生命保険会社を60歳で定年退職した後の自らの経験と、同世代の人々への豊富な取材を交えて、新たな仕事、お金、趣味、学び、地域の絆、ウィズコロナの新しい生活などの観点から実践的アドバイスをしている本があります。
本日紹介するのは、1954年兵庫県神戸市生まれ、京都大学法学部を卒業後、生命保険会社に入社し、60歳で定年退職して「働く意味」をテーマに取材・執筆・講演活動を行い、現在は神戸松蔭女子学園大学教授の楠木新さんが書いた、こちらの新刊書籍です。
楠木新『定年後の居場所』(朝日新書)
この本は、夕刊フジの連載「定年後の居場所」を一部加筆修正し、さらに後半第2部を新たに書き下ろして単行本化したものです。
本書は以下の2部構成および8章立て(後半の8ポイントは後述)に整理しています。
1.定年後のいま
2.終着駅は始発駅
◆ 生涯現役
◆ 転身
◆ コロナ禍の生活様式
◆ こころの居場所
◆ お金と健康
◆ 地域・ご縁
◆ 故郷と家族
◆ 過去の自分に出会う
この本の冒頭で著者は、60歳定年の後、現役を続ける人が多いが、「65歳は分岐点」と述べています。
定年後の居場所や安心感について、本書の第1部では著者が日常体験していることが紹介されています。
前半では、「生涯現役」および「転身」について考察しています。主なポイントは以下の通り。
◆ 定年後の60歳から74歳までが「黄金の15年」
◆ 二足のわらじを履き、二本足で立つことが自立や安定につながる
◆ 定年や引退をなくすことと「70歳定年」への動き
◆ 執筆業は「書き手主体」でなく「読み手ファースト」に
◆ 転身の3条件は、➀主体的である、②自分自身を客観的に語る、③実行力・行動力
◆ 副業のポイントは会社の本業をきちんとこなすこと
◆「京都移住」の本から考える「住む場所を変える」という選択
◆ 地道な努力は実を結ぶ
京都移住の本として、次の2冊が紹介されています。京都へ移住する人は多く、私の起業家仲間も最近、京都へ移住しました。とても参考になる2冊です。
とくに『死ぬなら、京都がいちばんいい』(幻冬舎)の著者・小林玖仁男さんは、私の住まい近所にある、行きつけの懐石料理屋「二木屋」の主人で、残念ながら難病で2019年に亡くなりましたが、難病が転機になって京都移住をしたことを今回、初めて知りました。
第1部の中盤では、「コロナ禍から見たこと」、「こころの居場所」および「お金と健康」に関する著者の日常を紹介しています。主なトピックは次の通りです。
◆ zoom の活用
◆ おうち時間にラジオ
◆ 切れる老人の増加は前頭葉の衰えによる感情コントロール不全
◆「無職」は居心地が悪い
◆ 年2回の「財産増減一括表」のススメ
◆ お金の終活は「後に残る人の立場」で
◆「資産寿命」を延ばすには、➀積み立て投資、②長く働く、③計画的な資産取り崩し
◆「健康寿命」を延ばすには、自分が興味・関心を持つことに充実感を持って取り組むこと
第1部の後半で著者は、「地域・ご縁」、「故郷と家族」および「過去の自分と出会う」をテーマに、以下の日常経験を披露しています。
◆ 人脈よりもご縁、書籍編集者との出会い
◆ 定年後どこで過ごすか、故郷も有力な選択肢
◆ 1970年代のヒット曲、高校野球のレジェンド
◆ 自分史を有効に使う
本書の第2部では、「終着駅は始発駅」と題して、著者の今までの取材をもとに、定年後の居場所のポイントについて、以下の通り紹介しています。
◆ 居場所は足元に
◆ 本当の名前は何?
◆ 偶然の出会い
◆ 地元を愛する
◆ 過去の自分と語る
◆ 貯金は使い切る?
◆ 死んで生まれ変わる
◆「How many いい顔」
とくに「ご縁」という「出会いの交差点」について、著者は以下の4つのポイントを挙げていて、私もまったく同感です。
1.枠組みから一歩出る
2.発信の姿勢が大事
3.自分から先に与える
4.出会える場所に身を置く
またこの本では、著者が読んで参考にしている書籍が数多く紹介されています。私も関心を持って手にした書籍を以下に挙げておきます。
あなたも本書を読んで、会社ではない、家ごもりでもない「定年後の居場所」について考えてみませんか。
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では、今日もハッピーな1日を!【2544日目】