1959年4月創刊で、日本の総合週刊誌として老舗の『週刊文春』が時代を象徴する事件のスクープを連発し続ける理由を解説している本があります。
本日紹介するのは、2016年に数多くの政治家スキャンダルや芸能人の不倫現場の直撃で話題になり、「文春砲」という言葉が流行語にもなった、週刊文春編集部が書いた、こちらの新刊新書です。
週刊文春編集部『文春砲 スクープはいかにして生まれるのか?』(角川新書)
この本は、出版不況と言われる中で、2016年に4度の完売を出した『週刊文春』がなぜ、スクープを連発できたのか、その舞台裏を描いた書です。
本書は以下の4部構成から成っています。
1.スクープ記事はどのようにつくられるのか (新谷学『週刊文春』編集長)
2.スキャンダルの構造 (渡邊庸三『週刊文春』特集班デスク)
3.政治とスクープ (加藤晃彦『週刊文春』特集班デスク)
4.メディアの可能性 (新谷学『週刊文春』編集長)
また、それぞれ途中に、実際のスクープを出した際の、ネタの入手や取材の進め方、記事にするまでの障害や苦労などの経緯が、細かく具体的に書かれたケース紹介を、次のスクープについて記しています。
◆ “ スキャンダル処女 ” ベッキー禁断愛
◆ 甘利明大臣金銭授受告発
◆ 元少年A直撃
◆ ショーンK経歴詐称
◆ 舛添知事公私混同問題
これら2016年に『週刊文春』が放ったスクープの反響は凄まじく、まさに「文春砲」と呼ぶに相応しい影響力でした。
本書の冒頭で編集長の新谷学さんは、「週刊文春はどうしてスクープを取れるのか」という質問を何度もされた答えとして、「狙っているからです」という答えを紹介しています。
そうした週刊文春のスクープを狙うDNAを紹介し、1週間のスケジュールやメンバーの役割分担など、「文春砲」の舞台裏をかなり赤裸々に、この本では紹介しています。
それは、個人も含めて誰でも情報発信が可能になったネット時代には、情報発信者の実像や取材の過程も含めた透明性が大切になることから、今回、企業秘密になるようなことも公開に踏み切った、ということです。
また本書の随所で記されている、以下のような『週刊文春』の姿勢や基本方針には共感を覚え、感銘を受けました。
◆ 人に会い続けることが仕事
◆ 目指すのは裁きではなくエンターテインメント
◆ ファクトの力と看板が生命線
◆ 親しき仲にもスキャンダル
◆ ムダな仕事、ムダな期間などはない
◆ デスクに求められる三要件-①情報収集力、②原稿を書く力、③統率力・マネジメント力
◆ 狙わなければスクープは取れない
◆ プライベートを報じる社会性や人間模様
◆ スクープに吹き込まれる人間の本質
◆ 書くことをやめてはいけない
◆ 圧力をかけられるのは歓迎
◆ 民意はコントロールできない
本書を読むと、なぜ『週刊文春』が読者の支持を集め、大きな反響を引き起こすのか、という理由がよく分かります。
また、本書と併せて、編集長の新谷学さんが書いた、こちらの書籍を読めば、より編集方針や仕事術がよく理解できるのでお薦めです。
新谷学『「週刊文春」 編集長の仕事術』(ダイヤモンド社)
また、2017年4月8日付ブログ記事の書評も参照してください。
あなたも本書を読んで、スクープの舞台裏や仕事術について、学んでみませんか。
速読法・多読法が身につくレポート 『年間300冊読むビジネス力アップ読書法「17の秘訣」』 を無料で差し上げます。ご請求はこちらをクリックしてください!
https://jun-ohsugi.com/muryou-report
では、今日もハッピーな1日を