「長生きするのは本当に幸せなの?」という問いかけに対する答えとして、改めて長生き老後を楽しく生き抜くための方法を図解した本があります。
本日紹介するのは、1957年東京都生まれ、東京大学経済学部卒業、日本専売公社、経済企画庁、UFJ総合研究所などを経て、現在は経済アナリスト、獨協大学経済学部教授で、50年間集めてきたコレクションを展示するB宝館(埼玉県所沢市けやき台2-32-5)が話題の森永卓郎さんが書いた、こちらの書籍です。
森永卓郎『長生き地獄にならないための老後のお金大全』(KADOKAWA)
この本は、夫婦の年金「月額13万円時代」でも、老後を心豊かに楽しく暮らすアイデアが満載の「失敗しないマネー版 LIFE SHIFT」のススメの書です。
本書は以下の7部構成から成っています。
1.年金
2.定年後の仕事
3.家計・節約
4.老後資金・運用
5.医療・介護
6.終の棲家
7.相続・贈与
この本の冒頭で著者は、年金13万円でも働かずに、ある程度は自分の好みに合ったライフスタイルの選択肢として、以下の3つを挙げています。
◆ 大都市で暮らす
◆ 田舎に移住する
◆ トカイナカで暮らす
以上の3つの選択肢のうち、若い世代であれば田舎暮らしを、中高年であればトカイナカを選ぶのがよい、と著者は述べています。
本書の前半では、「年金」および「定年後の仕事」について、以下のポイントを説明しています。
◆ ねんきん定期便で自分の年金額を確認する
◆ 年金月額13万円で老後の生活設計を
◆ ねんきんネットで年金額をシミュレーションする
◆ 年金を繰り下げると社会保険料が増えて損をする
◆ 年金の繰り上げ受給で住民税を非課税にする裏ワザ
◆ 今後の経済社会に必要な4原則:➀大規模から小規模へ、②グローバルからローカルへ、③集中から分散へ、④中央集権から地方分権へ
◆ 定年後に働き続けても非正規短期の労働で、年収は4割減になる
◆ 定年後の就業率は、60代前半で7割、60代後半で5割、70代前半で3人に1人、70代後半以降で10人に1人
◆ 年金生活者の理想的な収入は、年金にプラスして夫婦で月5万円ずつの計月10万円
◆ 最強の武器「住民税非課税」を手に入れろ
この本の中盤では、「家計・節約」および「老後資金・運用」について、著者の見解を解説しています。主なポイントは次の通りです。
◆ 格安スマホに切り替える(格安スマホ利用率25.4%)
◆ クレカノポイントやふるさと納税を活用
◆ スーパーの割引サービスは15日が多い
◆ 株主優待で生活費を下げる
◆ 最も有利な老後資金づくりは iDeCo で税制優遇を受ける
◆ 退職金の「5年ルール」を活用
◆ 日本は長期円安に入った
◆ 仮想通貨は投資ではなくギャンブルと考える
本書の後半では、「医療・介護」「終の棲家」および「相続・贈与」について考察しています。主なポイントは以下の通り。
◆ 後期高齢者(75歳以上)の医療費負担が上がる
◆ いざとなったときは民間の介護施設も視野に
◆ 都会で暮らすならミニマリストになる
◆ 持続可能な社会に貢献する田舎暮らし
◆ トカイナカの魅力は、①豊かな自然がある、②感染リスクが低い、③家賃が安い、④都心に出やすい、⑤生活コストが安い
◆ トカイナカに住めば、マイクロ農業による自産自消が可能
◆ 首都直下型地震に備える
◆「住み開き」で楽しみながら収入を確保する
◆ 遺言は「公正証書」(費用5~6万円)がいい
◆ 相続人が3人の場合の基礎控除は、8000万円から4800万円に4割減
◆ 2020年では死亡者137万人に対して12万人が相続税の課税対象に
◆ デジタル遺産(ネット銀行、ネット証券など)を忘れずに
この本の締めくくりとして著者は、「定年後に働いて収入を増やすよりも、『住民税非課税世帯』として暮らすのが最強だ」と述べています。
ここは、生涯現役で年金の繰り下げ受給と生涯貢献(納税も含む)を理想とする私とは考え方が違う点です。また、資産運用でも「中国株や個別株への投資」を推奨する本書と、米国株インデックス投信の積立投資を勧める私とは考え方が違いました。
但し、「終の棲家」をはじめとする多くの点については、この本に共感し、深く学ばせていただきました。
あなたも本書を読んで、長生き地獄にならないための老後のお金について学び、提示されているノウハウを実践してみませんか。
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では、今日もハッピーな1日を!【2832日目】