書評ブログ

薬袋善郎『TIMEを読むための10のステップ』(研究社出版)

薬袋善郎(みない よしろう)氏は、東京大学法学部を卒業した異色の英語講師で、駿台予備校、代々木ゼミナールなどで教鞭をとり、英語リーディングに関する多数の著書を出版している。

 

英語リーディングに関して学ぶならば、薬袋氏の著書を抜きにはできないだろう。そんな中で本書は、多くの学習者が英語リーディングの教材としてチャレンジするが挫折するTIMEを読むための指南書だ。

 

薬袋氏は、予備校講師として20歳前後の若者に英語を教えているが、近年は大学入学後の英語学習を念頭に置いて、「TIME」 や 「News Week」 を読めるようになりたいとの要望が多いため、「TIMEで学ぶ英語構文」 のような講座を行うようになった。

 

受講生は単語の難解さに四苦八苦しながらも、内容がリアルタイムで興味を魅かれる内容ゆえ、何とかこなして好評だという。本書は、そうしたTIME を扱った講座における予備校生からの質問および著者の回答から、社会人に役立ちそうな内容を厳選して編集したものだ。

 

「TIME」 は、論理的思考力を鍛える絶好の教材で、受験生の時に初めて 「TIME」 に触れ、大学生になってからも 「TIME」 から離れずに少しずつでも親しんできた人は、例外なく TOEIC や TOEFL で楽々と高得点をあげているという。

 

それだけ、「TIME」 にはすぐれた英文が掲載されており、読解は難しいが、確実に力がつく教材と言えるだろう。本書は、独力で読み続けることが難しい 「TIME」 という雑誌に取り組む上で羅針盤になるような存在だ。

 

本書は、「TIME」 購読の心構えから、具体的な読解のツールやコツまで、具体的なアドバイスが満載されている。例えば、以下のような内容だ。

 

1.いつもカバンに 「TIME」 を2冊
2.わからなくても読み飛ばす勇気を
3.広告を眺めることから始めよう
4.記事をデータで保存する
5.TOEIC 対策になる 「TIME」
6.カンマとダッシュを意識しよう
7.同士の見極めが読解のカギ
8.準動詞の活用を知ろう
9.言い換えを見抜こう

 

本書の最後には、これからの勉強法と参考文献の一覧があって、今後の英語学習に大いに参考になる。

 

本気で英語を学びたい学生、社会人ともにぜひ読んでもらいたい一冊だ。心から推薦したい。