書評ブログ

『老いる東京、甦る地方』

「東京一極集中の上り経済から、地方回帰の下り経済へ、あなたの地元が稼ぐまちに変わる」と提唱している本があります。

 

 

本日紹介するのは、第一勧業銀行、ボストンコンサルティンググループ、三井不動産などを経て、ホテルや不動産業のアドバイザリーおよび執筆・講演活動をする牧野知弘さんが書いた、こちらの新刊新書です。

 

 

牧野知弘『老いる東京、甦る地方』(PHPビジネス新書)

 

 

この本は、「日本全体の成長スピードが鈍化した今、日本人がなすべきことは、いつの間にか身につけてしまった ” 上り ” 中心の発想を捨て、” 下る ” ことである。」と説いています。

 

 

お金と人の流れを、東京へ向かうだけの一方向ではなく、地方に「人が集まる物語・仕掛け」を作るべきだ、というのが、この本で著者が一貫して述べている主張です。

 

 

 

本書は以下の7部構成から成っています。

 

 

1.都会が疲れた高齢者の顔になる日

 

2.雄大な自然、世界遺産に潜むワナ

 

3.平凡な風景が地方の稼ぎ頭に?

 

4.実例・非常識な地方活性化

 

5.駅前が日本経済を動かす

 

6.お金は空と海からやってくる

 

7.「陸・海・空」モデルで稼ぐ-国家の発展軸が変わる

 

 

本書の冒頭で著者は、今後の首都圏高齢化のとてつもないインパクトを紹介しています。

 

 

団塊世代と呼ばれる1947年から1949年に生まれた戦後ベビーブーマーは、出生数800万人でしたが、現在も600万人を超える人口で、その5割が三大都市圏に住んでいる、ということです。

 

 

2040年になると、例えば千葉市の高齢化率は37.5%となり、宮崎市や松山市を凌駕するそうです。

 

 

とくに郊外住宅地は、開発から50年が経過して、人気のなくなった戸建て住宅には空き家が激増し、思うような値段では到底売れなくなっている、と言います。

 

 

そうした一方で、地方には今、新たな潮流が起こりつつあり、お金と人の流れが変わりつつある、と本書では紹介しています。

 

 

主な潮流について、本書で紹介している事例を以下に挙げておきます。

 

 

◆ インバウンド(訪日外国人客)の激増

 

◆ 平凡な富士急行「下吉田駅」の風景(五重塔と富士山)に対人観光客が激増

 

◆ 岐阜県高山市の景観と街並みを資源として「言語のバリアフリー化」の取り組み

 

◆ 北海道旭川の空港とホテル整備の取り組み

 

◆ 境港の外国クルーズ船の増加

 

 

これらの成功事例に学ぶほかに、本書の後半で著者は、以下のような、これまでとは発想の異なる地域活性化を提言しています。

 

 

◆ コンパクトシティ構想に連動して、駅前を外国人観光客を迎える仕掛けを行って活性化する

 

◆ 衰退した地元百貨店の建物をホテルに改装する

 

◆ 民泊を活用して外国人観光客を受け入れる

 

◆ 地方空港へのLCC便の就航、クルーズ船の寄港など、東京や大阪を経由しないインバウンドの地元取り込みの仕掛けをつくる

 

◆ ロープウェイの活用による便利な移動と一望できる魅力を打ち出す

 

◆ 海外の超富裕層のニーズを満たせるハード(施設)とソフト(サービス)を整備する

 

 

あなたも本書を読んで、地方創生や地方の活性化について、改めて考えてみませんか。

 

 

 

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では、今日もハッピーな1日を

 

 

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