書評ブログ

『増補 社会原理序説 ―それでも変わらない根本的なこと』

「日本人は、ゼロから自分の頭で『人間とはこういうことではないか?』『社会とはこういうことではないか?』と考える必要があるのではないか」と述べて、「社会原理」という大きなテーマに取り組んでいる本があります。

 

 

本日紹介するには、1966年京都府生まれ、京都大学経済学部を卒業後、電通を経て渡米、カリフォルニア大学バークレー校でMBAを取得、シリコンバレーでベンチャー企業に参加、2001年にアメリカ映画の製作に参加したことをきっかけに映画作りを続けて、現在は著述家、映画監督、大学講師として活動している阪原淳(さかはら あつし)さんが書いた、こちらの書籍です。

 

 

阪原淳『増補 社会原理序説 ―それでも変わらない根本的なこと』(dZERO)

 

 

この本は、学問も哲学も非常に創造的なものであり、環境や職業、知識レベルなどに関係なく、人々が問い続け、考え続ける「知的な営み」であると信じる著者が、その手がかりとなって「知的な営み」の一助になるためのものとして書かれた書です。

 

 

 

本書は以下の「17の問い」に関して、著者なりの「答え」の例として「著者の考え」を記し解説する構成となっています。

 

 

1.社会とは何か

 

2.社会はどのように発展していくのか

 

3.経済とは何か

 

4.四つの階層のコーン

 

5.マダルの虎

 

6.価値観とは何か

 

 

 

7.政治とは何か

 

8.社会の価値観を作っているのはだれか

 

9.社会を変革するのはだれか

 

10.仕事とは何か

 

11.起業家になろうとする君へ

 

12.科学者、技術者になろうとする君へ

 

 

 

13.大組織で働こうとする君へ

 

14.教育、メディア、宗教で働こうとする君へ

 

15.政治家になろうとする君へ(1)

 

16.政治家になろうとする君へ(2)

 

17.世界で一番のトマト

 

 

 

この本の冒頭で著者は、「社会原理序説」とは、つまり、「社会」の「根本となる仕組み」について、「私なりの考え、理解を発表してみよう」ということです、と述べています。

 

 

 

そして、人間の集団、集落、共同体が、決まりや制度を持つときに「社会」になる、と説明しています。それはやがて、村や町、国などの政治的な制度になっていくのですが、多くの場合は、その土地の気候、風土、天然資源、自然環境に強い影響を受けて、個性を作ってきたのです。

 

 

 

「社会原理序説」は、新しい形の社会になっても変わることのない「根本的な仕組み」について説明しているもので、最も大切な考え方は「弁証法」だと提唱しています。

 

 

 

弁証法といえばヘーゲルの「弁証法的展開」が有名で、ハンバーガーを用いて分かりやすく説明しています。ハンバーガーは、一つの皿にバンズとハンバーグをのせ、ナイフとフォークで切りながら食べたらバンズの味とハンバーグの味ですが、バンズにハンバーグを挟んで食べると「えもいわれぬ味」「もっとおいしい味」になります。

 

 

 

この味の次元をあげる「もっと」哲学の用語では「止揚」とか「アウフヘーベン」と言い、異質なものの間で「弁証法的展開」が起こったと捉えるのです。これが「ハンバーガーの弁証法的展開」だと著者は解説しています。

 

 

 

続いて、経済とは何か四つの階層コーン(自然・経済活動・政治活動・価値観)を紹介し、「権利」とは自然から見れは非常に脆弱だという例を挙げています。

 

 

 

次に、価値観とは何か、政治とは何か、社会の価値観を作っているのはだれか、および社会の変革をするのはだれか、について考察しています。上記の4つの階層コーンの関係を整理して説明しています。

 

 

 

本書の中盤では、仕事とは何か、を説明し、起業家になろうとする者、科学者・技術者になろうとする者、大組織で働こうとする者、教育・メディア・宗教で働こうとする者、政治家になろうとする者に向けて、大切なポイントやメッセージを記しています。

 

 

 

最後の「問い」の「答え」として著者は、「世界一の自分」になること、そこに幸せな生き方への手がかりがあることを説明しています。

 

 

 

この本の後半に、以下の「6つの補遺」が掲載され、4つの階層コーン(自然・経済活動・政治活動・価値観)について、さらに考察を深めています。

 

 

1.技術はどのように生まれ、浸透するか

 

2.4つの階層の変化スピード

 

3.会社とは何か

 

4.非正規雇用とムラ社会

 

5.ギグエコニミーの本質は何か

 

6.完全情報社会

 

 

 

いずれも変化の激しい現代情報社会における興味深いテーマで、深い洞察がなされていて参考になります。詳細を知りたい方はぜひ、本書を手に取ってお読みください。

 

 

 

この本の巻末には、付録として「正解のない問題集」ワークブックとして添えられています。以下の「12の問い」が紹介されています。

 

 

◆ 未来の社会はどんな姿になっているか

 

◆ 歴史の区切り方にはどのような方法があるか

 

◆ ヘーゲルの弁証法で説明できることを一つ挙げよ

 

◆ 日本語はどう変化してきたか

 

◆ どんな経済体制がよいか

 

◆ 価値をどのように決めるか

 

 

 

◆ なぜ「王」がいるのか

 

◆ 「所有」のない社会はありうるか

 

◆ どのように決めるか

 

◆ 戦争が起こるのはなぜか

 

◆ 才能とは何か

 

◆ 志が折れる理由は何か

 

 

 

著者の阪原淳さんが弁証法を分かりやすく解説した、こちらの本もお薦めです。ぜひ併せてお読みください。

 

 

『直線は最短か?~当たり前を疑い創造的に答えを見つける実践弁証法入門~』(YAMAHA)

 

 

 

ブログの書評は、2020年6月23日付記事で、こちらです。

 

『直線は最短か?~当たり前を疑い創造的に答えを見つける実践弁証法入門~』「僕がこれまでの人生の中で、どのように弁証法を生かしてきたかを紹介しつつ、弁証法の使い方を考えていきます。」と述べている本があります。 ...

 

 

 

本書の締めくくりとして著者は、「私たちは答えも手本もない時代を生きています。」と述べています。あなたもこの本を読んで、答えのない時代を生きるために「根本原理」に着目し、そこから先は自分で考えられる力を武器にして生きていくことを目指してみませんか。

 

 

 

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では、今日もハッピーな1日を!【2494日目】