「高齢化先進国をひた走る日本では、3K(健康・経済・孤立)が長寿社会の不安要素として顕在化しています。」と警鐘を鳴らし、ライフデザイン3.0の時代として、QOL(生活の質)を高めるための4つの寿命(生命・健康・資産・つながり)に注目している本があります。
本日紹介するのは、第一生命グループの総合シンクタンクで、経済分野にとどまらず、金融・財政、保険・年金・社会保障から家族・就労・消費などライフデザインに関することまで、ざまざまな分野を研究領域としている第一生命経済研究所が編集、宮木由貴子・的場康子・稲垣円の3名が書いた、こちらの新刊書籍です。
第一生命経済研究所 編、宮木由貴子・的場康子・稲垣円『人生100年時代の「幸せ戦略」:全国2万人調査からみえる多様なライフデザイン』(東洋経済新報社)
この本は、全国2万人調査からわかった、QOLを高め、自分らしく幸せに生きる手がかりをさまざまな切り口で解説している書です。
本書は以下の7部構成から成っています。
1.人生100年時代と「ライフデザイン3.0」
2.幸せな「家族」戦略
3.幸せな「しごと」戦略
4.幸せな「つながり」戦略
5.幸せな「消費」戦略
6.幸せな「健康」戦略
7.幸せな「ライフデザイン」戦略
この本の冒頭で著者は、伸びる平均寿命への挑戦ということで、QOL(=生活の質)を高める、以下の「4つの人生寿命」を考え、「3つの人生資産」をバランスよく考えて備えていくことが重要と説明しています。
◆ 生命寿命: 自分ではコントロールできない「命」
◆ 健康寿命(健康資産): いつまで人に頼らず自立して生活できるか
◆ 資産寿命(経済的資産): 一生涯にどのくらいのお金を準備する必要があるのか
◆ つながり寿命(つながり資産): 社会や友人とのつながりをいつまで維持できるか
これら要素の中で、本書ではとくに「生活の質」=QOLを高め、「幸せ」に生きるための重要な「人生資産」として、人や社会との「つながり」に注目しています。
「つながり」は健康やお金にもよい影響を与える大事なライフデザインの基盤であり、自分なりの「つながり」を構築していく行動が「人生100年時代」を「幸せ」に生きるために大切である、と著者は述べています。
この本で提唱している長寿社会の3K(健康・経済・孤独)の不安や、3つの資産(健康・経済・つながり)に注目し、「幸せ」を軸に戦略を立てていく考え方は、まさに私が昨年、出版した『定年後不安 人生100年時代の生き方』(大杉潤著・角川新書)と共通する考え方、コンセプトで、全面的に共感します。
私の本では、3Kは「カネ」「孤独」「健康」の三大不安とし、「幸福学」の考え方をベースに人生設計図を戦略的に作っていくことを提唱しました。
唯一、本書と異なる部分は、私の場合は「つながり」(「孤立」への不安対策)がベースというのではなく、「仕事」の幸せがすべての「幸せ」のベースになると主張している点です。
そのための戦略が「トリプル・キャリア」という考え方で、働く期間を3つに分けて、長く働き続けることをベースにする、できれば「生涯現役」で仕事をする、ということです。
働き続けることで、「お金」も「つながり」も「健康」も得られ、3Kの不安がいっぺんに解消する、と提唱しています。
さて、本書では人生100年時代を生きるにあたって、自分にとっての幸せを考えるトピックを、次の通り、多様に示しています。
◆ 健康・お金・つながりという人生資産を拡大していく
◆ 多様なつながりと幸福感
◆ 創造社会、共創社会を生きるには、副業・複業・リカレント教育(学びなおし)によるマルチラインの人生
◆ パラレルワーク、フリーランス、学び直し、社会参加活動がキーワード
◆ 60歳を過ぎても生き生き働くには、「健康」「つながり」「学び直し」が大事
◆ 社会参加でつながりをつくる
◆ つながるツールとしてのSNS
◆「自分起点」のつながり再構築
◆「持つこと」より「Happiness = ハピネス」志向
◆「ゆとり感」と「つながり」が幸福感を高める
◆ 健康増進の原動力となるつながり
◆ 健康長寿の鍵は「フレイル(=虚弱)予防」
◆ しっかり噛んで、しっかり食べ、しっかり動く、そして社会参加を高く保つ(栄養・運動・社会参加)
◆ 60代以降も働き続けるため、40~50代にやっておいてよかったことのトップは「生計維持のための収入・仕事の確保」
◆「モビリティ・ライフデザイン」を考える
◆ 主体的な行動による「嬉しい・楽しい」
この本の最後で著者は、まとめとして「人生100年時代の幸せ戦略」を、以下の5つの戦略として掲げています。
1.健康・お金・つながりという人生資産をバランスよく拡大していく
2.つながりで担保するレジリエンス(折れにくい人生)
3.自分の幸せに必要な要素(心身の健康・働きと消費・つながり)を考える
4.幸せを感じるための行動と感性(日々の楽しさ・面白さ・ワクワク感)
5.幸せかどうかを決めるのは自分(自分のあり方を再考し、社会との調和を考慮、幸せにいられる環境を)
本書の結論は、自分が望む人生や生き方を実現する(=QOLを高め幸せに生きていく)ために、「健康」「お金」「yつながり」からなる人生資産を、他の人と比べることなく、自分なりに形成していく、ということです。
そして「重要なメッセージ」として、次の言葉を記しています。
未来を想像し、創造する。
幸せに「なる」視点から、幸せを「感じる」視点へ。
つながることで、価値を生み出す。
あなたも本書を読んで、人生100年時代の「幸せ戦略」を考えてみませんか。
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では、今日もハッピーな1日を!