「知財は、『守るもの』ではない――ビジネスに組み込めば、売上と利益を生み出す武器になる!」― 特許、商標、ブランド、デザイン、製造ノウハウ、データ、そして顧客との信頼関係。企業の中には、目には見えない「お宝」が数多く眠っています。それらをどう組み合わせ、ビジネスモデルとして収益につなげるのか。国内外30社の事例から「知財で稼ぐ仕組み」を解説した一冊があります。

本日紹介するのは、三菱総合研究所、デロイトトーマツコンサルティングを経て、現在は技術、ブランド、デザイン、コンテンツなどの知財を起点とした事業づくりを支援するコンサルティング会社・テックコンシリエを経営し、新規事業の立ち上げ、企業買収時の技術交渉、業界を巻き込んだ仕組みづくり、研究開発組織改革など、知財をビジネスモデルにつなげる支援を1,200件以上手掛けてきた知財ビジネスプロデューサー、鈴木健二郎(すずき・けんじろう)さんが著した、こちらの書籍です。

鈴木健二郎『図解でわかる 知財で稼ぐビジネスモデル大全』(扶桑社)

 

知財には、技術や特許だけでなく、製造ノウハウ、ブランド、デザイン、コンテンツ、データ、さらには長年培ってきた顧客との信頼関係まで含まれます。

そして重要なのは、知財を取得して終わるのではなく、「どのようにビジネスモデルへ組み込み、利益を生み出すか」です。

本書では、知財を活用する戦略を、「差別化主導型」「共創・拡張型」「標準化主導型」「エコシステム型」という4つに分類し、さらに10の実践パターンへ整理しています。

ダイソン、TSMC、YKK、スターバックス、ロート製薬、任天堂など国内外30社の事例を共通のフレームワークで分析し、「何を守り、何を秘匿し、何を開放し、どこで稼ぐのか」を明らかにしていきます。

本書は以下の4部構成から成っています。

1.あなたの会社にも「お宝」が眠っている

2.知財は「使い方」で決まるービジネスモデルが変わる10のパターン

3.あの会社は知財をこう使っているー30社の知財戦略を読み解く

4.「で、うちはどうすればいいの?」にお答えします

 

本書の前半では、知財に対する基本的な考え方について、以下のポイントを説明しています。

◆ 知財は特許や商標だけでなく、ノウハウ、ブランド、デザイン、データなど幅広い資産

◆ 長年蓄積してきた顧客との信頼や取引関係も、競争力を生み出す「見えない資産」に

◆ 知財は取得して終わりではなく、ビジネスモデルに組み込んで初めて収益につながる

◆ 「何を守り、何を秘匿し、何を開放するか」を戦略的に決めることが重要になる

◆ 小さな会社にも、収益化されていない独自技術やノウハウという「お宝」がある

 

この本の中盤では、知財を収益へ変えるビジネスモデルについて解説しています。主なポイントは次の通り。

◆「差別化主導型」は、独自の知財を囲い込み、他社が真似できない強みをつくる

◆「共創・拡張型」は、他社と知財を組み合わせることで新しい市場や価値を生み出す

◆「標準化主導型」は、あえて知財を開放し、自社に有利な市場のルールをつくる

◆「エコシステム型」は、多くの企業や顧客を巻き込み、知財を中心に価値を循環させる

◆ 知財戦略では、すべて囲い込むのでなく「閉じる部分」と「開く部分」の設計が重要

 

本書の後半では、国内外30社の事例と、自社への応用方法について説明・提言しています。主なポイントは以下の通りです。

◆ ダイソンなどの事例から、独自技術を商品価値へ転換する方法を学ぶことができる

◆ TSMCやYKKなど、製造技術やノウハウそのものを競争優位につなげる企業もある

◆ スターバックスのように、ブランドや顧客体験も重要な知財として機能する

◆ 任天堂などの事例ではコンテンツやキャラクターを多方面へ展開する知財活用が見える

◆ 他社成功事例を自社の「見えない資産」に置き換えて考えることが、知財戦略の出発点

 

本書を読んで最も興味深く感じたのは、知財を「権利」ではなく「ビジネスモデル」として捉えていることです。

その意味で重要なのが、「何を守るか」だけでなく「何を開放するか」という発想です。

従来の知財戦略では、できるだけ自社で囲い込み、他社に使わせないことが競争優位につながると考えられてきました。

しかし現在は、あえて技術や仕組みの一部を他社へ開放し、仲間を増やすことで市場そのものを大きくする戦略もあります。

自社だけで利益を独占するのではなく、業界全体のエコシステムをつくり、その中で自社が重要なポジションを確保する。これも知財を使った「稼ぎ方」なのです。

とくにAIが急速に普及する時代には、「誰でも簡単につくれるもの」の価値は相対的に下がっていくでしょう。

その一方で、長年の経験から生まれた独自ノウハウ、信頼されるブランド、顧客との関係、オリジナルのコンテンツなど、簡単にはコピーできない「見えない資産」の重要性はますます高まります。

「自分たちには、他社が簡単には真似できない何があるのか」を棚卸しすることが重要になります。知財を「守るためのコスト」から「稼ぐための資産」へ変える。これこそが、本書が伝える最も重要なメッセージでしょう。

経営者や新規事業担当者、商品開発に携わる人はもちろん、価格競争から抜け出したい中小企業、自社の強みをどう収益化すればいいか悩んでいる人、そしてAI時代に「自分にしかない価値」をどうつくるか考えたい人に、ぜひ読んでほしい一冊です。

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では、今日もハッピーな1日を!【4217日目】