「世界が重大な歴史的転換点を迎えているのは明らかで、歴史家として見れば、きわめて興味深い局面に立ち会っている。」と述べて、「米国は ”支援” することでウクライナを破壊している」と説いている本があります。
本日紹介するのは、1951年生まれ、フランスの歴史人口学者、家族人類学者で、地域ごとの家族システムの違いや人口動態に着目する方法論により、トランプ勝利、英国EU離脱などを次々に予言してきたエマニュエル・トッドさんが書いた、こちらの書籍です。
エマニュエル・トッド『第三次世界大戦はもう始まっている』(文春新書)
この本は、ロシアのウクライナ侵攻が始まって以来、著者のエマニュエル・トッドさんが初めて自分の見解を公にした書です。
本書は以下の4部構成から成っています。
1.第三次世界大戦はもう始まっている
2.「ウクライナ問題」を作ったのはロシアでなくEUだ
3.「ロシア恐怖症」は米国の衰退の現れだ
4.「ウクライナ戦争」の人類学
この本の冒頭で著者は、「この戦争がいつまで続くのか、言語どうなるのか。事態は流動的で、信頼できる情報も限られ、現時点で先を見通すのは困難です。」と述べています。
本書の前半では、「第三次世界大戦はもう始まっている」というテーマで、著者の見解を説明しています。主なポイントは以下の通りです。
◆ ウクライナを武装化した米国と英国
◆ ウクライナ軍が抵抗するほど戦争は激化
◆ すでに第三次世界大戦に突入した
◆ 超大国は一つだけより、二つ以上あったほうがいい
◆ 米国の誤算、ロシアにとっても予想外
◆ 共同体家族のロシアと核家族のウクライナ
◆「国家」として存在していなかったウクライナ
◆ ネオナチと手を組んだヨーロッパ
◆ 国家建設に成功したロシアと失敗したウクライナ
◆ ロシアはすでに実質的に勝利している
◆ 経済におけるバーチャルとリアルの戦い
◆ 対露制裁で、欧州は犠牲者に
◆ ポーランドの動きに注意せよ
◆ もっとも予測不能な米国
◆ 米国の危うさや不確かさは日本にとって最大のリスク
◆ 西洋は「世界」の一部でしかない
この本の中盤では、「ウクライナ問題を作ったのはロシアでなくEUだ」および「ロシア恐怖症は米国の衰退の現れだ」について、次のポイントを解説しています。
◆ ウクライナに関心があるのは、ドイツ、ポーランド、スウェーデンの三国のみ
◆ EUがウクライナを破壊した
◆ 人口動態が示すロシアの復活
◆「国家建設」に失敗したウクライナ
◆ ロシアとの共存以外に選択肢はない
◆ 人口動態から見るロシアの復活と米国の危機
◆ アメリカの「黒人も平等」が「白人間の平等」を破壊
◆ 高等教育による新たな階層化
本書の後半では、「ウクライナ戦争の人類学」について考察しています。主なポイントは以下の通り。
◆ 第二次世界大戦より第一次世界大戦に似ている
◆ 正しかったミアシャイマーの指摘
◆ 時代遅れの「戦車」と「空母」
◆「高度な軍事技術」よりも「兵器の生産力」
◆ ヨーロッパ経済はインフレに耐えられるか
◆ 真の経済力はエンジニアで測られる
◆「地政=精神分析学」が必要だ
◆「反露感情」で経済的に自殺するドイツ
あなたも本書を読んで、戦争の構造を理解し、今後の行方を予測してみませんか。
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では、今日もハッピーな1日を!【2914日目】