書評ブログ

『リストラなしの「年輪経営」』

「私が自社に関して誇りに思っていることの一つに、“ この20年間、会社が嫌で退社した人間はゼロである ” ということがあります。増収増益よりも、こちらの方が、価値のあることではないでしょうか?」と述べている本があります。

 

 

本日紹介するのは、創業以来48年間連続の増収増益を達成し、寒天の安定供給を行う伊那食品工業株式会社代表取締役会長塚越寛さんが書いた、こちらの書籍です。

 

 

塚越寛『リストラなしの「年輪経営」: いい会社は「遠きをはかり」ゆっくり成長 』(光文社知恵の森文庫)

 

 

この本は、「人を幸せにする年輪経営」という理念を広めていくために、伊那食品工業の経営の考え方を紹介し、「安定して、安心して、人生を送る」ことを求めることの何がいけないのか、と問いかけている書です。

 

 

 

本書は以下の4部構成から成っています。

 

 

1.「年輪経営」を志せば、会社は永続する

 

2.「社員が幸せになる」会社づくり

 

3.今できる小さなことから始める

 

4.経営者は教育者でなければならない

 

 

 

この本の前半で著者は、「利益は健康な体から出るウンチである」と述べています。

 

 

あまりに「利益」のみを重視する経営者が多いので、著者の塚越さんは「利益なんかカスですよ、経営のカス」という話をされるそうです。

 

 

つまり「利益って、その程度のものだよ」と言いたいのです。

 

 

利益それ自体に価値はなく、それをどう使うかが経営には大事、ということです。会社の「本来あるべき姿」とは、「社員の幸せを通じて、いい会社をつくり、社会に貢献すること」と著者は言います。

 

 

したがって、当社の社是「いい会社をつくりましょうーたくましく そして やさしくー」となっているのです。

 

 

渋沢栄一は、「成功や失敗というのは、結局、心を込めて努力した人の身体に残るカスのようなものなのだ」という主旨の言葉を残されていますが、著者の提唱する「利益は健康な体から出るウンチである」経営理念に通じるものがあります。

 

 

 

さらに本書の中盤では、伊那食品工業が掲げる「いい会社をつくるための10箇条」を次の通り紹介しています。

 

 

1.常にいい製品をつくる

 

2.売れるからといってつくり過ぎない、売り過ぎない

 

3.できるだけ定価販売を心がけ、値引きをしない

 

4.お客様の立場に立ったものづくりとサービスを心がける

 

5.美しい工場・店舗・庭づくりをする

 

 

6.上品なパッケージ、センスのいい広告を行う

 

7.メセナ活動とボランティア等の社会貢献を行う

 

8.仕入れ先を大切にする

 

9.経営理念を全員が理解し、企業イメージを高める

 

10.以上のことを確実に実行し、継続する

 

 

 

つまり「信頼される商品を提供して、ファンをつくる」、すなわちブランド化を目指すことで適正な利益を確保する、ということです。

 

 

 

そして、著者の塚越さんが大事にする経営理念は、以下のようなところに象徴的に示されています。

 

 

◆ 人件費はコストではなく、会社の目的そのもの

 

◆ 最大の効率化は「幸せ感」が生むモチベーション

 

◆ 信頼関係は契約書より大切

 

◆ たくさん売るより、きちんと売る

 

◆ 性善説に基づくと経営コストは安くなる

 

 

◆ 経営戦略は「進歩軸」と「トレンド軸」を見極めて

 

◆ 遠きをはかり、ゆっくり成長

 

◆ 会社経営の要諦は「ファンづくり」にあり

 

◆ 掃除はもの言わぬ営業マン

 

◆ 経営とはみんなのパワーを結集するゲーム

 

 

◆ 幸せになりたかったら、人から感謝されることをやる

 

◆ 新人研修は、100年カレンダーから始まる

 

◆ 採用で最も重視するのは「協調力」

 

◆ 逆境は人を育てる

 

◆ 企業価値を測る物差しは「社員の幸せ度」

 

 

 

この本の最後で著者は、「凡事継続」という言葉を紹介し、物事は継続することが大切だと説いています。

 

 

凡事とは「常に改革を行う」ことと、「原点に回帰する」ことです。原点とは経営理念であり、社是です。

 

 

ただし、時代や社会の変化に対応し、常に改革を行わねばなりません。

 

 

 

この「凡事継続」という考え方は、先ごろ引退表明したメジャーリーガーイチロー選手の言葉「小さなことを多く重ねることが、とんでもないところに行くただ一つの道」に通じます。

 

 

 

また、イエローハットの創業者・鍵山秀三郎氏の提唱する「凡事徹底」と同じことを述べているものです。

 

 

 

この本には、企業経営に大切なこと、そして人生に大切なことが、すべて網羅されています。私自身の「経営や人生に対する考え方」は、まさに「年輪経営」の理念とピッタリ合致しています。

 

 

 

あなたも本書を読んで、リストラなしの「年輪経営」の理念を学んでみませんか。

 

 

 

2020年3月1日に、YouTubeチャンネル『大杉潤のyoutubeビジネススクール』【第20回】先の読めない時代に求められる理想、「年輪経営」とは?、にて紹介しました。

 

 

 

 

 

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では、今日もハッピーな1日を!