「途上国で巨額の利益を上げ、コロナ禍で再び火がついた教育ビジネスは、先進国日本の子どもたちに、次の狙いを定めている。『今だけ金だけ自分だけ』の強欲資本主義が、デジタル化によって、いよいよ最終ステージに入るのが見えるだろうか。」と述べている本があります。
本日紹介するのは、ニューヨーク市立大学国際関係論学科卒、ニューヨーク市立大学大学院国際関係論学科修士号、国連、米野村證券などを経て、現在は国際ジャーナリストの堤未果さんが書いた、こちらの書籍です。
堤未果『デジタル・ファシズム 日本の資産と主権が消える』(NHK出版新書)
この本は、テクノロジーの華やかさとスピードの裏でこの国に迫りくる危機と、同じ敵からかけがえのない宝物を守るために、動き出した世界の仲間たちから手渡された勇気と知恵を、心ある日本の人々に、一人でも多く伝えるために書かれた書です。
本書は以下の9部構成から成っています。
1.最高権力と利権の館「デジタル庁」
2.「スーパーシティ」の主権は誰に?
3.デジタル政府に必要なたった一つのこと
4.本当は怖いスマホ決済
5.熾烈なデジタルマネー戦争
6.お金の主権を手放すな
7.グーグルが教室に来る!?
8.オンライン教育というドル箱
9.教科書のない学校
この本の冒頭で著者は、「デジタルはファシズムと組み合わさった時、最もその獰猛さを発揮する。」と警告しています。
本書の前半では、「政府が狙われる」をテーマに、「最高権力と利権の館・デジタル庁」、「スーパーシティの主権は誰に?」および「デジタル政府に必要なたった一つのこと」について解説しています。主なポイントは以下の通り。
◆ デジタル庁の特徴3つ(①巨大な権限、②巨額の予算、③民間企業との回転ドア)
◆ デジタル化に向かう日本を包囲するGAFAとBATH
◆ スーパーシティ3つの落とし穴(①業者選定、②住民被害の責任問題、③個人情報の保護)
◆ デジタル版「国家戦略特区」
◆ サーバーを自国に置くように要求する「データローカリゼーション」
◆ 世界のエリート集団が描くデジタル新世界「グレート・リセット」
◆ 難民の行動をデジタルIDで管理するID2020計画
◆ 個人情報保護は、政府の誠実さの指標
この本の中盤では、「マネーが狙われる」をテーマとして、「本当は怖いスマホ決済」、「熾烈なデジタルマネー戦争」および「お金の主権を手放すな」について以下のポイントを説明しています。
◆ 現金大国日本とキャッシュレス決済1位の韓国
◆ 信用スコア(学歴、勤務先、資産、人脈、行動)で点数化される監視国家の中国
◆ 国民の個人情報を商品化したSaaS(=Surveillance as a Service)
◆ デジタル給与で外資が笑う
◆ デジタル通貨の発行を煽るアクセンチュア
◆ アメリカのドル支配から逃げ出したい国々
◆ 国家の通貨発行権が消滅する「世界統一デジタル通貨」
◆ 秒速で決済完了する体内マイクロチップ
◆ 2024年のタンス預金没収?(新紙幣発行)
◆ キャッシュレスの次はデジタル財産税
◆ 高齢者を狙うデジタル訪問販売詐欺
◆ 新韓銀行と手を組むゆうちょ銀行の信用スコア
本書の後半では、「教育が狙われる」をテーマとして、「グーグルが教室に来る!?」、「オンライン教育というドル箱」および「教科書のない学校」について考察しています。主なポイントは次の通りです。
◆ 4600億円利権のGIGAスクール構想(タブレット支給、クラウド活用、高速大容量インターネット通信環境整備)
◆ 膨大な生徒の個人データを収集するグーグル
◆ 公立学校の敷地に5G基地局を設置
◆ 加速するオンライン教育
◆ アメリカ発のオンライン教育ビジネス
◆ マイケル・モーによる「ヘルスケア産業の次は教育産業」という予測
◆ 費用は税金、運営は民間で利益至上主義のチャータースクール
◆ デジタル化してバーチャルスクールにという潮流
◆ AI教師のみになる日
◆ 教科書のない学校へ
◆ 情報の多様性を体で感じる大切さ
◆ タブレットは情報格差を見えなくする
この本の締めくくりとして著者は、「EUでは個人情報の保護を基本的人権とみなして保護する一般データ保護規制(GDPR)が施行された」ことを紹介しています。
そして、このGDPRが潮目を変え、データを収集した企業側でなく、データを提供した個人に所有権を与える「デジタル権利法」を提案する動きが出ている、と著者は言います。
あなたも本書を読んで、街も給与も教育も米中の支配下になりかねない「デジタル・ファシズム」の脅威について学び、日本の資産と主権を守っていきませんか。
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では、今日もハッピーな1日を!【2675日目】