テニスの試合を例にとり、「アマチュアは相手に負けるのではなく、自分のミスで自滅することが多い」と述べて、「投資も同じであり、市場に勝とうとしないことが一番よい方法だ。」と提唱している本があります。
本日紹介するのは、1937年生まれ、イェール大学卒業後、ハーバード・ビジネス・スクールで最優秀MBA、ニューヨーク大学で ph.D.取得、ロックフェラー基金、ドナルドソン・ラフキン・ジェンレットを経て、グリニッジ・アソシエイツを設立し、代表パートナーとして活躍、米国公認証券アナリスト協会会長、ハーバード・ビジネス・スクール、イェール大学大学院にて上級運用理論を教え、現在も大手年金財団、政府機関や富裕層のファミリーオフィス等に投資助言を行っているチャールズ・エリスさんが書いた、こちらの書籍です。
チャールズ・エリス『敗者のゲーム 原著第8版』(日本経済新聞出版)
この本は、過去50年以上にわたり、世界中の超一流の運用プロや研究者に学びながら、運用で成功するための原則をできるだけ明快に説明し、「敗者のゲーム」を「勝者のゲーム」に変える方法を示している書です。
本書は以下の3部構成から成っています。
1.資産運用でまず押さえるべきこと
2.運用を少し理論的に見てみよう
3.人生設計と投資
この本の冒頭で著者は、「私が魅了された資産運用業の高度の専門性は、徐々に短期的な営利主義に脅かされ、多くの人は、資産を長期的に運用するにはどうすればいいか、わからずにいる。」と述べています。
本書の前半では、「資産運用でまず押さえるべきこと」について、著者の見解を説明しています。主なポイントは以下の通りです。
◆ プロの運用機関の7割が1年以上の成績において市場平均を下回る
◆ 10年以上の成績なら8割のプロ運用機関が市場平均を下回る
◆ 15年以上の成績なら9割のプロ運用機関が市場平均を下回る
◆ 機関投資家は、取引所の取引の99%を占めるため、自分自身である市場に勝てない
◆ アマチュアのテニスは敗者のミスによって決まる「敗者のゲーム」
◆ 戦争は「戦略上のミス」を最小にする側が勝つ究極の「敗者のゲーム」
◆ 資産運用と呼ばれるマネーゲームも最近の数十年で「敗者のゲーム」になった
◆ アクティブ・マネージャーが市場平均に勝つには取引コスト 3.25%を上回る実績が必要
◆ 株式市場では「平均への回帰」がつねに働く
◆ 市場を反映するインデックスファンドは手数料、税金、取引コストでメリット
◆ インデックス投資は投資のドリームチーム
◆ 投資で勝ち続けるもっとも簡単な方法は、インデックス・ファンドを活用すること
この本の中盤では、「運用を少し理論的に見てみよう」をテーマとして次のポイントを解説しています。
◆ 人間は非合理的な生き物
◆ 防護は最大の攻撃なり
◆「時間」が教える投資の魅力
◆ 4つのリスク(価格・金利・事業・倒産)が収益を生み出す
◆ 将来の金融資産を見積もってみよう
◆ 低金利時代の現在、債券投資のリスクは大きい
◆ 運用基本方針を作成し、ブレないことが大切
◆ 市場予測は難しく、運用結果に一喜一憂しない
本書の後半では、「人生設計と投資」について考察しています。主なポイントは以下の通り。
◆ しっかりお金を貯める人は長期的視野に立っている
◆ 戦略を立て、具体的な方法を考える
◆ 株式への長期投資こそが最高のリターンをもたらす
◆ 生涯を通じた投資プランを立てる
◆「運用を考える日」をつくる
◆ 人生を豊かにする社会貢献をしよう
◆ 投資で成功する秘訣は、投資計画をしっかり考え、それに沿って長期的に投資すること
◆ 優秀なプロの数は減らない、時間とお金の両方で勝負できるインデックス投資を
この本の巻末には、付録として以下の2つのコラムが掲載されています。
◆ 運用機関との上手な付き合い方ー運用委員会などの役割
◆ 市場に勝てないのは運用関係者全員の責任
あなたも資産運用の常識を変えた伝説の一冊である本書を読んで、「敗者のゲーム」となった資産運用の世界で負けない戦い方を習得してみませんか。
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では、今日もハッピーな1日を!【2783日目】