「本書を書き終えた今、この先病気になろうが、仕事がなくなろうが、一文無しになろうが、世の中すべてを敵に回そうが、役所で適当にあしらわれて追い返されようが、ビクともしないだけの情報を身につけている。いわば『無敵』の状態だ。」と述べている本があります。
本日紹介するのは、1975年北海道生まれ、フリーターなどを経て2000年、自伝的エッセイ『生き地獄天国』(太田出版)でデビューした作家・活動家、反貧困ネットワーク世話人の雨宮処凛さんが書いた、こちらの書籍です。
雨宮処凛『死なないノウハウ 独り身の「金欠」から「散骨」まで』(光文社新書)
この本は、「働けなくなったら、お金がなくなったら、親の介護が必要になったら、それで仕事を続けるのが難しくなったら、そして自分が病気になったり入院した時、頼る人もいなければどうしたらいいだろうか?」という疑問から始まって取材を重ね、そんな不安を解消すべく、情報を集めまくった一冊です。
本書は以下の7部構成から成っています。
1.私の経験
2.お金 ― 社会福祉士・横山北斗さんに聞く
3.仕事 ― プレカリアートユニオン執行委員長・清水直子さんに聞く
4.親の介護 ―「みんなの介護」編集部/一般社団法人LMN・遠藤英樹さんに聞く
5.健康 ― CSRプロジェクト・桜井なおみさんに聞く
6.トラブル ― 相談室ぱどる・原昌平さんに聞く
7.死 一 般社団法人LMN・遠藤英樹さん/相談室ぱどる・原昌平さんに聞く
この本の冒頭で著者は、「がんになった場合に使える制度から『親の介護』を考えた時にまず相談する先、高齢者施設の種類と平均月額・平均入居一時金額、はたまた自分が死んだ後のペットの世話やパソコンやスマホの処分、それだけでなく遺言や散骨の方法まで網羅する結果となった。」と述べています。
本書の前半では、「私の経験」および「お金 ― 社会福祉士・横山北斗さんに聞く」ついて、以下のポイントを説明しています。
◆ 思いもしなかった就職氷河期世代の「30年も非正規社員」
◆「ネット心中」の流行
◆ 世界同時進行の不安定な「プレカリアート」
◆ 2008年末の「年越し派遣村」によって可視化された貧困
◆ 生死を分ける「情報」
◆ 家賃が払えない人の「住居確保給付金」
◆ 病院に行けない人の「無料低額診療」
◆ ネットカフェで携帯が止まって「生活保護」申請
◆ 生活保護申請を止める「扶養照会」
◆ ブラックリスト入りしても契約できる携帯
◆ 難病医療費助成制度と高等教育の修学支援新制度
◆ 生活福祉資金、遺族年金
◆ DV被害の支援措置、行方不明者の不受理措置
この本の中盤では、「仕事 ― プレカリアートユニオン執行委員長・清水直子さんに聞く」および「親の介護 ―「みんなの介護」編集部/一般社団法人LMN・遠藤英樹さんに聞く」について解説しています。主なポイントは次の通りです。
◆ 違法で無効な解雇
◆ 解雇を受け入れるなら「解雇予告手当」
◆ 未払い賃金立替払制度
◆ 労災保険や傷病手当金
◆ 介護が必要になったら「地域包括支援センター」に連絡
◆ まずは要介護認定
◆ 介護施設の種類や特徴を把握する
◆ 施設で好かれるのは、いつも笑っている機嫌のいい人
◆ LMNとは、Life(生活)、Medical(医療)、Nursing(介護)の組合せ
◆ 延命にまつわる決断は家族で
本書の後半では、「健康 ― CSRプロジェクト・桜井なおみさんに聞く」「トラブル ― 相談室ぱどる・原昌平さんに聞く」および「死 一 般社団法人LMN・遠藤英樹さん/相談室ぱどる・原昌平さんに聞く」について考察しています。主なポイントは以下の通り。
◆ 治療補がかさんでしまったら「高額療養費」
◆ 日進月歩のがん治療
◆ やっぱり柔軟な働き方、これに尽きる
◆ 遠くの親が使える「日常生活自立支援事業」
◆ 後見人が行う「財産管理」と「身上監護」
◆ 家族に借金の返済義務はない
◆ 散骨は許可を取らなくてもできる
◆ 遺産を寄付したい場合は、死因贈与契約
この本の締めくくりとして著者は、「不安がなくなると、人は優しくなる」と述べています。
あなたも本書を読んで、独り身の「金欠」から「散骨」までの「死なないノウハウ」を身につけてみませんか。
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では、今日もハッピーな1日を!【3337日目】