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西條由貴男・アンディ中村『あなたの知識をお金に換えて副業講師で月10万円稼ぐ!』(秀和システム」)

西條由貴男氏とアンディ中村氏は、ともに副業講師として活躍している。西條氏は、独立系副業講師、つまり独立自営業者や経営者でありながら、セミナーや講演を本業のPRや副収入としている講師だ。

 

一方、アンディ中村氏は、サラリーマン副業講師、つまりサラリーマンとして働きながら休日に副業として講師を行って収入を得ている。本書では、独立系、サラリーマンともに月10万円を副業として稼ぐ講師になることを薦めた本だ。

 

講師業と一口に言ってもいろいろあり、大きくは次の3つのジャンルに分かれる。

 

1.講演講師
2.セミナー講師
3.研修講師

 

講演講師は、受講者に感動を与え、モチベーションアップを図ることを目的として、内容的には講師の経験談や考え方を伝えることが中心だ。講演の場合は、話の内容よりも講師の個性やタレント性に重きが置かれることが多く、芸能人や元スポーツ選手など有名人が活躍する分野だ。

 

また、セミナー講師は、90分から120分という時間設定が多く、効率的に知識やノウハウを伝えるのがポイントだ。したがって、コンテンツが重要になるが、ピラミッド・ストラクチャーというツールを使うのが有効だ。それは、ロジカル・シンキングの一手法で、伝えたいメインメッセージを複数の事実から成るサブメッセージで伝え、聴き手の納得感を高める手法だ。

 

具体的には、以下のようなストラクチャーとなる。

 

1.メッセージ
2.学説・理論
3.事例
4.講師の実例(体験談)

 

2~4がすべて冒頭のメインメッセージ(伝えたいこと)を補完し、それを支える根拠や理由になっていることで、聴き手には説得力を持って伝わっていく。以上のことをスライド資料などを使って複数の題材を採り上げる事で、セミナーのコンテンツとなる。

 

最後に、研修講師だが、これは経営課題の解決を目的とする物で、コンサルティングの要素がポイントになる。研修前のコンセプト作りが大切で、事前の経営コンサルティングが必要fだ。

 

研修の構成としては、以下のような手法が有効だ。

 

1.ペアワーク
2.グループワーク
3.ディスカッション
4.ロールプレイ
5.ケーススタディ

 

また、研修講師の場合は、講演やセミナーと違って、上から目線は受講者の反発を招くので要注意だ。同じ目線か少し下からの目線で丁度よい。研修の場合は、もともとイヤイヤ参加する、やらされ感満載の受講者も多い。

 

研修はあくまで受講者が主役で、講師は脇役に徹する、という心構えが重要だろう。

 

以上のように、講師業にもさまざまな形態があり、どれが得意かは講師のパーソナリティによる。著者たちのお薦めは、すべての形態を経験した上で、自分の得意分野を発掘し、それぞれの形態のいいところを採り入れることで、自分独自の講師スタイルを身につけることだ。

 

将来、講師を副業にして稼ぐことを目指す方々には役に立つ書だ。一読を薦めたい。