「インターネットでなんでも検索できる時代ですが、お金のこととなると、ある程度の予備知識がなければ、検索結果が読み解けないことが少なくありません。」と述べて、個別相談と同じくらいわかりやすく老後のお金について理解できるように会話形式で書かれた本があります。
本日紹介するのは、東京都生まれ、小学校から10年間をアジア金融の中心地シンガポールで過ごし、大学卒業後に日本国内の外資系銀行にて専属ファイナンシャルプランナー(FP)として活躍したのち、2011年に独立して、「お金の総合相談窓口」として約2万人のマネー不安、老後不安を解消してきた、株式会社アルファ・ファイナンシャルプランナーズ代表取締役の田中佑輝さんが書いた、こちらの書籍です。
田中佑輝『貯金、そんなにないんですけど、老後のお金、だいじょうぶでしょうか?: 50代から考えておきたい“お金の基本』(大和出版)
この本は、都市圏の住宅街に住む58歳の会社員ふたりと自営業歴20年のFP(元銀行員)の同級生3名が織りなす「老後のお金」に関する個別相談の様子を会話形式にて記している書です。
本書は以下の8部構成から成っています。
1.「現役」から「老後」までの大切な時間に必ずやっておくべきこと
2.お金を最も長生きさせるには? 貯金額より知恵が幸せを引き寄せる
3.生涯支出をまるごと見える化する。すると安心のバランスシートが手に入る
4.チェック次第で年金は増やせる。もらえる年金を夫婦合算で全部つかもう
5.退職金が微妙でも全然心配ない! 大切なのは「賢い計画」「カメられない運用」
6.「悠々自適な仕事」でいい。短く働くだけでマネー効果は生涯に及ぶ
7.低リスク運用法をここで総ざらえ。インフレをハネ返すリターン獲得法
8.「足りない」でなく「どう足すか」がキモ。限りなく豊かなセカンドライフを開こう
この本の冒頭で著者は、「マネーリテラシー」について、お金の上手な使い方、増やし方のベースとなる「お金の知恵」と説明し、次の3つの内容から成る、と説明しています。
◆ 家計管理
◆ 生活設計(ライフプラン)
◆ 金融知識(金融知識及び金融経済事情の理解と適切な金融商品の利用選択)
◆ 情報活用(外部の知見の適切な活用)
本書の前半では、「お金を長生きさせる知恵」および「生涯支出の見える化」について、以下のポイントを説明しています。
◆ 年収の高い人ほど、金銭感覚がゆるみやすい(限界効用逓減の法則により)
◆ 年金/現役時代の年収である「所得代替率」が老後のラクチン度
◆ 定年が65歳でも「収支の定年」は60歳
◆「少しの稼ぎ」「少しの節約」がお金の寿命を大いに延ばす
◆ 老後も高収入を求めるなら再雇用より業務委託が狙い目
◆ お金の使い方=自分の価値観
◆ 基本生活費・基本突発支出・限定生活費・限定突発支出・超突発支出を洗い出す
◆ 不測の事態である医療・介護費は制度活用で賄う
◆ 保険を活用すればプラスの遺産だけの相続もできる
この本の中盤では、「夫婦で年金を増やす」こと、および「退職金の運用」について考察しています。主なポイントは以下の通り。
◆ ねんきん定期便は4カ所をチェック
◆ 年金は夫婦合算で考える
◆ 年金の繰り下げ受給を把握する
◆ 確定拠出年金の種類を把握する
◆ 退職金は一時金受け取りが有利
◆ 浪費を防ぐには、お金を手元に置かない
◆ 金融機関が勧める商品には「ウラがあるかも」と思おう
◆ お金をつくるために家を売るのは万策尽きた局面
◆ 戸建ての建て替えを考えるなら、マンションへの住み替えが現実的
本書の後半で著者は、「悠々自適な仕事」および「低リスク運用法」について解説しています。主なポイントは次の通りです。
◆ 定年後の仕事は、やりがいを中心に選ぶ
◆ シミュレーションの時は「働くのは75歳まで」と決めておく
◆ シミュレーションは、収入は少な目、支出は多めに見ておく
◆ 妻が働くと、老後はグッと明るくなる
◆ 小さい節約でもチリツモ効果は大きい
◆ 3か月の生活費、3年以内に使うお金は手元に、あとは運用する
◆ 手間をかけたくないなら投資信託
◆ 投信の分配金毎月受取型は避ける
◆ バランス型ファンドは面倒な「リアロケーション」してくれる
◆ 今最も安定したお勧め商品は、不動産小口化商品
この本の最後で著者は、「お金の問題解決は人生の問題解決に直結する」と述べています。確かに人生の悩みの9割以上はお金で解決できるからです。
あなたも本書を読んで、50代から考えておきたい「お金の基本」を学び、「お金がない」と嘆くかわりに「どうすればお金を足せるか」を考えてみませんか。
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では、今日もハッピーな1日を!【2585日目】