書評ブログ

『60歳からの教科書 お金・家族・死のルール』

60歳は「第二の成人」だとして、「人生とは足し算でも引き算でもなく、意外なもの同士を掛け合わせる『掛け算』だ」と提唱している本があります。

 

 

本日紹介するのは、1955年生まれ、東京大学経済学部を卒業し、株式会社リクルートに入社、東京営業統括部長新規事業担当部長などを歴任し、同社フェローとして独立、その後、都内では初の義務教育民間校長として杉並区立和田中学校の校長を務め、様々な改革を実施、橋下徹大阪府知事の教育政策特別顧問佐賀県武雄市特別顧問奈良市立一条高等学校校長などを務めた教育改革実践家藤原和博さんが書いた、こちらの新刊書籍です。

 

 

藤原和博『60歳からの教科書 お金・家族・死のルール』(朝日新書)

 

 

この本は、60歳で新しい時代の成人となるあなたに、自分の「希少性」に気づいてもらうところからスタートしている「60歳からの第二の人生の教科書」です。

 

 

本書は以下の部構成から成っています。

 

1.希少性-自分を「レア化」する

2.お金-自分の「物語」を豊かにする道具

3.家族-無限の「ベクトル」合わせ

4.死-死に方を決める「連峰型エネルギーカーブ」

5.自立貢献-貢献せよ、さらば自立せん

 

 

この本の冒頭で著者は、「稼ぎの本質」とは一体何でしょう、と問いかけています。

 

 

そして、「時給」を職業別に表した図を掲載しています。時給の概算「年収÷年間総仕事時間」で算出され、時給800円のハンバーガー店・コンビニバイト(フリーター)から時給8万円の世界レベルのコンサルタントまで、100倍の差がある、と述べています。

 

 

この両側には、時給を伴わない「ボランティア」時給を超えた存在の「起業家・スタープレーヤー」がいます。

 

 

本書の前半では、「希少性」について、次のポイントを説明しています。

 

◆ 稼ぎの本質は「希少性」

◆「みんな一緒」から「それぞれ一人ひとり」へ

◆ 20世紀の成長社会から、21世紀の成熟社会への分岐点

◆ 成熟社会の特徴は、多様化、複雑化、変化しやすい

◆ 情報処理力から情報編集力へ

 

◆ 100万人に1人になるための三点魔法陣

◆「希少性」が上がるかどうかは、3点目のポジションが決め手

◆ 三角形の面積の大きさが「希少性」

◆ 希少性を高めるチャンスをつかむる「安売り」

◆ 三点魔法陣をピラミッドにしていくのが次の一手、ピラミッドの体積は「信用度」

 

 

この本の中盤では、「お金」および「家族」について解説しています。主なポイントは以下の通りです。

 

◆ 人生はクレジットゲーム(収入や支出の本質とは?)

◆ 時間の質を変えるには、「減らす、やめる、断る」の「時間の断捨離」

◆ 時間の断捨離に有効な「免罪符」(自分の病気か身内の不幸)

◆ 人生の方向性を確かめる「報酬マトリックス」(経済的価値と権力・プロの2軸)

◆「絆を結ぶ物語」にのみお金を使う

 

◆「ベクトルの和」の法則を活かす

◆ 会社と個人の新しい関係

◆ リクルートの成長を支えた「採用への投資」と「皆経営者主義」

◆ 子育ては共同の新規事業

◆ 家族の営みは、無限の「ベクトル合わせ」

 

 

本書の後半では、「死」および「自立貢献」について考察しています。主なポイントは以下の通り。

 

◆ あらゆる組織は無能化するという「ピーターの法則」

◆ 死に方とは生き方なり

◆ まあるい昇進体系をつくる

◆ エネルギーカーブは、富士山一山型から八ヶ岳連峰型へ

◆ 三点魔法陣をピラミッド化した本線に加えて、「支線」を走らせて山並みを豊かに

 

◆ 人生とは、「起きていた60時間をどう過ごしてたか」

◆「人生は有限」と意識することで、強まる意識は「今ここ」を大事にする気持ち

◆ 人生の終わり「死」を意識することは、「生」を色鮮やかにデザインすること

◆ 人生の豊かさは「コミュニティ」の豊かさで決まる

◆ 芸術的に生きるとは、アール・ド・ヴィーヴル」の概念に基づく「他者と物語を紡いでいく生き方」

 

◆ 貢献することで自立できる

◆ 元丸紅の谷川洋さんの60歳からのベトナム、タイ、ラオスに学校を建設する挑戦

◆ 3点魔法陣の3点目は60歳からでも作れる

◆ 子どもの成長に大切な「ナナメの関係」

◆ コミュニティとは、「脳がつながる場所」

 

 

著者の藤原和博さんは、オンラインセミナーでは「人生の賞味期限を延ばす」ことを提案しています。そのために大切なのは、自立して世の中に役に立つ(貢献できる)「希少性」である、と提唱しています。

 

 

この考え方に私は強く共感して、今年出版した最新刊の拙著『定年ひとり起業』(自由国民社)では、できるだけ長く働き「生涯現役」「生涯貢献」を目指す働き方を具体的に提案しました。併せてお読みいただくと、実践法がさらに詳しく理解できてお薦めです。

 

 

 

この本の締めくくりとして著者は、「三点魔法陣」の「旗」の高さを伸ばしていく上で、美意識と哲学はとても大切だ、と述べています。

 

 

美しさに対する意識と、人生に対する洞察がないところに、人は集まってきてはくれないからです。

 

 

あなたも本書を読んで、「死に方」を自ら決める「連峰型エネルギーカーブ」「人生は掛け算だ」という意味を、改めて深く考えてみませんか。

 

 

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では、今日もハッピーな1日を!【2628日目】