本孝「物事の本質を発見する力」を解説しています。

 

 

 

上記のクリステンセンの本では、以下の5つの「発見するためのスキル」が紹介されていて、坂本孝の例に当てはめて説明しています。

 

 

1.マッチング思考力

 

2.質問力

 

3.観察力

 

4.ネットワーク力

 

5.実験力

 

 

上記1番目の「マッチング思考力」は、原書の翻訳書では「関連付ける力」とされていて、まさに異業種や一見関係なさそうなことを関連付けて結び付ける力のことです。

 

 

こうした「関連付ける力」が、異能の起業家と呼ばれる坂本孝の真骨頂でしょう。ブックオフを起業した時は、中古ピアノ販売で経験した「磨く」ビジネスや、徹底したマニュアル化を実現したマクドナルドを参考にした、と言います。

 

 

この本でとくに参考になったのは、ブックオフや「俺のシリーズ」のような画期的なビジネスモデルで市場を切り拓いたビジネスでも、最初の立ち上げは、消費者に理解されなかった、ということです。

 

 

ブックオフでは、仕入れがポイントだそうですが、「古書高価買い入れ」「売ります、買います」というチラシではまったく効果が無く、キャッチコピーを「読み終わった本、お売りください」に変えた途端に、凄い勢いで本が集まり出した、ということです。

 

 

消費者目線とか、お客様の立場で、と様々な経営者が言いますが、ちょっとした工夫や気遣いですが、実践するのは難しい、ということでしょう。

 

 

「俺のイタリアン」でも、料理や食材には絶対の自信があったものの、その違いがなかなかお客様に理解されなかった、と言います。

 

 

そこを打破したのは「口コミでお客を増やす工夫を十分にやっているか」ということでした。

 

 

 

本書の後半は、異能の起業家・坂本孝の魅力を、その人生をなぞる形で紹介しています。

 

 

何と言っても、京セラ創業者で、KDDIの立ち上げJAL(日本航空)の再建などで、圧倒的な実績を挙げた稲盛和夫さんとの出会いが大きな転機でした。

 

 

稲盛哲学とも言われる「利他主義」で人を動かす経営は、坂本孝社長の最も大切にする経営理念です。

 

 

坂本社長が「俺のシリーズ」で、消費者に一流の美味しい料理をリーゾナブルな価格で提供する、という思いに加えて、もう一つの「熱い思い」は意外と知られていません。

 

 

それは、海外の三ツ星レストランなどで修行してきた一流シェフが、その実力を発揮する舞台が日本にはないため、そのやりがいある舞台を用意しよう、という思いです。

 

 

厨房設備や空間は、一流ホテルやレストランに遠く及ばないものの、納得できる食材を使い、自分の裁量で料理が出来る魅力は、大きなやりがいになっている、ということです。

 

 

本書の巻末には、著者がインタビューした人の一覧と参考文献が記されていて、参考になります。

 

 

あなたも本書を読んで、経営とは何なのかを、身近に感じてみませんか。

 

 

 

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では、今日もハッピーな1日を

 

 

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