「東京に今、大きな転機が訪れようとしている。東京都の総人口が2025年にピークアウトするのをはじめ、東京圏が本格的な人口減少社会へと突入する」と述べて、「われわれに突きつけられているのは、古き良き東京を一度捨て去り、人口減少時代に適した『新・東京モデル』へと転換することである。」と提唱している本があります。
本日紹介するのは、作家、ジャーナリストの河合雅司さんと不動産プロデューサーの牧野知弘さんが書いた、こちらの書籍です。
河合雅司・牧野知弘『2030年の東京』(祥伝社新書)
この本は、2030年の東京がどうなるかを可視化して、現状のまま突っ走ったならば、どんな未来が待っているのかを、テーマごとに明らかにすることを目的とし、未来を変えるための対応策の提言を、対談スタイルで提示している書です。
本書は以下の9部構成から成っています。
1.はじめにー激変の入口に立つ「2030年の東京」(河合雅司)
2.プロローグー東京住男(仮名・60歳男性)の1日
3.仕事はこうなる
4.家族はこうなる
5.街、住まいはこうなる
6.暮らしはこうなる
7.老後はこうなる
8.エピローグー地方暮子(仮名・30歳女性)の1日
9.おわりにー2040年の東京(牧野知弘)
この本の冒頭で著者のひとり、河合雅司さんは、本書は不動産コンサルタントの立場で「東京の在り方」に繰り返し警鐘を鳴らしてこられた牧野知弘さんと、人口減少問題を専門とする私(河合雅司)が、それぞれの立場からアプローチし、2030年の東京を切り取ろうという試みである、と述べています。
本書の前半では、「仕事はこうなる」について、以下のポイントを説明しています。
◆ 東京の「集積経済」の発想は転換期
◆ テレワークで「死んだ時間」を「生きた時間」に
◆ ジョブ型雇用時代はリスキリングが必要
◆ 仕事の棚卸しで「得意なこと」「できること」に気づく
◆ DXに付随するテクノロジーや知的財産権は必須のスキル
この本の中盤では、「家族はこうなる」および「街、住まいはこうなる」をテーマに対談が掲載されています。主なポイントは次の通りです。
◆ 東京では病院が逼迫して手術が半年待ちに
◆ 単身高齢者の急増
◆ 東京第3世代は、アドレスフリーでノマド的な働き方に
◆ 東京は一人暮らしに合った街で新各社社会に
◆ タワーマンションはニュータウンと共通で、次世代に引き継がれるのか
◆ 再開発が止まらない中、人口減少下の開発を考えるべき
◆ 縮む街に合わせて何をすべきか
◆ 災害への脆弱性が課題
本書の後半では、「暮らしはこうなる」および「老後はこうなる」という予測について、対談がなされています。主なポイントは以下の通り。
◆ 東京でも増える「買い物難民」
◆ 商店の復活と百貨店の存続
◆ 高齢者向けエンタメマーケット
◆ 所得格差の拡大が招く治安の悪化
◆ 70歳への定年延長と働き方の変化
◆ 老後資金とライフプランに正解はない
◆ 大量相続時代の到来
◆ 低所得者向け高齢者住宅の整備を
この本の締めくくりとして著者のひとりである牧野知弘さんは、「東京はすごい。人々のエネルギーが結集し、ひたすら生産を続ける。経済は成長し、その果実を真っ先にたくさん味わうことができる。それが東京の価値であり、その最先端で、東京と共に人生を織りなしていった自分がいる。」と述べています。
あなたも本書を読んで、「2030年の東京」を展望して、働き方や家族、住まい、暮らしをはじめとする老後のライフプランを考えてみませんか。
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では、今日もハッピーな1日を!【2704日目】