「仮想通貨を支える情報技術、ブロックチェーンがいま、応用対象を拡大し、ビジネスや経済、社会の姿を劇的に変えようとしている。」と解説している本があります。
本日紹介するのは、早稲田大学ファイナンス総合研究所顧問、一橋大学名誉教授の野口悠紀雄さんが書いた、こちらの書籍です。
野口悠紀雄『ブロックチェーン革命 分散自律型社会の出現』(日本経済新聞出版社)
この本は、ブロックチェーンが引き起こす社会変化を書いたものです。組織に頼らずに、個人の力を発揮できる社会が実現すること、そして組織の在り方が変わり、人々の働き方が変わります。
つまり、人々が直接に連絡し、取引する社会が実現すると、本書では予測しています。飛行機が革命であったように、そしてインターネットが革命であったように、ブロックチェーンも革命だ、と著者は言います。
本書は以下の12部構成から成っています。
1.ブロックチェーンが地殻変動を引き起こす
2.ブロックチェーン革命の到来
3.ブロックチェーンの応用(1)ビットコインの成長
4.ブロックチェーンの応用(2)銀行も導入
5.ブロックチェーンの応用(3)証券業に革命的変化
6.在来技術型のフィンテックとその限界
7.ブロックチェーンは通貨と金融をどう変えるか
8.ブロックチェーンの応用(4)事実の証明
9.ブロックチェーンの応用(5)I o T
10.分散型自律組織や分散市場がすでに誕生
11.分散型自律組織はいかなる未来を作るか
12.われわれは、どのような社会を実現できるか
本書の冒頭で著者は、「ブロックチェーンが引き起こす社会変動はあまりに根源的なものであるため、全体像をつかみにくい」と述べ、最初に全体像を明らかにしています。
まず、ブロックチェーンとは、電子的な情報を記録する新しい仕組みであるとして、人や組織を信頼しなくても安心して取引ができる trustless system だと説明しています。
trustless system とは、「信頼できないシステム」という意味ではなく、「個人や組織を信頼しなくても安心して取引ができるシステム」という意味です。
そういう意味では、時々用いられる Trustless trust system という言葉の方が正確だと言えます。
ブロックチェーンを用いた事業では、事業の進め方はプロトコル(コンピュータが従うべき手順の規則集)として定めてあり、いったん書き込まれたデータは事実上、書き換えることが不可能です。
したがって、そこに書き込まれているデータは正しいことになり、管理者が不在でも信頼性が高く安心して取引ができる、というシステムになるのです。
こうしたブロックチェーンの技術解説については、要約して伝えることが難しいので、興味ある方はぜひ本書を手に取ってお読みください。
もうひとつ、ブロックチェーンが画期的なのは、これまでのインターネットが「情報のインターネット」だったのに対して、ブロックチェーンが「経済価値のインターネット」になることです。
つまり、貨幣など経済的に価値あるものを送ることが、ブロックチェーンでは可能になった、ということです。
本書において、ブロックチェーンを革命だとしているのは、金融業が大きく変わることになるし、世界が今、その潜在力に気付き始めていることがあります。
本書の各論では、ブロックチェーンの応用について、以下のテーマで詳細な解説がなされています。
◆ ビットコインの成長
◆ 銀行による導入
◆ 証券業における革命的変化
◆ 公的機関の登記・登録・履歴トラッキング
◆ シェアリングや I o T への応用
また本書の後半では、ブロックチェーン技術を使うことによる「分散型自律組織」をいかに作り、どのような社会を実現していくかという展望が記されていて参考になります。
本書の巻末には補論として、以下の論点が整理され、参考文献も掲載されています。
◆ 仮想通貨と電子マネーの法律上の定義
◆ 現在の決済システムの概要
あなたも本書を読んで、ブロックチェーンに関する正確な知識とその潜在的な可能性を学んでみませんか。
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では、今日もハッピーな1日を