未来を具体的に考えるための「思考の教科書」があります。本日紹介するのは、経営戦略コンサルタントの西村行功さんが書いた、こちらの書です。
西村行功『先が見えない時代の「10年後の自分」を考える技術』(星海社新書)
本書の特徴は「シナリオ・プランニング」
この本は、もともと実際の戦争における戦略策定が起源となっている「シナリオプランニング」の考え方を、企業だけではなく個人にも有効だとして応用して活用することを説いています。
軍事戦略を立てる際には、敵の動きを何パターンか予測して、それら一つ一つに対応する戦略を考えていったのが「シナリオ・プランニング」の始まりです。
1970年代前半には、石油会社のシェルが、シナリオ・プランニングの考え方を応用して、「オイルショック」という世界を揺るがす大きな変化を乗り切ってきました。
その後1990年代には、未来が不透明になったことで、再びシナリオ・プランニングに注目が集まるようになって、個人にとっても有効だと証明されるようになりました。
アメリカの心理学者クレア・グレイブスさんは、個人の成長には以下の3つの要素が重要である、としています。
1.危機感
2.行動力
3.洞察力
この3つの中で、特に重要なのが、最初の「危機感」だ、と著者は言います。
本書のテーマは、自分の力で未来を切り開くための「思考法と行動技術」
本書の構成は、5部構成から成っています。
1.「10年後の自分」を具体的に描こう!
2.「危機感」がなければ、人は変われない
3.モノゴトを繋げて考える「つながり思考力」
4.つながりをもとに、未来を志向する「先読み力」
5.修正前提を決断する「一歩を踏み出す行動力」
これらの未来を切り開くための「思考法」の核になるのが、「10年後の自分」を具体的に描くことです。以下の「7つの分野」について、まず10年前の自分は、10年後をどう考えていたかを振り返ります。
1.仕事
2.家庭
3.住居
4.ライフスタイル
5.貯蓄
6.両親
7.趣味・友人
想像した通りの未来だったか、それとも全く予想もしない「未来」だったでしょうか。それを踏まえて改めて、今から10年後を、同じように7つの分野で「具体的に」描いてみましょう。
私たちは受験のサイクルなどの影響で「3年時計」の呪縛があるそうです。それを取り払って「10年という時間軸」で考えてみよう、というのが本書の核心です。
一番重視すべきは「行動力の技術」
本書の終盤では、「行動力」について詳しく論じています。まず、精神分析学者のジークムント・フロイトの次の言葉を紹介します。
「思考とは、行動の予行演習に他ならない」
また経営学者のイゴール・アンゾフは、以下のように述べています。
「戦略とは、“ 部分的無知の状態 ” での意思決定のためのルールである」
つまり、いくら「つながり」を捉え、「先読み」することができたとしても、意思決定もせず、一歩も動かないのであれば、その「思考」や「戦略」は、全く意味がないものになってしまう、ということです。
一番重視すべきは「行動力」の部分であり、「行動をともなわない思考に価値はない」ということ。なぜなら、行動によってしか、思考の成果を手に入れることができないからです。
本書の最後に、「行動力」についての最重要ポイントが記されています。それは以下の真実です。
「目的地へはいつも最短ルートでたどりつけるとはかぎらない」
行動に失敗はつきもので、「未来は予測できない」という事実を受け入れることです。とくに起業して新たな事業を始める方は、以下の考え方が重要です。
それは、「行動しつつ修正する」という考え方です。
人間は、完全な未来予測を求めると、不確実なことが多すぎで、一歩も動けなくなってしまうものです。リスクを過剰にかんがえてしまうのです。
だからこそ、「部分的無知の状態」でもいいから、現状で考えられるリスクを想定して「複数の未来」を予測する「シナリオ・プランニング」を活用して行動しよう、というのが本書が最も読者に伝えたいメセージです。
あなたも、本書の「10年後シート」を活用して、「10年後の自分」を具体的に描く「シナリオ・プレンニング」によって、行動し、人生を切り拓いて行きませんか。
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では、今日もハッピーな1日を!