書評ブログ

『相続格差「お金」と「思い」のモメない引き継ぎ方』

「相続には2つの『格差』があると考えるようになりました。」と述べている長年、相続専門の税理士として、多くの相続を間近で見てきた著者の本があります。

 

 

本日紹介するのは、1951年生まれ、慶應義塾大学経済学部卒業、アーサーアンダーセン会計事務所を経て、1980年より税理士法人レガシィ代表社員税理士、公認会計士、宅地建物取引士、CFP天野隆さんが書いた、こちらの書籍です。

 

天野隆『相続格差「お金」と「思い」のモメない引き継ぎ方』(青春新書)

 

 

この本は、相続の専門家の集大成として、相続を通じて幸せになるためのヒントを伝えるために書かれた書です。

 

 

本書は以下の6部構成から成っています。

 

1.2万件以上の相続から見えてきた、2つの「相続格差」

2.親子の「相続格差」

3.きょうだいの「相続格差」

4.夫婦の「相続格差」

5.「プラス思考」で「相続格差」を乗り越える

6.特別対談「一番大切な財産」に気づく幸福学

 

 

この本の冒頭で著者は、相続の「2つの格差」とは、財産の分け方の不平等による「お金の相続格差」と、相続に不満が残ったか相続で幸せになったかによる「「心の相続格差」である、と述べています。

 

 

本書の前半では、「2万件以上の相続から見えてきた、2つの相続格差」について、以下のポイントを説明しています。

 

◆ 実は「法定相続分」に従って分けなくてもいい

◆「勘定(お金)」より「感情(心)」でモメることがほとんど

◆ 一番大切なのは、相続する人の「考え方」

◆ うまくいく相続のキーワードは「プラス思考」

 

◆ プラス思考になるための「ツキカエタ」の法則

◆「ツ」: ツイている人は、ツイている人とつきあうとさらにツキがつく

◆「キ」聞き上手、「カ」感謝上手、「エ」笑顔上手、「ダ」他人に親切上手

◆ 他人と比較しない、比較していいのは「過去の自分」と「未来の自分の理想像」

◆「変えられないもの」にこだわらず、「変えられるもの」に取り組むこと 

 

 

この本の中盤では、親子の相続格差」およびきょうだいの相続格差」について著者の見解を紹介・解説しています。主なポイントは次の通りです。

 

◆ 相続は、「相(姿)」を続けるという「精神的な意味」

◆ 相続は、土地や財産を受け継ぐという「金銭的な意味」

◆ 目に見えない争族財産(=思い出、思い、生き方など)に注目すること

◆ 1つの家に、相続は2回やってくる

 

◆ 相続対策をしても、親は何の得にもならない

◆「勘定(金)」ばかりを念頭において「感情(心)」を無視した相続税対策は親が喜ぶものではない

◆ 一石二鳥、三鳥にもなる「記念館づくり」

◆「生前贈与」には向き、不向きがある

 

◆ 親が認知症になる前に対策を打っておかなくてはならない

◆ 魔法の質問「何か億劫なことある?」

◆ 遺言書を残している人は、わずか11%

◆ 自筆証書遺言、公正証書遺言の他に「秘密証書遺言」がある

 

◆ 遺言書の「付言事項」は親から子へのラブレター

◆「思い」や「生き方」も、立派な相続財産

◆「財産残して銅メダル、思い出残して銀メダル、生き方残して金メダル」

◆ コミュニケーション円滑化に効果的な「1人帰省」

 

◆ 親の課題と子の課題は別物と考える「課題分離」が大切

◆「誰の課題なのか?」は、最終的な結果が誰に降りかかるのかでを考えればわかる

◆ 親と子が「変えられないもの」と「変えられるもの」を分けて考える

◆ 争族による不動産登記をしないと、地面師に狙われるリスクも

 

 

本書の後半では、夫婦の相続格差」および「プラス思考で相続格差を乗り越える」について考察しています。主なポイントは以下の通り。

 

◆ 夫婦で互いの実家の相続はなるべくオープンに

◆ 相続がきっかけで熟年離婚になるケースも

◆ 稲盛和男師の教え「考え方が変われば人生が変わる」

◆ 船井幸雄氏が説く「プラス発想」「素直」「勉強好き」

 

◆ プラス発想には、「過去はすべて善」「どんなことにも感謝」「つき合う人を選ぶ」

◆ アドラーの三角柱「かわいそうな私」「悪いあの人」「これからどうする」

◆ 相手と比較すると「マイナス思考」に

◆ プラス思考になる口グセを(ツイてる、幸せだな、チャンスだなど)

 

 

この本の巻末には、著者の天野隆さんと、前野隆司・慶応義塾大学SDM研究科教授との【特別対談】「一番大切な財産に気づく幸福学」が掲載されています。主なポイントは次の通りです。

 

◆ 幸せの四つの因子は、①「やってみよう」因子、②「ありがとう」因子、③「なんとかなる」因子、④「ありのままに」因子

◆ 親には生んでくれただけでも感謝しかない

◆ ロジカルな思考による「いい楽観」が大切

◆「争族」とは親による最後の子育て

 

 

あなたも本書を読んで、2つの「相続格差」について学び、「お金」と「思い」のモメない引き継ぎ方を実践してみませんか。

 

 

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では、今日もハッピーな1日を!【2917日目】