書評ブログ

『経済評論家の父から息子への手紙 お金と人生と幸せについて』

「お金の稼ぎ方、増やし方で、『不利な側』には回ってほしくない。世間に流されてぼんやりと働いていると、一方的に『利益を提供する側』に回って損をする。資本主義はそういう仕組みになっている。」と述べている本があります。

 

本日紹介するのは、1958年北海道生まれ、東京大学経済学部卒業後に、三菱商事に入社、野村投信、住友生命、住友信託、メリルリンチ証券、パリバ証券、山一證券、明治生命、UFJ総研など12回の転職を経験、コンサルタントとして資産運用分野を専門に手掛けるほか、経済解説や資産運用を中心に、メディア出演、執筆、講演会などを多数行ってきた経済評論家山崎元さんが書いた、こちらの書籍です。

 

山崎元『経済評論家の父から息子への手紙 お金と人生と幸せについて』(Gakken)

 

この本は、かつての働き方がなぜダメなのかを確認して、どのように働くのが有利なのかを理由と共に説明して、その上で、一生を通じて役に立つお金の扱い方、幸せな人生を送るためのあれこれなどを経済の仕組みとともにコンパクトに伝えてくれる書です。

 

 

本書は以下の4部構成から成っています。

 

1.働き方・稼ぎ方

2.お金の増やし方と資本主義経済の仕組み

3.もう少し話しておきたいこと

4.小さな幸福論

 

この本の冒頭で著者は、「働き方・稼ぎ方について考えるには大学に入ったくらいのタイミングがいい。卒業時点では少し遅い。18歳から大人なのだ。」と述べています。

 

 

本書の前半では、「働き方・稼ぎ方ついて、以下のポイントを説明しています。

 

◆ 人事は、基本的に好き嫌いで決まる

◆「新しい働き方」は効率性と自由を求める

◆ 常に適度なリスクを取る、他人と異なることを恐れず工夫をする

◆ 株式で稼ぐ働き方を実践する:①自分で起業、②早い段階で起業に参加、③報酬の大きな部分を自社株やストックオプションで、④企業の初期段階で出資

◆ 株式性の報酬には複数の魅力がある

 

 

この本の中盤では、「お金の増やし方と資本主義経済の仕組みについて解説しています。主なポイントは次の通りです。

 

◆ 資本主義経済は、リスクを取りたくない人間からリスクを取ってもいい人間が利益を吸い上げるようにできている

◆ お金の運用について必要な基本は、①生活費の3~6か月分を銀行の普通預金にとりわけ、残りを「運用資金」にする

◆ ②運用資金は全額「全世界株式のインデックスファンド」に投資する

◆ ③運用に回せるお金が増えたら、同じものに追加投資する、お金が必要になったら必要なだけ部分解約して使う

 

◆ 運用の三原則は「長期」「分散」「低コスト」

◆ アクティブファンドがダメな理由は「平均投資有利の原則」

◆「全世界株式」を選ぶ理由も「平均投資有利の原則」

◆ 株式投資の目的は「リスクプレミアムのコレクション」

 

◆「取り替え可能」な労働者は立場が弱い

◆「他人と同じ」を求めるだけでは幸せになれず、不利な方への重力が働く

◆「労働者タイプB」をほどほどにめざせ

◆ 株式のリターンは成長からではなく株価形成から生じる

 

◆ 保険とは「損な賭け」のこと

◆ お金はシンプルの管理しておおらかに使う

◆ 自己投資の中味は、①知識、②スキル、③経験、④人間関係、⑤時間

◆ 経済格差は「資本のリスク」と「リーダーシップ」から生じる

 

 

本書の後半では、「もう少し話しておきたいこと」および「小さな幸福論」について考察しています。主なポイントは以下の通り。

 

◆ 人材価値 =(能力+実績)× 持ち時間

◆ 人間関係の基本は「時間厳守」と「爽やかな挨拶」

◆ キャリアプランニングで意識する28歳、35歳、45歳

◆ 小さくても副業のチャンスは逃がすな

 

◆ 幸福の決定要素は「自己承認感」

◆ お金と自由は緩やかに交換可能

◆ 仲間内の賞賛には高い価値がある

◆ 自分の嬉しいことを言語化:正しくて、面白いことを、たくさんの人に伝える

◆ モテる秘訣は、心からの興味を示しながら、相手の話を熱心に聞くこと

 

この本の巻末には、「付記 大人になった息子へ」という息子への手紙全文が掲載されています。

 

本書の締めくくりとして著者は、「幸福感は一時のもので、人生は通算成績で計るものではない」と述べています。

 

 

あなたもこの本を読んで、お金と人生と幸せについて考えてみませんか。本年1月1日に亡くなった著者・山崎元さん(享年65歳)のご冥福を心よりお祈り申し上げます。

 

 

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では、今日もハッピーな1日を!【3336目】