書評ブログ

『人生を豊かにしたい人のための珈琲』

「私の本分である未知のコーヒー品種を探すコーヒーハンティングは、まさに地理と歴史から始まります。」と述べて、「人生を豊かに」するための一助にする目的で書かれた本があります。

 

 

本日紹介するのは、1956年静岡県生まれ、中米エルサルバドル国立コーヒー研究所に留学し、コーヒー栽培・精選を学んだ後、大手コーヒー会社に就職ジャマイカ、ハワイ、インドネシアで農園開発を手掛け、マダガスカルで絶滅危惧種の発見と保全の実績を残して、同社を退職後に日本サステイナブルコーヒー協会を設立、株式会社ミカフェートを創業したJose. 川島良彰さんが書いた、こちらの書籍です。

 

Jose. 川島良彰『人生を豊かにしたい人のための珈琲』(マイナビ新書)

 

 

この本は、コーヒー生産者の実情からあなたの目の前にあるカップの中のコーヒーまでがどのようにしてできているか、そこにはどんな問題があるか、どうしたら美味しいコーヒーが飲めるのかを語り、コーヒー好きの皆さんの参考にしてもらうための書です。

 

 

本書は以下の8部構成から成っています。

 

1.美味しいコーヒーとは

2.知っておきたい! 美味しいコーヒーの淹れ方

3.コーヒーが焙煎ばかり語られがちになる理由

4.コーヒーの品質はイチにも二にも豆次第

 

5.本物のコーヒーは苦くない、酸っぱくない

6.コーヒーはワインと同じようにフルーツである

7.SDGsがコーヒーの品質を上げ、市場を変える

8.コーヒー文化の成熟はこれから

 

 

この本の冒頭で著者は、「本書は私自身が始めて執筆する、初心者の皆さんに向けた一冊で鵜。」と述べています。

 

 

本書の前半では、「美味しいコーヒーとは」および知っておきたい! 美味しいコーヒーの淹れ方」について以下のポイントを説明しています。

 

◆ 美味しいコーヒーは冷めても美味しい

◆ コーヒーの品質は、①生豆の品質と鮮度、②焙煎技術と焙煎豆の鮮度

◆ アラビカ種とカネフォラ種(ロブスタ)ではそれぞれ特徴がある

◆ 精選方法には、①ウォッシュト(水洗式)、②セミウォッシュト(半水洗式)、③アンウォッシュト(非水洗式)の3種類ある

 

◆ キュアリング(乾燥後に冷暗所で休ませる工程)は味に大きく影響

◆ 精選(ドライミル)で豆の大きさをチェックして輸出用と国内消費用に

◆ リファーコンテナ(常温コンテナ)か空輸で劣化を防ぐ

◆ 生豆は常温(18度前後)にて保管(本質に大きく影響)

 

◆ 焙煎直後ではなく、落ち着いた翌日が本来の味が出る飲み頃

◆ 豆の硬さと品質はイコール(寒暖差が激しい産地ほど硬い)

◆ コーヒーはフルーツなので「酸味と甘み」を愉しむ

◆ コーヒーの淹れ方は、①ペーパードリップ、②フレンチプレス、③コーヒーメーカー

 

◆ 北欧で流行する浅煎り、超浅煎りがブームだが、酸味が出る

◆ 日本の軟水では浅煎りの酸味は強く出てしまう

◆ 深煎りの方が昔ながらの「ガツンとした強さ」が出る

◆ コンビニコーヒーは新たな文化でフォースウェーブ

 

 

この本の中盤では、「コーヒーが焙煎ばかり語られがちになる理由」「コーヒーの品質はイチにも二にも豆次第」および本物のコーヒーは苦くない、酸っぱくない」について考察しています。主なポイントは以下の通り。

 

◆ 質の悪さを焙煎でカバーしてきた日本のコーヒーの歴史

◆ 商社購入の生豆では差別化できない焙煎業者(ロースター)が焙煎至上主義を広めた

◆ 豆本来の味を大切にする焙煎技師であってほしい

◆ 不向きな環境で育てられた「ゲイシャ」に注意

 

◆ ジャマイカのブルーマウンテンかパナマのゲイシャ

◆ 2000年代でアメリカ西海岸で始まった「サードウェーブ」

◆ 2002年創業のブルーボトルは「コーヒー界のアップル」と呼ばれる

◆ 脱エスプレッソのスペシャルティコーヒーは日本の多様な抽出法が源流

 

スペシャルティコーヒーの対義語はコモディティコーヒー

◆ ハイ・コモディティは存在する、ぜひ目利きに

◆ ブルーマウンテンは最上級品がNo.1だが、ハワイコナコーヒーはエクストラファンシーが最上級でNo.1は上から3番目

◆ 欠点豆の含有率で規格が決まるブラジルはNo.2が最上級

 

◆ ティピカ:味のバランスがいい

◆ ブルボン:ナッツ系の味わい

◆ ゲイシャ:フローラル系が特徴

◆ カトゥーラ:フルーティーな柑橘系の味わい(ブルボンから突然変異)

 

◆ コーヒーを豆から見ること

◆ コーヒーはソーティングの繰り返し

◆ 美味しいコーヒーはミルクも砂糖もいらない

◆ コーヒーも文化で国、地域、社会によって違うもの

 

 

本書の後半では、「コーヒーはワインと同じようにフルーツである」「SDGsがコーヒーの品質を上げ、市場を変える」およびコーヒー文化の成熟はこれから」について、解説しています。主なポイントは次の通り。

 

◆ コモディティーコーヒーの中にも美味しいコーヒーはある

◆ スペシャルティコーヒーを作る農園がすべて美味しいわけではない

◆ 珈琲店もリファーコンテナで運ばれたコーヒーを使いたい

◆ コーヒーが変われば世界が変わる

 

◆ コーヒー文化の成熟には、美味しいコーヒーを素直に「美味しい」と言えること

◆ 自分自身の「美味しい」という基準を作り、ハードルを少しずつ上げていく

◆ ブルーマウンテンの評価や価格が下がったのは商社が古い在庫品を売ったため

◆コモディティコーヒーの中にもグレードをつける

 

 

この本の締めくくりとして著者は、「コーヒーは、どんどん変化しています。特にこの20年で大きく変わりましたし、今後もさらに新しいプロセスや抽出方法が生まれるでしょう。」と述べています。

 

 

あなたも本書を読んで、「コーヒーの基本」を学び、自分が一番美味しいと思ったコーヒーを愉しむライフスタイルを作っていきませんか。

 

 

2022年8月1日に、YouTubeチャンネル『大杉潤のyoutubeビジネススクール』【第245回】人生を豊かにしたい人のための珈琲にて紹介しています。

 

 

 

ビジネス書の紹介・活用法を配信しているYouTubeチャンネル『大杉潤のyoutubeビジネススクール』の「紹介動画」はこちらです。ぜひ、チャンネル登録をしてみてください。

 

 

では、今日もハッピーな1日を!【2827日目】