書評ブログ

『「人生が充実する」時間のつかい方』

「やることを減らしても、時間は増えない。」「時間をつくるには、時間をつかおう。」と述べている本があります。

 

本日紹介するのは、時間のつかい方と幸福度の関係性を専門とし、主要な学術誌のほか、エコノミスト、ニューヨークタイムズ、ウォールストリート・ジャーナル、ワシントンポストなどに論文や記事が掲載されているUCLAアンダーソン経営大学院教授キャシー・ホームズさんが書いた、こちらの書籍です。

 

キャシー・ホームズ『「人生が充実する」時間のつかい方 UCLAのMBA教授が教える“いつも時間に追われる自分”をやめるメソッド』(翔泳社)

 

この本は、「時短術」や「ライフハック」にとどまらず、ありとあらゆるタスクに追われている「時間貧乏」な私たちが、時間的な余裕を感じられるようになり、楽しいタスクはもっと楽しく、楽しくないタスクもちゃんとこなせるようになる「14のエクササイズ」を紹介し、行動科学や心理学の研究や実験から得られたメソッドを紹介する書です。

 

本書は以下の9部構成から成っています。

1.私たちはみな時間貧乏―最適な可処分時間を考える

2.時間をつかうことで、増やす―時間的余裕を感じる方法

3.幸せな時間、幸せでない時間―最も賢明な時間のつかい方

 

4.やりたくないことを楽しくやる―やる気を高める方法

5.幸せな時間をもっと幸せにする―喜びを常に更新する方法

6.先のことより「今」に集中する―幸福度を上げ、成果を出す

 

7.時間を費やすべき大切なことは何か?―取捨選択する方法

8.カンバスに、1週間を描いてみる―スケジュールの最適化

9.人生全体を俯瞰してみる―長い目で見ることの効用

 

この本の冒頭で著者は、「時間が足りなすぎる問題」「時間がありすぎる問題」があり、ちょうどよい可処分時間について考察しています。

 

本書の前半では、「私たちはみな時間貧乏―最適な可処分時間を考える」「時間をつかうことで、増やす―時間的余裕を感じる方法」および「幸せな時間、幸せでない時間―最も賢明な時間のつかい方」について、以下のポイントを説明しています。

◆ 時間貧乏とは、やることが多すぎるのにこなす時間が足りない感覚

◆ 可処分時間が少なすぎる(1日2時間未満)とストレスから不幸せに

◆ 可処分時間が多すぎる(1日5時間以上)と目的意識が失われて幸せが低下

◆ 時間に意識を向けると、幸せで満たされた時間のつかい方をするモチベーションに

◆ やることを減らすのではなく、使う時間の中味を充実させるようにデザインする

 

◆ 時間貧乏は主観的な感覚で、不健康、人に不親切、自身がなくなる

◆ 時間的余裕を感じるには、①体を動かす、②親切を実践する、③畏敬の念を味わう

◆ 体を動かすエクササイズ:1日30分の運動

◆ 無作為に親切にするエクササイズ:1日1回は友達や知らない人を助ける

◆ 畏敬の念とは、人との関わり・自然・芸術・人の偉業に触れること

 

◆ 時間を賢明に使うことで。今より幸せになれる

◆ 最も幸せな時間のつかい方は、家族や友人と交流すること、屋外に出て自然の中で過ごすこと

◆ 最も幸せでない時間の使い方は、通勤、家事、労働

◆ 運動や睡眠を十分とることは、気分が上がり、活動が楽しくなる

◆ 人とのつながりが大きな幸せをもたらす

 

この本の中盤では、「やりたくないことを楽しくやる―やる気を高める方法」「幸せな時間をもっと幸せにする―喜びを常に更新する方法」および「先のことより今に集中する―幸福度を上げ、成果を出す」について解説しています。主なポイントは次の通りです。

◆ お金をかけて家事を外注し、生まれた時間をもっと充実したものに再投資する

◆ 職場でのモチベーションは、目的を見つけ、友達を作ることで上がっていく

◆ 通勤時間を楽しめる活動と抱き合わせる

◆ 快楽順応は、ネガティブな出来事を乗り越えるのに役立つ

 

◆ 残された時間は限られており、貴重だと認識する

◆一つのライフステージの終わり、あと何回大好きなことができるかを考える

◆ ルーティンになっていることを、祝福すべき特別な儀式に変える

◆ 毎日、毎週の活動にバラエティを持たせる

 

◆「いまここ」に焦点を当てる

◆ バカンスを取ると幸せが高まり、パフォーマンスも高まる

◆ 瞑想を実践することで、今という瞬間に意識を向けられる

◆ 集中力を削ぐもの(スマホ等)から自分を守る環境を作り、フロー状態に入る

 

本書の後半では、「時間を費やすべき大切なことは何か?―取捨選択する方法」「カンバスに、1週間を描いてみる―スケジュールの最適化」および「人生全体を俯瞰してみる―長い目で見ることの効用」について考察しています。主なポイントは以下の通り。

◆ 人は目先の喜びよりも将来的な利益を選ぶ

◆ 楽しめる活動を先送りにしていると、深い後悔の念を抱く可能性も

◆ 有限である時間の中で、自分に喜びをもたらしてくれる活動を優先させる

◆ 最も重要な活動のための時間を確保する

 

◆「やりたい活動」を「やらなければいけない活動」と抱き合わせる

◆ 幸せになれる活動を週全体に分散させる

◆ 1週間を全体としてみることで、「いつするか」へ捉えなおす

◆ 時間を俯瞰することで、幸福感や満足感が高まる

 

◆ 大局的な見方のおかげで、一番幸せに感じる経験は何か、幸せをどう経験するかが歳とともに変化するのがわかる

◆ 人生の満足度を上げる唯一最大の予測因子は、自分を支える強力な人間関係

◆「した後悔」は長引かない、「しなかった後悔」は、引きずって人生最大の後悔に

◆ 最も幸せな時間に焦点を当て、それを祝福できるように自分の時間を作り上げる

 

この本の締めくくりとして著者は、「私の研究でも、本書でも、幸せとは自分次第であることをあきらかにしています。幸せは、選択なのです。毎日、毎時間選んでいくものなのです。」と述べています。

 

あなたも本書を読んで、「幸せな時間」から「幸せな人生」へとしていくために、今、最も幸せな瞬間を確実に「ピーク」として実現し、味わえるようにしてみませんか。

 

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では、今日もハッピーな1日を!【3260日目】