「僕が『数字・ファクト・ロジック』が重要だと思う理由は、人は自分を中心にして、世界が同心円を描くように広がっていると思いがちだからです。」と述べて、世の中を構成している「常識」やシステムの外側には新しい別の世界が広がっている、と提唱している本があります。
本日紹介するのは、1948年三重県生まれ、京都大学法学部を卒業、日本生命に入社し、2006年に退社後、ライフネット生命を立ち上げ、現在は立命館アジア太平洋大学(APU)学長を務める出口治明さんが書いた、こちらの書籍です。
出口治明『カベを壊す思考法』(扶桑社新書)
この本は、2010年6月に刊行された『「思考軸」をつくれ』(英治出版)を加筆修正したもので、10年前に著者が新しい形態の保険会社ライフネット生命を立ち上げ、どのようにして「固定観念」や「常識」という壁を打ち砕いていったのかが詳細に書かれた書です。
本書は以下の7部構成から成っています。
1.運命は、変わる
2.これまでの「成功法則」を捨てよ!
3.難問を解決する軸となる「タテ・ヨコ」思考
4.自分に必要な情報のつかまえ方
5.生き残るためにやるべきこと
6.正攻法に勝る解決方法は、ない
7.「最後に勝つ」ために
この本の冒頭で著者は、ライフネット生命の設立にあたり掲げた三つの目標を以下の通り紹介しています。
◆ 20代、30代の若い子育て世代の保険料を半額にしたい
◆ 保険金の不払いをゼロにしたい
◆ 比較情報を発展させたい
著者は、販売チャネルをインターネットに絞り、人件費や販促費の大幅なコスト削減を実現し、特約なしのシンプルな商品設計によりインターネットだけで十分な情報が得られるようにした結果、目標を達成できた、と自負しています。
本書の前半では、これまでの「成功法則」を捨て、難問は「タテ・ヨコ思考」で解決することを説いています。主要なポイントは以下の通り。
◆ 人間は動物である
◆ 人間はそれほど賢くない
◆ 人生はゴールが見えない「イエス・ノーゲーム」
◆ 決めることは、何かを捨てること
◆ 「おおぜいの人」を「長い間」だますことはできない
◆ 直感の精度は「インプットの集積」で決まる
◆ 自分の軸をつくるには「森の姿」をとらえよ
◆「タテ思考」は、基準になる数字、長期スパンで歴史をとらえる、歴史は繰り返し
◆「ヨコ思考」は、海外にヒント、世界の中の「日本の非常識」を知る
この本の中盤では、情報のつかまえ方、および生き残るためにやるべきことについて提言しています。私が共感する事項は次の通りです。
◆ 取り込んだ情報は無理やり吐き出す
◆ 読書は食事と同じ、血肉になる
◆ 1つのところでじっとしているほど危険な生き方はない
◆ リーダーの資質は、➀やりたいことを持っている、②旅の仲間を集められる、③目的地までチームをまとめ引っ張っていく、の三要素
◆ 激変する世の中でも未来は予測できる
◆ 組織づくりの要諦は、「いかに異質なヒト」を集めるか
◆「定年制度」ほどバカげたものはない
この本の後半で著者は、正攻法の大切さや、「最後に勝つ」ための方法を挙げています。主なポイントは以下の通り。
◆ どこにでも「青い鳥」はいる
◆ 人間の長所と短所は同じもの
◆ 豊かな日本なら「やりたいこと」はできる
◆ 日本人は、本質的な問題を考え抜く訓練を受けていない
◆ 必要なのはスローガンではなく、人を動かす仕組み
◆ 日本人の本質は、どんどん外に出ていく海洋民族である
あなたも本書を読んで、カベを壊す思考法を学び、実践してみませんか。
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では、今日もハッピーな1日を!【2512日目】