「結婚していてもしていなくても、長生きすれば、最後はみんなひとりになる。女のひとは、そう覚悟しておいたほうがよい。」と述べて、数多くのケーススタディをふまえ、ひとりで安心して老い、心おきなく死ぬためのノウハウを考察した本があります。
本日紹介するのは、日本における女性学・ジェンダー研究のパイオニアで、立命館大学特別招聘教授、東京大学名誉教授で社会学者の上野千鶴子さんが書いた、こちらの書籍です。
上野千鶴子『おひとりさまの老後』(文春文庫)
この本は、女性の生き方も、「家族する」のにふさわしいノウハウを身につけるばかりではなく、「ひとりで暮らす」ためのノウハウを準備しておいてよい、という問題意識から書かれました。
そこで、シングルキャリアの著者・上野千鶴子さんたちの出番だ、ということです。
本書は以下の6部構成から成っています。
1.ようこそ、シングルライフへ
2.どこでどう暮らすか
3.だれと どうつきあうか
4.おカネはどうするか
5.どんな介護を受けるか
6.どんなふうに「終わる」か
この本の冒頭で著者は、「大先輩から話を聞いてわかるのは、老後のひとり暮らしは怖くない、そのための智恵と工夫がいっぱい蓄積されている」と述べています。
本書によれば、統計のうえでひとり暮らしが増えているのは、いっぽうで未婚のひとり世帯、他方で高齢者のひとり世帯が増えているため、ということです。
つまり、晩婚化・非婚化が進行しているせいで、生涯にひとり暮らしを経験したことのある人々の割合は高まっています。
そうした中で、今日ますますニーズが高まっている「ひとり暮らし」のためのノウハウ、コツ、知恵といったものをこの本では記していて、以下のように多岐にわたる項目で、そのノウハウは参考になります。
◆ だれでも「最後は自宅で過ごしたい」がホンネ
◆ 都会に住むか、田舎に住むかの選択はライフスタイルや価値観の違い
◆ 都会ほど介護サービスの選択肢は多い
◆ あなたの「居場所」は、ひとりっきりでいても淋しくない場所
◆ 自然は孤独の最大の友
◆ シルバー起業で「死にガネ」を生かす
◆ 老後にもキャッシュフローを
◆ 「介護される」側にも思想やノウハウがいる
◆ 介護に必要な儀礼的距離化
◆ 介護には「無限定性」という性格がある
また、本書で紹介する以下の「介護される側の心得10カ条」は参考になり、すぐに実践できます。
1.自分のココロとカラダの感覚に忠実かつ敏感になる
2.自分にできることと、できないことの境界をわきまえる
3.不必要ながまんや遠慮はしない
4.なにがキモチよくて、なにがキモチ悪いかをはっきりことばで伝える
5.相手が受け入れやすい言い方を選ぶ
6.喜びを表現し、相手をほめる
7.なれなれしいことばづかいや、子ども扱いを拒否する
8.介護してくれる相手に、過度な期待や依存をしない
9.報酬は正規の料金で決済し、チップやモノをあげない
10.ユーモアと感謝を忘れない
本書の最後には死やお墓について、心得などが書かれています。いろいろと参考になりますが、以下に「おひとりさまの死に方5カ状」を紹介しておきます。
1.死んだら時間をおかずに発見されるように、密でマメなコンタクトをとる人間関係をつくっておくこと
2.遺したら残された人が困るようなものは早めに処分しておくこと
3.遺体・遺骨の処理については、残された人が困らない程度に、希望を伝えておくこと
4.葬式とお墓についても、残された人が困らない程度に、自分の希望を伝えておくこと
5.以上の始末が最後まで執り行える程度の費用は、謝礼とともに用意しておくこと、ひとが動く費用はタダと考えないこと
あなたも本書を読んで、おひとりさまの老後について、いろいろと考えてみませんか。
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では、今日もハッピーな1日を