「病気や障がいと闘う子どもと家族を社会全体で支えていきたい。医療や介護、福祉、教育制度のいずれにも含まれずに、適切な支援を受けられないでいる子供たちのことを知ってほしい」という想いで書かれた本があります。
本日紹介するのは、1957年横浜市生まれ、大学卒業後、ベンチャー企業、印刷会社を経て、2003年、NPO法人スマイルオブキッズを設立、病児と家族のための宿泊施設立ち上げ、NPO法人横浜こどもホスピスプロジェクトを設立し、代表理事に就任した田川尚登さんが書いた、こちらの新刊書籍です。
田川尚登『こどもホスピス 限りある小さな命が輝く場所』(新泉社)
この本は、生命を脅かされた子供と家族のための施設である「こどもホスピス」について、あたたかい家庭的な雰囲気の中で両親に休息やつながりを与え、豊かで楽しい時間をお手伝いする、家族の新しい居場所と紹介している書です。
本書は以下の4部構成から成っています。
1.6歳の娘に先立たれて
2.子どもが生まれてきた意味
3.限りある子どもの命と精一杯向き合った家族たち
4.こどもホスピスをつくる
この本の冒頭で著者は、6歳になった次女のはるかさんが、脳幹という神経が集中しているところに腫瘍がある「小児脳幹グリオーマ」の診断で、余命半年と医師に告げられたことを記しています。
そして、家族4人旅行の後、次女は再び入院し、そのまま息を引き取ることななった様子が綴られています。そうした我が子と死別する体験を通して、著者は「子どもが生まれてきた意味」を考え、「病気と闘う子どもと、その家族を支えたい」という思いを持つことになりました。
具体的な行動として、病院の近くに家族みんなが安心して寝泊まりできる施設「患者家族のための滞在施設」の設立準備を始めます。
チャリティーコンサートで募金を集めるなどの活動のほか、匿名の方(実は著者の次女がお世話になった病院の元総長)からの大口の寄附により、神奈川県内初の小児がん拠点病院から徒歩5分の場所にファミリーハウス「リラの家」が完成しました。
また「小児緩和ケア」や、病気の子を持つ家族の向き合い方、そして最愛の子を失ったときの「グリーフケア」について、本書では考察しています。
この本の最後では、「こどもホスピス」について、その歴史や発足意図、および「こどもホスピスとはどのような場所なのか」「世界にはどのようなこどもホスピスがあるのか」「なぜ日本にこどもホスピスが必要なのか」について記されています。
こどもホスピス発祥の地はイギリスで、ドイツ、オランダなどでも地域の実情に根ざした特徴を持っています。
日本でも、大阪淀川キリスト教病院ホスピス・こどもホスピス病院が開設され、2018年には全国こどもホスピスサミットが開かれるまでになりました。
著者たちが進めている「横浜こどもホスピス」について、その目指すものを以下の通り、紹介しています。
◆ 家(おうち)のようなあたたかい家庭的な場であること
◆ 友のように、家族のように、病気の子供や家族に寄り添いながら、共に楽しい時間をつくりだしていくこと
◆ 幼稚園・保育園のような遊びや学びの場
著者の田川さんは、自ら小さな娘を小児がんで亡くした体験から、「限りある命が輝く場所」を求めて、こどもホスピスを立ち上げる活動をこの本に記しています。
あなたも本書を読んで、小児がんなどの病気で子どもを亡くす危機にある家族にとって、こどもホスピスの必要性を提唱しています。
あなたも本書を読んで、「こどもホスピス」の可能性や活動意義について、改めて考えてみませんか。
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では、今日もハッピーな1日を!