「“中流社会”という幻想が崩れ、いま日本では“新しい階級社会”が定着しつつある」――そんな衝撃の現実を、豊富なデータと冷静な分析で突きつけてくれる書籍があります。
本日紹介するのは、階級論の第一人者であり、早稲田大学人間科学学術院教授として活躍する社会学者、橋本健二さんのこちらの新刊書籍です。
橋本健二『新しい階級社会 最新データが明かす<格差拡大の未来>』(講談社現代新書)
この本は、1980年前後から急速に進行した日本社会の格差拡大と階級の固定化について、2022年の最新データをもとに明らかにし、「日本における階級社会のリアルな姿」を徹底解説しています。
さらに、貧困・不安定雇用・教育格差・ジェンダー・新型コロナの影響など、複合的に広がる格差の現状を、社会調査に基づいた事実から読み解く意義深い一冊です。
本書は以下の8部構成から成っています。
1.「新しい階級社会」とは何か
2.新しい階級社会が生まれるまで
3.五つの階級:それぞれの生い立ちと日常
4.哀しみのアンダークラス
5.男の階級・女の階級
6.人の階級はどうやって決まるか
7.階級格差を拡大させた新型コロナ
8.格差をめぐる対立の構図と日本の未来
本書の前半では、「中流幻想」がいかに崩れたか、その構造と背景が丁寧に説明されています。主なポイントは以下の通りです。
◆ 高度成長期の“全員中流”は、実は一時的な幻想に過ぎなかった
◆ 1980年以降、正規雇用の減少と非正規雇用の増加が階級の分断を生んだ
◆ 学歴と親の経済力が、次世代の階級を固定化している
◆ 社会的流動性は低下し、“親ガチャ”が現実となった
◆ 格差が「見えにくい」構造こそ、日本社会の深刻な問題である
この本の中盤では、具体的に日本社会を構成する「五つの階級」について、その生活実態が描かれます。主なポイントは以下の通りです。
◆ 支配階級・新中間階級・旧中間階級・労働者階級・アンダークラスという五層構造
◆ アンダークラスの多くは非正規雇用であり、生活の不安定さが常態化している
◆ 大卒であっても、親の資産やコネのない層は「階級上昇」が難しい
◆ 女性や単身者がアンダークラスに陥りやすい現状
◆ 「見えない分断」が進み、階級ごとに異なる日常と価値観が固定化している
本書の後半では、コロナ禍による格差の再拡大と、ジェンダー間の階級格差にも踏み込みながら、今後の社会の方向性について警鐘を鳴らします。主なポイントは以下の通りです。
◆ コロナ禍は非正規雇用者やひとり親世帯など、社会的弱者に深刻な打撃を与えた
◆ 階級とジェンダーが交差し、女性の貧困が新たな社会問題となっている
◆ 学歴・職業・収入・居住地などが組み合わさって階級が固定化される構造
◆ 階級意識の希薄さが、格差是正を困難にしている
◆ 日本が“分断社会”に陥らないためには、社会政策と再分配の改革が不可欠である
この本の締めくくりとして著者は、「日本社会に階級はない」という“建前”の裏にある現実を直視することの重要性を訴え、「目を背けず、変革の契機とすべきだ」と力強く語っています。
「中流ではないことを責められる社会」ではなく、「どんな階級であっても尊重され、チャンスが保障される社会」へ――そんな未来への希望を抱かせてくれる一冊です。
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では、今日もハッピーな1日を!【3786日目】