書評ブログ

『人生に消しゴムを使わない生き方』

マクロン仏大統領の誕生を2年前に予測し、正解のない人生に向かうフランスの教育や、フランス文化の強さと弱さを描いた本があります。

 

 

本日紹介するのは、東京女子医科大学を卒業、慶應大学医学部皮膚科学教室研修を経て、南フランスの大学病院でレーザー治療をはじめ美容皮膚科学抗老化医学などを習得、さらにアロマテラピーやフィトテラピー等のハーブを用いた自然療法予防医学を学び、現在は、ヨーロッパの大手製薬会社や化粧品メーカーのアドバイザーを務める岩本麻奈さんが書いた、こちらの新刊書籍です。

 

 

岩本麻奈『人生に消しゴムを使わない生き方』(日本経済新聞出版社)

 

 

この本は、フランスの教育制度世界に通用する生き方をヒントに、日本が直面する喫緊の課題(教育無償化、少子化対策、グローバル人材育成など)の解決に向けた対策を示唆する内容になっています。

 

 

 

本書は以下の5部構成から成っています。

 

 

1.正解のない人生に立ち向かうフランスの教育

 

2.成熟した大人を育てる学校と家庭の論理

 

3.センシュアリズムという本質

 

4.オトナ文化と官能経済

 

5.フランス出産子育て事情

 

 

この本の冒頭で著者は、フランスでは小学校の低学年から、授業でノートをとる際に万年筆を使用する、と述べています。

 

 

フランスの教師によれば、万年筆を使う理由は2つあって、1つ目の理由は、「間違ったことをなかったことにしない」ためです。教師は、消しゴムで消されて正解だけが書かれたノートでは、プロセスが分からない、と言います。

 

 

間違いが記載され、斜線による抹消を繰り返しながら、ようやく正解に辿り着くまでの間に発生した生徒の「気づき」の過程を、フランスの教師は知りたいのです。

 

 

2つ目の理由は、「美しさ」です。万年筆は、美しい書体をつくる、最も優れた筆記具のひとつであり、フランスの試験では、万年筆によって表された独特の美しさが採点される、ということです。

 

 

フランスでは、「子どもがノートに消しゴムを使わない」のは、パリに生まれてニースに没した英国人サマーセット・モーム『人生の絆』で述べている、次の言葉と同じ趣旨です。

 

 

すなわちモームは、人生そのものを1枚の絨毯を織り上げることにたとえて、「一生の多種多様な出来事や行為、感情の起伏や概念などを材料にして、自分自身の模様を作り上げること」と語っています。

 

 

ペルシャ絨毯は、明るい色だけでは深みが出ない。薄暗い色があるからこそ華やかな色が引き立つのだ。つまり、暗く悲しい人生経験があるからこそ、より幸福を実感できる、ということです。

 

 

 

次に、フランスの教育制度について詳しい解悦が本書には書かれています。バカロレアの卒業後、ウニベルシテ(大学)に入学して寮に入る。

 

 

そして、リベラルアーツを学び、グランゼコールというトップエリート養成校への道に進むそうです。とりわけ、1945年創立の国立行政学院(ENA)の出身者が歴代フランス大統領になっています。

 

 

さらに、フランスの教育で重視しているのは、「哲学」を学ぶことです。フランス人にとって最高峰の学問は哲学である、と述べています。

 

 

 

本書の後半では、「センシュアリティ」について解説・紹介がなされています。「センシュアリティ」とは、「エレガントな野性」あるいは「官能ある知性」をあわせ持ったもの、としています。

 

 

また、「センシュアリティ」は、良識や知性に培われた「大人の分別」から醸し出されるもの、と著者は言います。つまり、大人の分別とセンシュアリティが相俟って人格・人間性になる、ということです。

 

 

この本の最後には、フランスの出産子育て事情が紹介されています。少子化に歯止めをかけて、出生率の低下を反転させたフランスの政策や取り組みについて、日本は大いに学ぶべきところがあるでしょう。

 

 

あなたも本書を読んで、フランスの教育、子育て、文化の強さや弱さを学び、日本が抱える喫緊の課題について考えてみませんか。

 

 

 

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では、今日もハッピーな1日を

 

 

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