書評ブログ

『CFO思考 日本企業最大の「欠落」とその処方箋』

「日本はもはやアジアの盟主ですらなく、先進国の中でも貧しい国のひとつになっています。」「この現状を覆すにはどうすればよいか?」「その答えは『SFO思考』にあると私は思っています。」と述べている本があります。

 

本日紹介するのは、慶應義塾大学卒業、ペンシルベニア大学経営大学院(ウォートン・スクール)Advanced Management Programu for Overseas Bankers修了、三菱UFJフィナンシャル・グループCEO(最高財務責任者)、米国ユニオンバンク取締役を経て、現在はニコン取締役専務執行役員CFO徳成旨亮さんが書いた、こちらの書籍です。

 

徳成旨亮『CFO思考 日本企業最大の「欠落」とその処方箋』(ダイヤモンド社)

 

この本は、「CFOは冷徹な計算と非合理的なまでの熱意を併せ持ち、企業成長のエンジンとなるべき」という考え方を「CFO思考」と呼び、「CFO思考こそが、企業のパーパス(存在意義・目的)を実現させる」という結論を記した書です。

 

 

本書は以下の5部構成から成っています。

 

1.CFOは誰と向き合い、何を動かす存在なのか

2.CFOはどのような仕事をしているのか

3.CFOが担う10の責任領域と役割

4.「CFO思考」で日本経済に成長を

5.グローバルで活躍できるCFOへのキャリアステップ

 

この本の冒頭で著者は、「CFOという仕事の魅力と楽しさを、グローバルな経験から伝えたい」と述べています。

 

 

本書の前半では、「CFOは誰と向き合い、何を動かす存在なのか」について、以下のポイントを説明しています。

 

金融界の覇権は、銀行から投資銀行、そして資産運用会社へ

◆ ピケティの不等式「 g < r(成長率<資本収益率)」

◆ 日本の資産運用業界は安定志向の「草食系」

◆ 投資家の期待リターンである「資本コスト」を知ることがCFOの第一歩

 

◆ ROE8%が経営者としても責務

◆ アクティビスト(モノ言う株主)のパターン:①ノンコア事業の売却、②株主還元の拡大(増配、自己株式取得)

◆ ステークホルダーは会社に何かを賭けている人々

◆ 従業員、取引先、債権者、社会、株主

◆ CFOは、ステークホルダーと会社との結節点

 

 

この本の中盤では、CFOはどのような仕事をしているのか」およびCFOが担う10の責任領域と役割」について解説しています。主なポイントは次の通り。

 

◆ MUFGのパーパスは、「世界が進む力になる」

◆ 台湾TSMLと蘭ASMLの半導体2強が先端半導体の製造を独占

◆ ニコン復活の3つの作戦:①バランスシート最適化、②カメラ事業の黒字化、③新たな収益の柱を確立

◆ 人材を資本としてとらえて価値を最大限に引き出す「人的資本経営」

◆ 非財務価値を財務勝ちにつなげるストーリーを

 

◆ 米国のCFOは「Cスイート」と呼ばれる経営スルートップの一員

◆ CEOとのすれ違い(パーセプション・ギャップ)を起こさない

◆ CFOが関与する10の責任領域:①経理、②予算、③税務、④財務(負債・資本)

◆ ⑤リスクマネジメント、⑥DX、⑦人的資本経営、⑧コーポレートガバナンス

◆ ⑨IR、⑩経営戦略

 

◆ CFOは経営トップのCEOに影響を及ぼし得る立場

◆ リスクと資本と収益の三位一体のマネジメントができる立場

◆「顔役」として社内外に影響を及ぼし得る立場

◆ 企業として本来発揮すべきアニマルスピリッツを活性化する

 

 

本書の後半では、「CFO思考で日本経済に成長を」およびグローバルで活躍できるCFOへのキャリアステップ」について考察しています。主なポイントは以下の通りです。

 

◆ 日本銀行が日本最大の投資家

◆「金庫番思考」なのか「アニマルスピリッツ」なのか

◆ 米国資本主義の根幹:①DE&I、②ごお売り主義、③エンターテインメント性

◆「安定性」と「成長性」を両立させる日本企業のチャレンジ

 

◆ CFOを目指す中間地点「FP&A」(Financial & Plannning Analysis)

◆ FP&Aha,①企画+財務、②ダブルレポーティング、③

◆ 数字に強くコミュニケーション能力がある助成CFOが増加

◆ 1人あたりGDP=(労働生産性)×(労働参加率)

◆ 誰もが備えている「アニマルスピリッツ」のDNA

 

この本の締めくくりとして著者は、「日本経済や日本企業に欠落している最大のものは、技術でも人材でもなく、経営者のアニマルスピリッツである」と述べています。

 

 

あなたも本書を読んで、企業のパーパス(存在意義・目的)を実現させる「CFO思考」を学び、キャリアで実践していきませんか。

 

 

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では、今日もハッピーな1日を!【3154日目】