「がんになるのは突然です。まさに青天の霹靂。初めてのことですから、本人も家族も慌てふためきます。どうしようもないくらい不安に打ちのめされます。」と述べている本があります。
本日紹介するのは、日本大学医学部を卒業後、自治医科大学消化器内科を経て、大阪国際がんセンターにて膵がんセンター内科系部門長を務めて、2020年より山口大学医学部附属病院 腫瘍センター准教授で、腫瘍内科医の井岡達也さんが書いた、こちらの書籍です。
井岡達也『がん治療 うまくいく人、いかない人』(幻冬舎新書)
この本は、がん患者を家族に持つ医師として、できるかぎりわかりやすく、そしてがんを患う方と家族の不安を少しでも取り除くことができるよう心を込めて書かれた書です。
本書は以下の3部構成から成っています。
1.基礎編:がんと診断されたとき知っておくべきこと
2.情報編:自分に合った病院・治療法をどう探すか
3.事例編:がん治療がうまくいく人といかない人の違いは何か
この本の冒頭で著者は、「医師からがんの告知、治療計画の話がある際に、どのくらい冷静に受け止められるか、的確な質問、相談ができるかが、今後の治療がうまくいくか否かの岐路となると言っても過言ではありません。」と述べています。
本書の前半では、「基礎編:がんと診断されたとき知っておくべきこと」として、以下のポイントを説明しています。
◆ 告知を受けるときは家族と一緒に
◆ がんの診断は組織検査による「確定診断」とCT検査による「画像診断」がある
◆ 進行が速いがんと遅いがんがある
◆ どこのがんで転移はあるのかを確認する
◆ 家族の中でキーパーソンが必要
この本の中何では、「情報編:自分に合った病院・治療法をどう探すか」について解説しています。主なポイントは次の通り。
◆ かかりつけ医はがん治療の病院選びでも頼りになる
◆ インターネットで「がん情報サービス」を使いこなす
◆ 主治医が決まる前は、がん相談支援センターなどプロに相談する
◆ 治療法、お金の不安、セカンドオピニオンを検討、日々の記録(日記)をつける
◆ 治験や先進医療の選択もある
本書の後半では、「事例編:がん治療がうまくいく人といかない人の違いは何か」について考察しています。主なポイントは以下の通りです。
◆ 効果が証明された「民間療法」はない
◆ とにかく食べて、体力をつける
◆ 家族みんなで支え、お金も後悔しない使い方をする
◆ 悪い結果も想定して情報収集
◆ 医師と患者の対立的なコミュニケーションは治療の質を落とす
◆ 良い結果を過大評価せず、悪い結果に気を落とさない
◆ 楽観的にも悲観的にもなり過ぎず、主治医を信じる
◆ 会社も辞めず、治療も辞めず
この本の締めくくりとして著者は、「私はがんの治療にも多様性があってよいと確信しています。」と述べています。
そして、「忘れてはならないのが、患者本人が主役で、がん治療はチームで取り組むということ。」と続けています。
本書の巻末には、「がん治療 うまくいく人の10カ条」が、次の取り掲載されていて参考になります。
1.主治医を敵に回さない
2.同じ病院のネットワークや家族全員でとことん話し合う
3.治療は「高かろう、良かろう」ではない
4.うまい話・「治る」話に飛びつかない
5.医師以外の医療者の名前も覚えよう
6.治療がつらいとき、それでも医療者を恨まない
7.ラクする経費を惜しまない
8.少し先の目標を上手につくる
9.「周りに迷惑をかけたくない」と思い過ぎない
10.仕事(社会生活)を辞めない
あなたも本書を読んで、「がん治療がうまくいく人」に学び、万一のときに実践できるように備えていきませんか。
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では、今日もハッピーな1日を!【2981日目】