「現在の70代くらいまでは昔の同年代と比較すると身体的に十歳くらい若いように見受けられます。『余生と言うには長過ぎる』これが本書の主要読者層と思われる、定年退職後の方々の実感ではないでしょうか。」と述べている本があります。
本日紹介するのは、1960年大阪府生まれ、東京大学医学部卒、東京大学医学部付属病院精神神経科助手、米国カール・メニンガー精神医学学校国際フェローを経て、現在は精神科医、和田秀樹こころと体のクリニック院長の和田秀樹さんが書いた、こちらの書籍です。
和田秀樹『六十代と七十代 心と体の整え方』(バジリコ)
この本は、現代の日本社会における高年世代の位相、老化の意味、メンタル面・フィジカル面でのケア、そして充実した人生を送るための日常生活におけるちょっとしたヒントについて述べた書です。
本書は以下の7部構成から成っています。
1.人生百年と言うけれど
2.高年世代よ、反逆の旗を振れ
3.老化と病気
4.心の整え方
5.体の整え方
6.暮らしの中の知恵
7.あとがきにかえてーあるがままに
この本の冒頭で著者は、「一口に高年と言っても各年代によってその特徴は異なります。」と述べて、六十代、七十代、八十代の特徴とその違いを説明しています。主なポイントは次の通り。
◆ 六十代は「現役感」が強いが、サラリーマンには「定年」という大きな出来事がある
◆ 五十代くらいから前頭葉の萎縮が進み、「感情の老化」が始まる
◆ 五十代から男性ホルモンが減少し、意欲が低下する
◆ 六十代は親(八十代、九十代)の介護に直面する
◆ 女性は六十代以降、男性ホルモンが増加して活動的になるが、骨粗鬆症のリスクが
◆ 七十代は自立した生活が送れる最後のステージ
◆ 八十代以降を「オールド・オールド」と呼ぶのが妥当
◆「老化」という自然の摂理を受容せざるを得なくなるのが八十代という人生のステージ
本書の前半では、「高年世代よ、反逆の旗を振れ」および「老化と病気」について解説しています。主なポイントは以下の通りです。
◆ 医療現場における高年者差別
◆ 定年は差別制度
◆ 団塊世代は競争を潜り抜けた精神的耐性がある
◆ 老いるショックは誰にでも起こる
◆ 人は「心」から老化する
◆ 認知症より怖い「老人性うつ病」
◆ 死因は、がん、心疾患、脳血管疾患、肺炎の順
◆ 老衰という病
この本の中盤では、「心の整え方」および「体の整え方」について、著者の見解を説明しています。主なポイントは以下の通り。
◆ 高年期の不安は、「あるがまま」の森田療法で
◆ 仏教の「生者必滅会者定離」
◆ 仏教の「生老病死」の四苦
◆「愛別離苦」「怨憎会苦」「求不得苦」「五蘊盛苦」わ合わせて四苦八苦
◆ 人生=「苦」とは、「思い通りにならないこと」
◆ 美味しくて調和のとれた食事をとる「医食同源」
◆ 高年層は、もっと「肉」を
◆ 三度の食事は大切に
◆「ややポチャ」の体型が理想的な体型
◆ 鎌田式ストレッチと散歩
本書の後半では、「暮らしの中の知恵」について、以下のポイントを紹介・説明しています。
◆ 高年者にとって「がまん」は美徳じゃない
◆ ネットを活用して脳を活性化
◆ 生涯現役でアンチエイジング
◆ 介護はチームワーク
◆ クスリと書いてリスクと読む
この本の締めくくりとして著者は、「人は誰でもオンリーワン」だと述べています。
あなも本書を読んで、「老いること、病むこと、死を迎えることの本質」を理解し、高年であることを正面から受け止め、なおかつ楽しく日々を送ってみませんか。
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では、今日もハッピーな1日を!【2762日目】