阪本節郎氏は、1975年早稲田大学商学部を卒業後、博報堂へ入社。プロモーション数理管理モデルの開発などに従事し、企業のソーシャルマーケティングの開発を理論と実践の両面から推進した。
現在は、博報堂エルダーナレッジ開発 新しい大人文化研究所の所長で、中央省庁や自治体、独立行政法人、放送局などの委員会委員を歴任している。
本書は、少子高齢化が世界でも例を見ない速度で進行する日本において、40代から60代のシニアと呼ばれる世代の人々に対するアンケート調査の2,700名分の回答を踏まえて、今後のこれら世代の考え方や生活のトレンドを展望している。
50歳を超えた人々は、シニアと呼ばれることを受け入れず、アメリカのAARP(全米退職者協会)で使用している50+(フィフティ・プラス)という呼び名の方が相応しいだろう。
本書において阪本氏は、「50歳を超えたらもう年をとらない」 と考える人々の、46の法則を挙げている。私も50歳代として、感銘を受ける部分が多い。とくに印象的なものを以下に紹介しよう。
1.ジーンズの似合う大人になる
2.これから人生最高のときを創ろうとする
3.「成熟した人」 でなく、「センスのある人」 になる
4.肩の力を抜いて自然体でいる
5.新しいライフスタイルを自分たちから生み出そうとする
6.会社はリタイアしても社会はリタイアしない
7.先端を走り続けてみる
8.介護予防、健康ケアを自分のタスクにする
9.素敵な大人の二人になる
10.新しい旅のスタイルをつくる
11.食を楽しみずっとグルメ
12.肉好きな人は栄養バランスで健康に
13.エンタテイメントを楽しみ続ける
14.新しい大人文化の担い手になる
15.過去と現在とこれからに感謝し、若い精神を持ち続ける
人口の年齢構成だけでは、高齢社会は語れない。50歳を超えた世代、50代・60代以降の人々の意識やライフスタイルは大きく変貌しつつある。
暗い展望ばかりが流布される日本の高齢社会だが、ぜひ本書が伝えるメッセージを多くの日本人に読んでもらいたい。40~60代の人たちに心から推薦する書だ。