書評ブログ

『GDPで日本を超えた! のんびり稼ぐドイツ人の幸せな働き方』

「ドイツ人たちは日本人よりも短く働いて、日本人よりも多く稼ぐ。私たちはドイツ人よりも必死に働いているのに、肝心な賃金が下がった他、名目GDPまで抜かれてしまった。」と述べている本があります。

 

本日紹介するのは、1959年東京生まれ、早稲田大学政経学部卒業後、NHKに入局、ワシントン支局勤務中に、ベルリンの壁崩壊、米ソ首脳会談などを取材、1990年からはフリーのジャーナリストとしてドイツ・ミュンヘン市に在住統一後のドイツの変化、欧州の政治・経済統合、安全保障問題、エネルギー・環境問題を中心に取材・執筆をつづけている熊谷徹さんが書いた、こちらの書籍です。

 

熊谷徹『GDPで日本を超えた! のんびり稼ぐドイツ人の幸せな働き方』(ぱる出版)

 

この本は、ドイツ人の働き方の内、日本でも使える点を選び出して、少しでも仕事の効率性、生産性を高め、読者の皆さんが、個人生活と仕事のバランス、つまりワークライフバランスを少しでも改善できることができればと思って書かれた本です。

 

本書は以下の6部構成から成っています。

1.なぜドイツの名目GDPは、55年ぶりに日本を抜いたのか

2.ドイツは世界最大の時短国家、働き過ぎを防ぐ仕組みは?

3.ドイツのワークライフバランスは日本を上回る

4.コロナ後、ドイツ人の働き方はどう変わったか

5.ドイツはさらに時短を目指す・週休3日制への模索

6.日本でもできる、時短のためのヒント

 

この本の冒頭で著者は、「日独間の順位逆転劇をきっかけにして、私たち日本人は働き方を見直すべきではないだろうか。」と述べています。

 

本書の前半では、「なぜドイツの名目GDPは、55年ぶりに日本を抜いたのかについて以下のポイントを説明しています。

◆ 逆転は、1990年日本のバブル崩壊後のGDP成長率鈍化とドイツの持続的な成長のため

◆ 日本の1人当たりGDPはG7の中で最下位に

◆ 2010年以降のドイツ成長率を伸ばしたのはシュレーダー改革(「アゲンダ2010」)

◆ 日本を大きく上回るドイツの労働生産性

◆ ドイツのインフレと円安がダメ押しに

 

この本の中盤では、「ドイツは世界最大の時短国家、働き過ぎを防ぐ仕組みは?および「ドイツのワークライフバランスは日本を上回る」について解説しています。主なポイントは次の通りです。

◆ ドイツは世界で最も労働時間が短い国

◆ 労働時間が厳しく制限されている理由は、働く者の健康を守るため

◆ 労働時間が長い会社には優秀な人材が集まらない

◆ 1日10時間以上の労働を禁止し、1年に30日の有給休暇

 

◆ ドイツ社員の有給休暇消化率100%、休むことに罪悪感を持たない

◆ 有給休暇とは別に傷病休暇を取る

◆ 仮病によるズル休みに対する制裁(即刻解雇)は厳しいので、モラル・ハザードはない

◆ 2~3週間の休暇は普通で、会社以外の存在を大切にして気分転換する

 

◆ ドイツ企業は母親保護法で、産前産後休暇の14週間の給与を100%支払いを義務付け

◆ 退職金ではなく、4年間の有給休暇がもらえる「シニア・パートタイム」

◆ ドイツ人は、「お金よりも自由な時間が増える方がいい」と考える

◆「メメントモリ」(人間はいつ死ぬかわからないから常に死のことを考えよ)

 

本書の後半では、「コロナ後、ドイツ人の働き方はどう変わったか」「ドイツはさらに時短を目指す・週休3日制への模索」および「日本でもできる、時短のためのヒント」について説明しています。主なポイントは以下の通りです。

◆ ドイツ社会には、「長期休暇を取ることは、全ての働く者の権利だ」という合意がある

◆ 社会全体のサービスレベルを下げることで、サービスを提供する人も休めるようにする

◆ 短時間で成果を上げる社員が評価される(=残業の多い社員は無能)

◆ ドイツの管理職は、「部下の健康を守る」義務を課されている

 

◆ 遵法精神が強いドイツ人

◆ 会社で仕事ばかりしていると離婚される

◆ ドイツの自殺率は、日本よりも大幅に低い

◆ 時短と休暇がもたらす心の余裕

 

◆ ドイツ人のテレワーク比率は20%、オランダ、フィンランド、スウェーデンより低い

◆ 週休3日制の企業は、ストレスが低くなる

◆ 長期休暇を取る場合には、共有ファイルの設置と代理人選定

◆ 生成AIの活用で、労働生産性をアップ

◆ スーパー時間管理(午前中に優先度の高い使途をを終える)と成果主義の重視

 

この本の締めくくりとして著者は、「私は、『身を粉にして働いても名目GDPでドイツに抜かれるということは、我々日本人の働き方にも問題があるのではないか』と感じた。」と述べています。

そして、「人生は一度しかない。会社の仕事だけが、人生ではない。人間は、いつ病気になったり、死んだりするかわからない。だから働くだけではなく、人生を楽しむことも重要だ。」というドイツ人たちの考え方を紹介しています。

 

あなたも本書を読んで、GDPで日本を超えた「長く休んで短く働き多く稼ぐ」超時短国家・ドイツの秘密を学び、自らのワークライフバランスを見直すきっかけにしていきませんか。

 

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では、今日もハッピーな1日を!【3616日目】