「シンギュラリティ」という言葉を日本に紹介して広め、「人間のような人工知能、人間を超える超知能を世界に先駆けて開発する必要がある」と提唱している書があります。
本日紹介するのは、宇宙物理学者で理学博士の松田卓也さんが書いた、こちらの本です。
松田卓也『人類を超えるAIは日本から生まれる』(廣済堂新書)
この本は、人工知能(AI)開発をとりまく国内外の現状と課題、そして現実にシンギュラリティを起こし得る技術開発を紹介しています。
本書では「人工知能」を、「人間のように考えることが出来るコンピュータ」と捉えています。そのような人工知能の中でも、とくに「強力なもの」を「超知能」と呼んでいます。
「強力なもの」とは、頭の回転が速い、考えが深い、多様な感覚を持っている、といったような意味です。
本書で紹介している人工知能開発をめぐる動きや、そこから予測される未来は、決してSFではなく、今現在起こっている、あるいは近い将来起ころうとしている現実だ、と著者は言います。
本書は以下の7部構成から成っています。
1.人工知能とは何か-SF映画に見るキーワード
2.人工知能ブームの行方-ディープラーニングの成功と限界
3.トップランナーは誰か-激烈!世界の人工知能開発競争最前線
4.シンギュラリティがやってくる-人工知能が全人類の能力を超える日
5.見えてきた超知能のカタチ-現実的な最短ルートとは
6.人工知能が21世紀の勝者を決める-日本再起のラストチャンス
7.ものづくり大国・日本だからできる-特別対談
本書の冒頭で著者は、アメリカのSF映画で描かれた「マインド・アップローディング」の研究を紹介しています。
「マインド・アップローディング」とは、コンピュータに人間の意識をそのまま移し、人間とまったく同じ人格をつくるような技術です。
人工知能の研究は、これまで私たち人間が知らなかったレベルへ進んできており、「人々は知らないものを恐れる」ということから、そうした研究開発は危機も内包していると本書では警告しています。
また、現在の人工知能ブームの火付け役となったのが、約10年前に登場した「ディープラーニング」と呼ばれる計算手法です。
「ディープラーニング」の技術は、「ニューラルネットワーク」という、脳のニューロン(神経細胞)と、ニューロン同士が情報を伝達するシナプス結合を、数学的にモデル化した計算手法です。
21世紀には行ってから、この「ニューラルネットワーク」のレイヤー(階層)を何段にも重ねれば、高度な推論ができることを、ジェフリー・ヒントンが示し、「ディープラーニング」と名づけられました。
何段にも重ねて「深い」ことから、「ディープ」という名が付けられましたが、一見重ねるのは単純なことに見えますが、実は何段にも重ねた計算をするためには膨大なコンピュータパワーが必要になる、ということです。
続いて本書では、競争を繰り広げる「人工知能開発」のトップランナーとして、グーグル、IBM、フェイスブック、マイクロソフトなどのキープレーヤーの動向を紹介しています。
さらに、これらソフトウェア開発だけでなく、汎用人工知能のハードウェア開発について、有力企業として斉藤元章さんが率いるページコンンピューティングという日本企業も紹介しています。
本書の中盤から後半にかけて、著者の松田さんが前著でも提唱していたシンギュラリティについて、解説しています。
「シンギュラリティ」とは、本来は数学の用語で、関数の値が無限大になる場所を指します。日本語では「特異点」と呼ばれます。
そこから転じて、「シンギュラリティ」とは、人工知能が全人類の能力を超える「技術的特異点」を指す言葉になりました。
その時期が、現在の技術開発の動向から予測すると、2045年頃ではないか、と予測したのが、未来学者のカーツワイルです。
このカーツワイルの提唱した「シンギュラリティ」という概念に加えて、著者の松田さんは本書の後半で、「超知能」や、日本における人工知能開発の将来予測を述べています。
本書の最後には、「特別対談」として、斉藤元章・ページコンンピューティングCEOと著者による対談を収録しています。
あなたも本書を読んで、人類を超える人工知能(AI)が日本から生まれる可能性について、考えてみませんか。
速読法・多読法が身につくレポート 『年間300冊読むビジネス力アップ読書法「17の秘訣」』 を無料で差し上げます。ご請求はこちらをクリックしてください!
https://jun-ohsugi.com/muryou-report
では、今日もハッピーな1日を