「心のケアや心の問題を考える時、まず人間の心に関心を持つことが必要だろう。」と説いて、多くの親子対話のエピソードを紹介している本があります。
本日紹介するのは、江戸川区教育研究所相談員、財団法人日本カウンセリングセンター専任カウンセラー、同常務理事を経て、中央カウンセリング研究所所長の吉田哲さんが書いた、こちらの書籍です。
吉田哲『親と子の対話術』(新潮選書)
この本は、長い間、カウンセリングの臨床実践や、カウンセラー養成にあたってきた著者が、「心のケア」や「心の問題」について、まだまだ意識や関心が低い現状に対して、焦点を当てて発信している書です。
本書は以下の7部構成になっています。
1.家庭をめぐる様々なこと
2.学校をめぐる様々なこと
3.進路選択をめぐる様々なこと
4.「心の病気」をめぐる様々なこと
5.親子関係をめぐる様々なこと
6.人が立ち直るということ-それを可能にするもの
7.「共感的理解」とその心
この本の冒頭で著者は、「人間の心は、下手に踏み込めば、すぐにも傷ついてしまう恐れはある。(中略)他人の不用意な一言によって傷つき、底なし沼に落ちるかのように一歩も歩めなくなる人も確かにいる。」と述べています。
しかし一方では、「人の心に触れ、深遠なところで心が動き、絶望的と思える状況から立ち直っていくすばらしさ、たくましさ、したたかさも、人間には確かにある」ということです。
つまり、人間の心の動きとは、まさにその両面を持っているので、「心のケア」や「心の問題」について考えるとすれば、まず人間の心に関心をもつことだ、と本書では述べています。
この本では、そうした人間の傷、傷つきやすい心の側面、繊細な心の機微、また立ち直る時のすばらしさ、たくましさなど、多くのエピソードを紹介しながら、具体的に記されています。
また著者は、今日のように厳しい社会情勢の中では、すべてのケースがうまくいくものでは当然ない、としながらも、一つひとつのエピソードの記述から、さらに様々な思考や洞察を深めていただけたら、と述べています。
それは、「生きるというのはプロセスである」から、その瞬間瞬間が大切であり、結論が出ないというのは、ある意味で当たり前のことだ、というわけです。
本書のエピソードは、家庭をめぐる出来事として、まず「大学をやめたい」という音大三年生の事例からスタートします。そして、家でお金がなくなる問題や、不登校の問題、非行と退学、学校でのいじめ問題、教師の指導問題、進路選択の問題、アイデンティティ危機など、どれも身につまされる相談事例が続きます。
ここではエピソードの詳細については書きませんので、ぜひ本書を手に取ってお読みください。
続いてこの本の後半では、「心の病気」をめぐる様々な事例が紹介されています。神経症の辛さ、拒食と過食の繰り返し、親子関係をめぐる問題など、どれも具体的な記述に心打たれます。
本書の最後には、「人が立ち直る」ということについて、それを可能にするものは何かが分析されています。
あなたも本書を読んで、親と子の対話を通した、「心のケア」や「心の問題」について、深く考えてみませんか。
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では、今日もハッピーな1日を