書評ブログ

『なが生きしたけりゃ 居場所が9割』

「人の行動は環境によって大きく左右されるから、どのような環境に身を置くかが極めて重要だと考えています。」「高齢者は高齢期に相応しい環境に、仲間ができやすい環境に置くべきだ」と述べている本があります。

 

本日紹介するのは、1964年生まれ、京都大学教育学部卒、株式会社リクルートコスモス(現コスモスイニシア)で、組織人事および広報を担当、退社後、組織人事コンサルタントを経て、2010年より高齢社会に関する研究活動を開始、現在はNPO法人「老いの工学研究所」理事長、一般社団法人「人と組織の活性化研究会」理事川口雅裕さんが書いた、こちらの書籍です。

 

川口雅裕『なが生きしたけりゃ 居場所が9割』(みらいパブリッシング)

 

この本は、さまざまなデータや研究結果を紹介しながら、高齢期に相応しい環境と、その重要性を理解していただくとともに、高齢者にとっての優れた環境探し・環境づくりの具体的なポイントを伝えてくれる書です。

 

本書は以下の8部構成から成っています。

1.「高齢者」「高齢期」をどう考えるべきか

2.今どきの高齢者の健康、体力、心理、本音

3.幸福な高齢期の生き方のそれぞれ

4.楽しく、幸福な高齢期は「環境次第」

 

5.高齢期に相応しい環境の整え方

6.高齢期の住み替えのススメ

7.幸福な高齢期を生きるために

8.おわりに 〜 高齢期という「新しいステージ」をどう生きるか

 

この本の冒頭で著者は、「老いを受け入れた上で生き様を重視し、社会参加や交流に目を向けようとする人が増えている」と述べています。

 

本書の前半では、「高齢者・高齢期をどう考えるべきかおよび「今どきの高齢者の健康、体力、心理、本音」ついて、以下のポイントを説明しています。

◆「標準的な高齢者」は存在しない、30年超の年齢幅がある

◆ 高齢期の4つの喪失:➀体力・身体機能、②人間関係、③仕事や収入、④役割や立場

◆ 4つの死に向き合う:➀心理的な死、②社会的な死、③文化的な死、④肉体的な死

◆ 本当の健康寿命は、男性84歳、女性90歳

◆ 要介護2以上は、80~84歳で11%、85~89歳で23%、90歳以上で45%

 

◆ 高齢期の健康を支えるのは、家族の存在、病院や医師、楽しめる趣味、規則正しい生活

◆ 若い人が気づかない要素は、安全な家、緊急時に助けてくれる人

◆ 死に向き合う高齢者が増えている

◆ 老後のお金が不足するのは、国民年金のみまたは無年金で働いていない人のみ

 

この本の中盤では、「幸福な高齢期の生き方のそれぞれ」「楽しく、幸福な高齢期は環境次第」および「高齢期に相応しい環境の整え方」について解説しています。主なポイントは次の通りです。

◆「創作と発表」が健康にいい

◆ 自分のことより、全体のこと、他者のこと

◆ ストレスは人生のスパイス

◆ 誰かのために「不自由」を引き受ける

 

◆ 高齢者の体力が向上したのは核家族のせい

◆ 食べたい時に食べたいものを、好きな環境で

◆ 高齢期の健康は人間関係(コミュニティ)に左右される

◆ 高齢者の同世代集まりは、健康習慣に好影響

◆ 人目がある場所に出かける

 

本書の後半では、「高齢期の住み替えのススメ」「幸福な高齢期を生きるために」および「高齢期という新しいステージをどう生きるか」について考察しています。主なポイントは以下の通り。

◆ 可能な限り、在宅で暮らすことをめざす

◆ 福祉は住宅に始まり住宅に終わる(北欧の考え方)

◆「弱いつながり」を大切に

◆ 早めの住み替えがいい

 

◆ ゼロ次予防の環境にある高齢者住宅

◆ 他者への配慮や目配りができる人に「自由」はある

◆「自由」とは日々、自分の意思で選択して暮らしていけること

◆ 高齢期に幸福な人は、老いを受け入れて年相応の思考ができる人

◆ 現役時代のライフスタイルや価値観を切り替える「老入れ」

 

この本の締めくくりとして著者は、ヘルマン・ヘッセが著書『老年の価値』(朝日出版社)で述べていることを紹介しています。高齢期は若かった頃とはまったく違う段階であり、新しい考え方や知恵や感じ方を獲得できる、と述べています。

 

あなたも本書を読んで、幸せな高齢期を迎える環境や居場所について学び、自ら実践してみませんか。

 

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では、今日もハッピーな1日を!【3285日目】