みなさんに「100歳まで生きたいですか?」と質問をすると、あまり積極的ではない答えが返ってきます、と述べている本があります。
本日紹介するのは、1965年神戸生まれ、大阪大学大学院人間科学研究科教授(老年心理学)、日本老年社会科学会・理事、日本応用老年学会・常任理事で、2010年から東京都健康長寿医療センター研究所、慶應義塾大学医学部と共同で、高齢者の縦断調査SONICを開始している権藤恭之さんが書いた、こちらの書籍です。
権藤恭之『100歳は世界をどう見ているのか』(ポプラ新書)
この本は、国内外のさまざまな調査データの紹介と、また100歳の人たちのエピソードを交えつつ、100歳が世界をどう見ているのかを考えている書です。
本書は以下の5部構成から成っています。
1.人の寿命はどこまで延びるのか
2.スーパー高齢者たち
3.100歳の現実
4.100歳の人は幸せか ―「老年的超越」を手がかりに
5.幸せな100歳を迎えるために
この本の冒頭で著者は、これまでに会った100歳以上の人500人以上から、もともと持っていたイメージとは異なり、身体機能が衰えて、自由度が低くなっていても、幸せを感じる人が少なくない、100歳以前とは異なる価値観や、日常生活の新たな楽しみ方によって、「私は幸福だ」と答える方が少なからずいる、と述べています。
本書の前半では、「人の寿命はどこまで延びるのか」ついて以下のポイントを説明しています。
◆ 日本の100歳以上は9万人
◆ 100歳を超えることが当たり前に
◆ 世界最長寿者男性は朝5時起床、20時就寝の規則正しい生活
◆ 百寿者はタイムマシン
◆ 幸せな長生き人生とは「生涯現役」
この本の中盤では、「スーパー高齢者たち」および「100歳の現実」について解説しています。主なポイントは次の通りです。
◆ 高齢でも筋力は増加する
◆ チャレンジを続ける100歳超のスーパー高齢者
◆ 高齢者の体力は改善している
◆ 90歳代後半で認知症発症率は34、38%、100歳以上で56、65%で女性が多い
◆ 90歳以上の要介護は男性50%、女性70%
本書の後半では、「100歳の人は幸せか ― 老年的超越を手がかりに」および「幸せな100歳を迎えるために」ついて説明しています。主なポイントは以下の通りです。
◆「自立していない=不幸」ではない
◆ 年寄りには年寄りの楽しみがある
◆ 宇宙とつながり、生死の区別が弱くなる
◆ 時間を感じて、時間や空間を超越する
◆ SONIC研究で明らかになった超高齢者の幸福感
◆「自分のこと」から「世界のこと」へ
◆「誠実性」が長寿の秘訣
◆ 世界の長寿地域「ブルーゾーン」の光と闇
この本の締めくくりとして著者は、「年を取るということに対して常にポジティブに考えることが難しいのも事実です。ポジティブとネガティブの両方を感じているのが自然なのです。」と述べています。
さらに「付録」として、以下の通り「100歳と付き合うための5つの方法」を紹介しています。
1.あるがままを受け入れる
2.効率、能率を押しつけない
3.できるだけ安心を与える
4.時には昔の話を聞く
5.超高齢者の幸福感が高いことを知る
あなたも本書を読んで、「老年的超越」の謎を学び、100歳人生を目指してみませんか。
この本の締めくくりとして著者は、「20年前と比べると、現代の高齢者は実にさまざまな機能が向上しています。時代とともに老化のスピードは遅くなり、高齢期の開始は先送りになりました。体の健康に留意すれば、老いの先延ばしはある程度可能です。」と述べています。
あなたも本書を読んで、「老年的超越」の謎をデータで読み解き、100歳は世界をどう見ているのかを探ってみませんか。
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では、今日もハッピーな1日を!【3490日目】