書評ブログ

梅原大吾 『勝ち続ける意志力』 (小学館101新書)

梅原大吾氏は、1981年青森生まれで、日本人で初めて 「プロ・ゲーマー」 という職種を築いた 「プロ格闘ゲーマー」 だ。1998年、17歳にして格闘ゲームで世界一となった。

その後、2010年には、「世界で最も長く賞金を稼いでいるプロ・ゲーマー」 としてギネスに認定される。また、同年には米国企業とプロ契約も締結した。

本書は、プロのゲーマーとして生きていくことになった梅原氏が試行錯誤の末、獲得した 「勝ち続ける人」 に共通する力について記した書だ。

本書は以下の6部から構成されている。

1.そして、世界一になった
2.99.9%の人は勝ち続けられない
3.ゲームと絶望と麻雀と介護
4.目標と目的は違う
5.ゲームに感謝
6.エピローグ

本書によれば、「勝ち続ける」 極意は、つねに 「考える」 努力をする人だ。著者は、エジソンの次の言葉を紹介して説明している。「成功しない人間は、考える努力をしない人間である。」

常に勝てる人、常に勝ちたいと願っている人は、考えることが日常で、人よりも物事を深く考えられるようになる。普段から角度を変えて考える癖をつけておくと、壁にぶつかったときに自分の力で乗り越えることができる。

梅原氏は、ゲームにのめり込む中で、たくさんの本を読んだ。スポーツ選手の自伝や将棋の名人のエピソード記事など、勝負の世界で生きている人達の言葉は、さまざまな気づきをもたらしてくれたようだ。

「勝ち続ける」 ために必要なこと、もうひとつは 「変化し続けること」 だ。自分を変えるとき、変化するためのコツは、「そうすることで良くなるかどうかまで考えない」 ということだ。

もし悪くなったら、それに気付いたときに、また変えればいい。失敗して、どん底から立ち直った人間は顔つきが違う。目に力が宿っていて、絶対に負けを認めない信念がある。

世界のトップレベルで勝ち続けている人は皆、そのように常により高いところを目指して、変化し続ける努力を怠らない。変化し続けるためには、以下の2点が大切だ。

1.新しいものを否定しないこと
2.新しいものから素直に学ぶ姿勢を忘れないこと

「勝ち続ける」 極意の最後は、「集中力」 だ。「集中力」 は、他人の目をいかに排斥し、自分自身とどれだけ向き合うかによって養われる。梅原氏は、「目標」 に過ぎない大会に固執せず、「目的」 である自身の成長に目を向けている。

新しいことにチャレンジする人生を進んでいる人に、本書は大きな力を与えてくれる。ぜひ、チャレンジしながら、ぜひ本書の一読を薦めたい。