前編で過去30年を徹底的に分析し、後編では今後30年を予測するという試みをしている本があります。
本日紹介するのは、1964年生まれ、日大芸術学部在学中に「東京国際ビデオビエンナーレ」グランプリ受賞後、メディアを超えて横断的に活動し、総務省情報通信審議会専門委員などを歴任したのち、2008年より拠点を欧州に移して活動している高城剛さんが書いた、こちらの書籍です。
高城剛『2049日本がEUに加盟する日 HUMAN3.0の誕生』(集英社)
この本は、今から30年後の2049年を展望して、分断される世界がどうなっていくのか、気候変動が地球を襲い、何が起こるのか、その中で日本が生き残る選択肢はあるのか、ということを予測した書です。
本書は以下の3部構成から成っています。
1.宇宙変動がもたらす人類の危機
2.世界はどうなっていくのか
3.日本がEUに加盟する日
この本の冒頭で著者は、本書はいままでと違った次の3つの特徴を持っていると述べています。
◆ 過去30年を徹底的に分析し、今後30年を予測するという試み
◆ 未来を覗こうと考える優れたフーチャリストや企業家、政治家や政府高官たちには、いったいどんな未来がみえているのかを考察
◆ 多くの過去データを参照しながら、実際に著者が現地に出向いた「肌感覚」に重きをおいている
この本の前半では、「地球温暖化は本当か?」という疑問に対して、歴史のサイクルという観点から、「小氷河期の到来」を予測しています。
具体的には、ウクライナ出身の天才物理学者として知られるザルコヴァ教授を著者が訪ね、太陽光をプリズム解析し、そこからデータを抽出して太陽の活動状況を調べる方法で、天体や気候変動を高確率で予測できるようになったことを紹介しています。
同教授によれば、「地球は2020年頃から33年間は、太陽活動が低下するために再び寒くなり、2030年代がピークになる」と予測しています。
そして「小氷河期」を迎える人類の未来は、17世紀にヨーロッパで起きた30年戦争、ピューリタン革命、ペストの流行のように、戦争・内乱・政治経済体制の変革などが起こりやすくなるそうです。
また、かつての民族大移動のような移民の移動、ブラックアウト(大規模停電)、噴火による大凶作、気分の落ち込みによる自殺やうつの増加も予測されます。
本書の中盤では、2049年に向けて世界はどうなっていくのかを、アメリカ・中国・インド・EUを中心に考察されています。
ポイントは以下の通りです。
◆ 2050年の世界の人口トップ5は、①インド16億人、②中国13億人、③ナイジェリア4億人、④アメリカ4億人、⑤インドネシア3億人
◆ 続く6~10位は、⑥パキスタン3億人、⑦ブラジル2億人、⑧バングラデシュ2億人、⑨コンゴ2億人、⑩エチオピア2億人
◆ アメリカは、格差が拡大し、貧困率は17.8%とOECD加盟国35カ国中3番目に多い
◆ アメリカはヒスパニック化が加速し、カリフォルニア州では独立の動きも
◆ 中国は実験都市で無人化によるアリペイ決済が進むが、少子高齢化により覇権を握ることはない
◆ インドは人口増加が進み、2024年に中国を抜いて世界一になるが、カースト制度がネックとなり覇権を握ることはない
◆ EUはすでに崩壊しており、移民による犯罪率増加が続き老害化する
◆ 成熟しきった欧州でスタートアップの聖地ベルリンが一筋の光になる
この本の最後では、2050年に9500万人にまで人口が減る日本が、EUに加盟する道を選ぶ、と著者は予測しています。
さらに世界でもっとも未来予測精度が高いと言われるイギリスの未来学者のイアン・ピアソンのサイボーグ化する人間や、「ホモ・オプティマス」という概念を提唱しています。
「ホモ・オプティマス」とは、ゲノムの最適化のほか、タンパク質・ミトコンドリア・DNAなどを最適化し、人間を再デザイン化することです。
また、I o T という言葉を作った米国を代表するフーチャリストのディフ・エバンスさんは、2050年が人体とデジタルデバイス、そしてクラウド・ネットワークの本格的な融合の年になる、と予測しています。
さらに、「他の星への移住」や、「人類のバックアップ」なども考えられているそうです。地球の定員は50億人とも言われ、「新人類HUMAN3.0」の誕生にもこの本では触れています。
あなたも本書を読んで、2049年の世界や日本の選択肢について、様々な予測をもとに考えてみませんか。
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では、今日もハッピーな1日を!