書評ブログ

『サイコロジー・オブ・マネー 一生お金に困らない「富」のマインドセット』

「経済的な成果は、知性や努力とは無関係の『運』に左右される部分が大きい」「経済的な成功はハードサイエンス(物理学や数学などの分野)では得られない」と述べている本がある。

 

 

本日紹介するのは、ベンチャーキャピタル「コラボレーティブ・ファンド社」のパートナー、ウォールストリート・ジャーナル紙の元コラムニストモーガン・ハウセルさんが書いた、こちらの書籍です。

 

モーガン・ハウセル『サイコロジー・オブ・マネー 一生お金に困らない「富」のマインドセット』(ダイヤモンド社)

 

 

この本は、お金にまつわる人間心理についてまとめた「ザ・サイコロジー・オブ・マネー」というタイトルのレポートをベースに、人間の「欠点」「偏見」「悪しき行動の原因」などのテーマをさらに深く掘り下げた書です。

 

 

本書は以下の20部構成から成っています。

 

1.おかしな人は誰もいない

2.運とリスク

3.決して満足できない人たち

4.福利の魔法

5.裕福になること、裕福であり続けること

 

6.テールイベントの絶大な力

7.自由

8.高級車に乗る人のパラドックス

9.本当の富は見えない

10.貯金の価値

 

11.合理的>数理的

12.サプライズ!

13.誤りの余地

14.あなたは変わる

15.この世に無料のものはない

 

16.市場のゲーム

17.悲観主義者の誘惑

18.何でも信じてしまうとき

19.お金の真理

20.告白

 

 

この本の冒頭で著者は、「人々の生涯にわたる投資判断は、その人が同時代に経験したこと、特に成人して間もない頃の経験に大きく左右される」と述べています。

 

 

つまり、意思決定は、個人的な過去の出来事や独自の世界観、エゴ、プライド、マーケティング、複雑なインセンティブなどが混じり合い、当人にとって都合の良いストーリーが作られるので、「おかしな人は誰もいない」ということです。

 

 

本書の前半では、「運とリスク」、「決して満足できない人たち」、「福利の魔法」および裕福になること、裕福であり続けること」について、以下のポイントを説明しています。

 

◆ 人生は個人の努力を超えた大きな力に左右される

◆ 再現性のある部分と偶然の運やリスクによってもたらされた部分の割合は分からない

◆ 成功と失敗には運とリスクが大きく影響している

◆ 吐くまで食うな(足るを知る)

 

◆ バフェットの資産の殆どは60代半ば以降に増えたもの

◆ 複利の力は、あなたの想像をはるかに上回る

◆ 裕福になること以上に大切なのは「裕福であり続けること」

◆ 計画通りに進まない可能性を踏まえて計画すること

◆ 投資で絶対避けたいのは市場からの退場 

 

 

この本の中盤では、「テールイベントの絶大な力」、「自由」、「高級車に乗る人のパラドックス」、「本当の富は見えない」、「貯金の価値」、「合理的>数理的」、「サプライズ!」、誤りの余地」、「あなたは変わる」および「この世に無料のものはない」テーマに著者の見解を紹介・解説しています。主なポイントは以下の通り。

 

◆ 全体の1%以下の行動が、投資の成否を決める

◆ 半分以上失敗しても成功できる

◆ お金が人生ももたらす価値は「自由」

◆ 人間に幸福感をもたらすのは「人生を自分でコントロールしている」という感覚

◆ モノではなく時間こそが人生を幸せに導く

 

◆「誤りの余地」を残した計画が勝利をもたらす

◆「過去の自分」の囚人になってはいけない

◆ 誰もが「歴史の終わり錯覚」に陥ってしまう

◆ 複利は何年もかけて成長させると最大の効果を生み出す、お金もキャリアも人間関係も

代償を払わなくていい投資などない

 

 

本書の後半では、「市場のゲーム」、「悲観主義者の誘惑」、「何でも信じてしまうとき」、「お金の真理」および告白」というテーマにて著者の見解を紹介・説明しています。主なポイントは次の通りです。

 

◆「別のゲームをしているプレーヤー」から学んではいけない

◆ 人はみな悪いニュースに敏感(悲観論が好き)

◆「進歩」はゆっくりと、「悲劇」は一夜にして

◆ 人は能力ばかりに注目し、運が結果に及ぼす役割を軽視する

◆ 知っていることばかりに注目し、知らないことを軽視して自分の考えを過信してしまう

 

◆ うまくいっているときは慎重に、うまくいかないときには寛容に

◆ エゴを減らせば、豊かになれる

◆「夜、安心して眠れること」を優先してお金の管理をすべし

◆ 投資で結果を出す最大の秘訣は、時間軸を長くすること

◆ うまくいかないことがあっても問題ない、半分は間違っていても資産は増やせる

 

◆ 自分の時間をコントロールするためにお金を貯め、使う

◆ 他人に富を見せびらかさず、誠実に人と接しよう

◆ ただ貯金をする、貯めるのに特別な理由は必要ない

◆「誤りの余地」を何よりも大切にする

◆ リスクを好きになること、リスクは時間の経過とともに利益を生む

 

◆ 自分がしているゲームを明確にする

◆ 多様な意見を認める

◆ 投資では、努力と結果にはほとんど相関関係がない

◆ 高い貯蓄率、忍耐、「世界経済が成長し続ける」という楽観主義の3つが投資戦略

◆ お金に関する最大の目標は「経済的自立」

 

 

この本の締めくくりとして著者は、「投資では、自分の目標を達成できる確率がもっとも高い戦略を選ぶべきだ」として、低コストのインデックスファンドにドルコスト平均法で投資することが、ほとんどの人にとって長期的に成功する確率がもっとも高い投資法だと考えている、と結論づけています。

 

 

本書の最後には「訳者あとがき」には、バイアスや不確実性に満ちた世界で生き抜くための方法として、以下の結論が記されています。

 

「時間を味方につけ、忍耐強く長期的な視点で投資をし、変化に柔軟に対応できるように備えておくことであり、人生をコントロールできるようにするための『経済的自立』を得ること」

 

 

人は、高価なモノに囲まれるだけでは幸せにはなれない。真に豊かな人生をもたらしてくれるのは、自分の思い通りに毎日を過ごせることなのである。そしてお金は、それを実現する大切な道具になる。私もまったく同じ考えです。

 

 

あなたもこの本を読んで、言語や文化の壁を越えて世界中の多くの人々に受け入れられた「お金についての普遍的な真実や知恵」を学び、自らの人生に活かしていきませんか。

 

 

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では、今日もハッピーな1日を!【2689日目】