「ベンチャー成長請負人」の異名を持つ、スーパー顧問の森部好樹さんが選んだ「日本のベストベンチャー25社」を紹介する新刊本が出版されました。
本日紹介するのは、60社のベンチャー企業と大企業をつなぐ元銀行マンが、数字だけでは測りきれない優良ベンチャーを一挙紹介した、こちらの本です。
森部好樹『森部好樹が選ぶ日本のベストベンチャー25社』(日経BP社)
この本は、東証1部上場企業を中心とする大企業のニーズに合致するような「エッジの効いた」ベンチャー企業を紹介し、その営業・販売支援をするビジネスモデルで「顧問業」として独立起業して3年を経た「カリスマ顧問」の森部好樹さんが選んだ、とりわけ「尖ったビジネスモデル」を持つベストベンチャー25社を紹介している書籍です。
著者の森部さんは、出身の日本興業銀行(現みずほフィナンシャルグループ)時代の豊富な人脈を駆使して、顧問先企業であるベンチャー約100社を、大企業を中心とする約3,000社に引き合わせ、計6,000回以上ものプレゼンを聞いてきた、と言います。
その桁外れのスピードと行動力には周囲の関係者の誰もが驚く、と言います。64歳で起業し、現在67歳というシニア起業であることも驚きです。
本書は以下の4部構成から成っています。
1.逆転の発想-弱点を武器に
2.ユニークな発想・目の付けどころ
3.先進的IT事業で突き抜ける
4.人・モノ・ビジネスをマッチング
上記の4つのカテゴリーごとに各5~7社が採り上げられて紹介されています。その中でとくに私が感銘を受け印象に残った会社・経営者を以下に紹介します。
まず、2番目に採り上げられている株式会社エコスタイル(木下公貴社長)は、数多くある「太陽光発電事業」を手掛ける会社の中で、異彩を放っています。
社長の木下さんの写真の笑顔からは想像できないほど企業立ち上げ時の苦労のストーリーは印象的です。会社の預金残高が338円にまで減って、「もう、さんざんや」と思ったから覚えている、というエピソードが披露されています。
そういう経緯を経てきたからこそ、「顧客の安心」を第一に考えた「20年保証の太陽光パネル」や「徹底したメンテナンスとアフターフォロー」というビジネスモデルができたのだ、と言います。今や時価総額5000億円企業を目指して急成長を続けています。
次に、5番目に紹介されている株式会社チエノワ(田中雅也社長)ですが、もともと経営者を招いて対談やインタビューをするTV番組『未来展望』を制作する会社でしたが、創業100年を超える長寿企業に注目しました。
100年以上事業を継続している会社は日本に約3万社あり、これは世界の長寿企業の7割を占める、と言います。
まさに企業版「世界遺産」と呼べる存在の長寿企業の知恵を世の中に継承していく企画として、『百年の計プロジェクト』を発足させた、ということです。
全国47都道府県で今後、地元の100年企業を舞台に上げて、地元の長寿企業を目指す優良企業の経営者との交流や、後世に「長寿企業の知恵を伝えるプラットフォーム」を創ることが使命だ、と宣言しています。
さらに若手起業家だけでなく、還暦を迎える社長で世界を変える可能性を持っているのが、10番目に紹介されている株式会社サウンドファン(佐藤和則社長)です。
佐藤さんは、私と同じ57歳で起業して3年目。当初は老人性難聴で悩む84歳の父親が、蓄音機の音だけはなぜか聞こえる、ということからヒントを得て、難聴者にも聞こえやすい「ミライスピーカー」を開発しました。
ポイントは「曲げる」ことで、詳細のメカニズムは解明されていないものの、音を出す部分をラッパのように丸く囲むことによってその音に含まれるノイズのようなものが聴覚をアップさせる、ということが分かったそうです。
原理は単純なものですが、300人以上の難聴者に対する試作機での実験の結果、7~8割の難聴者が聞こえ、さらに健常者でも音が減衰せずに遠くまでクリアに聞こえるスピーカーへと開発が進化していきました。
現在、「ミライスピーカー」は、音のバリアフリーというコンセプトのもと、銀行ロビー、空港、鉄道車両など、公共的な場所での活用に向けて快進撃を続けています。
最後に、20番目に紹介されているメディアリンク株式会社(松本淳志社長)について紹介します。この会社はもともと開発に情熱を燃やすエンジニア集団でしたが、コールセンター向けのシステムで事業が立ち上がりました。
多くのコールセンターをお客様に持つ中で、「困りごと」として、画面がない状態でオペレーターがお客様に説明することの不便さを実感した、と言います。
もしWEBサイトの画面を、お客様とコールセンターのオペレーターが共有して説明が出来ればどんなに便利か、という発想で、新サービスの「sinclo(シンクロ)」が生まれました。
これはWEB上の店舗でもリアル店舗と同じように、訪れたお客様と対面接客を実現するサービスです。本来、待ちの姿勢である「プル型」のWEBサイトを、こちらから働きかける「プッシュ型」に変えてしまう画期的なシステムです。
顧問を務める著者の森部さんは、同社のプレゼンを聞いた時に、ネットの世界のプルとリアルの世界のプッシュを融合する世界初のシステムに「鳥肌が立った」と述べています。
ほかにも「エッジの効いたベンチャー」が本書には計25社も紹介されていて、一読する価値は高いと感じました。以下に掲載会社を記しておきます。
◆ 河村公紀・ARS
◆ 木下公貴・エコスタイル
◆ 清水祐孝・鎌倉新書
◆ 伊藤邦生・ゴールドスワンキャピタル
◆ 田中雅也・チエノワ
◆ 大塚逸平・四五コーポレーション
◆ 大塚庸平・イングリツシュイノベーションズ
◆ 杉本光生・インベスター・ネットワークス
◆ 吉村英毅・エボラブルアジア
◆ 佐藤和則・サウンドファン
◆ 米田哲郎・シーピーユー
◆ 沖有人・スタイルアクト
◆ 山本治樹・日本リファレンスサービス
◆ 小島梨揮・ウィルゲート
◆ 本山功・オレンジアーチ
◆ 須藤憲司・ Kaizen Platform
◆ 小山文彦・ゴーガ
◆ 和田怜・シマント
◆ 金田和也・フルアウト
◆ 松本淳志・メディアリンク
◆ 井上一生・さくら相談UNITED
◆ 御幡勇気・三聖トラストコンサルタンツ
◆ 古川エドワード英太郎・ストラテジック・デシジョン・イニシアティブ
◆ 新村祐三・ブティックス
◆ 白田康則・ライセンスアカデミー
最後に、著者の森部好樹さんがこれまでに執筆した「起業やベンチャーに関する著書4冊」を紹介しておきます。起業を目指す人にはどれも、本書と併せて「必読の書」として推薦します。
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では、今日もハッピーな1日を