書評ブログ

『比べて丸わかり! 会計の用語図鑑』

「簿記の講師、税理士、民間企業の経理担当という3つの視点から会計についてわかりやすく解説できる」と述べている会計用語の解説書があります。

 

 

本日紹介するのは、1968年北海道生まれ、埼玉県在住で、合格率ナンバーワン簿記講師、税理士、建設会社総務経理担当役員石川和男さんが書いた、こちらの新刊書籍です。

 

石川和男『比べて丸わかり! 会計の用語図鑑』(KADOKAWA)

 

 

この本は、「混同しがちな会計用語を対比しながら解説することで、会計の知識を身につけ、儲けの仕組みを理解し、ビジネスに役立ててもらう」という趣旨で書かれた書です。

 

 

本書は以下の7部構成から成っています。

 

1.会計の全体像が分かっていない!

2.財務諸表の仕組みが分かっていない!

3.勘定科目が分かっていない!

4.決算業務が分かっていない!

 

5.会計の実務が分かっていない!

6.分析の仕方が分かっていない!

7.企業会計原則が分かっていない!

 

 

この本の冒頭で著者は、「財務諸表の作り方が分からなくても、活用することはできる」「財務諸表や内部資料を見て、読んで、分析して、戦略を練って、ビジネスに活かす! 会計担当者以外は作る必要はない」と述べています。

 

 

本書の前半では、「会計の全体像が分かっていない!」および財務諸表の仕組みが分かっていない!」について、以下のポイントを解説しています。

 

◆ 簿記とは、内務管理のために帳簿に記録すること

◆ 会計とは、利害関係者に会社の状況を報告する手続き

◆ 経営成績とは、1年間の企業活動の結果

◆ 財政状態とは、決算日時点の試算、負債、純資産の残高を明らかにするもの

 

◆ 仕分帳とは、すべての取引を日付順に記録した帳簿

◆ 総勘定元帳とは、勘定科目ごとに記録した帳簿

◆ 主要簿は必須に作成、補助簿は必要に応じて任意に作成

◆ 財務会計は外部に報告用、管理会計は内部の管理用

 

◆ 資産は運用状態(カネ・モノ・ケンリ)、負債+純資産は調達源泉(ギム・元手+利益)

◆ 流動資産は1年以内に現金化、固定負債は1年を超えて現金化される

◆ 流動負債は1年以内に支払う義務、固定負債は1年を超えて支払う義務

◆ 収益とは、利益(儲け)を生み出す原因、費用とは収益を得るために犠牲になった支出

 

◆ 営業収益は本業での収益、営業外収益は本業以外での収益

◆ 営業利益は本業での利益、営業外利益は本業以外で毎期経常的に得られる利益

◆ 経常利益とは、営業利益(本業での儲け)+営業外利益(本業以外の儲け)

◆ 当期純利益とは、1年間で稼いだ最終の利益額

 

 

この本の中盤では、「勘定科目が分かっていない!」「決算業務が分かっていない!」および会計の実務が分かっていない!」テーマとして、著者の見解を説明しています。

 

◆ 売掛金は本業での掛取引、受取手形は本業での手形代金を受け取る権利

◆ 買掛金は本業(仕入)に要した債務、未払金は本業以外に発生した債務

◆ 前払金は一時的なサービスを受けるために先に支払うお金、前払費用は継続的なサービスを受けるために先に支払うお金

◆ 仮受金は仮に受け取ったお金を負債計上、仮払金は仮に支払ったお金を資産計上

◆ 消耗品は原価10万円未満、耐用年数1年未満、備品は10万円以上、1年以上

◆ 福利厚生費は会社の実情に応じた福利厚生制度、法定福利費は法で定まった福利厚生制度

 

◆ 決算書は、税法で定められた①貸借対照表、②損益計算書、③株主資本等変動計算書、④勘定科目明細書

◆ 財務諸表は、金融商品取引法や財務諸表等規則にて規定された、上記①~③に加えて、④キャッシュフロー計算書、⑤付属明細書

◆ 個人事業主は、全員一律に12月決算、法人は3月決算が多い

◆ 本決算と中間決算、単独決算と連結決算の違いあり

◆ 減価償却には定額法と定率法がある

 

◆ 経理は、日々の取引を帳簿に記録して財務諸表を作成する

◆ 財務は、財務諸表をもとに資金調達、財務計画、予算管理を実行する

◆ 小切手はすぐに換金、手形は期日に現金化

◆ 社債は、お金を借りる目的で発行する債券で返済義務あり

 

◆ 株式は、お金を集める目的で発行する有価証券で返済義務なし

◆ 資金繰り表は日々の入金・出金・残高の予測を表にする、キャッシュフロー計算書は会計期間におけるお金の増減バランスを見るもの

◆ 単利は元本のみに利息、福利は利息を元本に組み入れて利息を計算

◆ 取得価額は資産の金額に付随費用を加えたもの、取得原価は当期中の取得価額の合計

 

 

本書の後半では、「分析の仕方が分かっていない!」および企業会計原則が分かっていない!」について考察しています。主なポイントは次の通り。

 

◆ 売上総利益率と当期純利益率

◆ 固定費と変動費

◆ 損益分岐点売上高と簡易的益分岐点売上高

◆ ROE(自己資本利益率)とROA(総資産利益率)

◆ 流動比率と当座比率

◆ 生産性分析と成長性分析

 

◆ 損益法と財産法

◆ 資本取引と利益取引

◆ P/L表示とB/S表示

◆ 当座企業と継続企業

◆ 現金主義会計と発生主義会計

◆ 会社法と金融商品取引法

 

 

この本の締めくくりとして著者は、「会計は、すべての職種において必要な知識」という持論を披露しています。

 

 

私もまったく同感です。私は33年8カ月会社員として仕事をしたのち、57歳で「定年ひとり起業」をして現在、フリーランス7年目です。銀行員として学んだ会計の知識は、ファミリーカンパニーの経営、個人事業者としての仕事に本当に役に立っています。

 

 

その要点は、拙著『定年ひとり起業』『定年ひとり起業マネー編』(ともに自由国民社)に詳述しています。

 

 

 

この『比べて丸わかり! 会計の用語図鑑』に解説されていることは、「本当に大切なことだけを究極にシンプルに図解したもの」であり、私が会計を学んで実践に活かしている経験からもぜひお薦めしたい本です。

 

 

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では、今日もハッピーな1日を!【2763日目】