「新型コロナウイルスは、生きる基盤となる『住まい』にさまざまな影響を及ぼしました。」と述べて、日本経済は大打撃を受ける中で、会社倒産などの連鎖でダメージを受けないで安心して社会生活を送れるように書かれた本があります。
本日紹介しているのは、OAG司法書士事務所法人・代表、株式会社OAGライフサポート代表取締役で司法書士の太田垣章子さんが書いた、こちらの新刊新書です。
太田垣章子『不動産異変「在宅時代」の住まいと生き方』(ポプラ新書)
この本は、2500件以上の不動産トラブルに立ち会った司法書士が現場で実感した、コロナ後に変えるべきこと、変えてはいけないこと、および「住まい」という新しい生き方を提案している書です。
本書は以下の7部構成から成っています。
1.不機嫌な隣人たち~身近なご近所トラブル~
2.深刻さが増す在宅時代のトラブル
3.コロナ禍で事故物件はどうなる? 対談1 昆祐賢
4.コロナ時代の「家」とは
5.不動産ドミノ倒しはあるのか
6.コロナで変わる任意売却の実態 対談2 高橋愛子
7.コロナ禍から見えた住宅事情
この本の冒頭で著者は、「新型コロナウイルスにより、今まで以上に『死』が身近なものになったかも知れません。」「『死』を考えることは、生きることを考えること。そしてその生きる上で重要なのが『住まい』なのです。」と述べています。
本書の前半では、コロナ禍による緊急事態宣言により可能な限り家の中にいることを強いられる「在宅時代」に急増している近隣トラブルとその深刻さを紹介しています。主な事例は以下の通り。
◆ 騒音、タバコのトラブル
◆ 断捨離、外国人退去とゴミ問題
◆ ひとり暮らしの若い女性の自殺急増
◆ 孤独死による事故物件、相続放棄による賃貸借契約解約までの長期化
◆ 事故物件の特徴は「汚い、臭い」
◆「病は家から」~ 家は心身の健康に大きく影響する(断熱材・カビ・間取り)
この本の中盤では、「コロナ時代の家」および「不動産ドミノ倒しがあるのか」について考察しています。主なポイントは次の通りです。
◆ ゴミ屋敷は心の叫び
◆ 家は住むだけでなく心の癒し場所
◆ コロナで仕事を失う人の厳しさ
◆ 賃貸市場は下落、とくに首都圏以外で顕著
◆「郊外に家を持つ」ための住宅ローン駆け込みはリスクが高い
◆ コロナ禍による賃貸借トラブル増加、裁判の長期化で不動産ドミノ倒しの懸念
◆ 家賃保証会社の経営危機
◆ オリンピック需要を当て込んだ民泊経営の失敗
本書の後半では、コロナ禍での「任意売却の実態」や「住宅事情」について、以下のような問題点が指摘されています。
◆ 任意売却では残債が残る悲劇
◆ コロナでローンを払えない人が急増
◆ 住宅を買う側の「お金の知識」不足
◆ 訴訟を避けたい家主の対策は「声をかけ続ける」こと
◆ コロナでさらに進む「二極化」
◆ 変化できるものだけが生き残れる
◆「住まい」も変化し続ける
新型コロナウイルスは、経済的弱者に容赦なく襲いかかり、職を失って家賃が払えない人が急増している、と著者は言います。
とくにシングルマザー、奨学金をもらいながらアルバイトで生活している学生などに「家賃滞納」が増えているのです。
また、郊外に家を持つ人に対して、著者の次のような指摘は、新刊の拙著『定年ひとり起業』(自由国民社)で提唱している「老後マネープラン」や「終の棲家」戦略と全く同じ考え方であり強く共感します。
◆ 綿密な人生設計はあるのか
◆ 仕事をいつまでするのか
◆ どのようなスタイルでの生活を望むのか
◆ 自分なりの年金額と現在の預貯金
◆ 病気になったときの医療体制
2021年3月13日付ブログの書評記事はこちら。
https://jun-ohsugi.com/column/teinenhitorikigyou/
自分が目指す「人生設計」や「老後ライフスタイル」がほんとうに郊外の住まいと合致するのかをしっかり考えて戦略的に準備することが不可欠なのです。
また著者の太田垣章子さんの前著『老後に住める家がない!』(ポプラ新書)も併せて読むと一層理解が深まるのでお薦めです。
2020年1月19日付ブログの書評記事はこちら。
https://jun-ohsugi.com/column/rougonisumeruieganai/
あなたも本書を読んで、コロナ禍による不動産大異変および「在宅時代」の住まいと生き方について深く考えてみませんか。
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では、今日もハッピーな1日を!【2525日目】