書評ブログ

第3回読書交流会での推薦書6冊

2015年3月7日(土)13:30~16:00にて開催された「第3回読書交流会」において、参加者から発表のあった「推薦書」を紹介します。全部で6名の方が紹介スピーチを行いました。

 

 

前回および前々回と同様に、今回も淹れ立てのドリップコーヒーを飲みながら事前交流会として自己紹介や近況報告など和やかな雰囲気の雑談タイムがありました。

 

 

定刻を少し過ぎた頃に発表の順番がスムースに決まり、ひとり5分間の「推薦書」紹介プレゼン質疑応答、感想フィードバックなどがそれぞれについて行われました。今回はかなり活発な質問、意見交換、コメントが続いて面白かったです。

 

 

 

今回の交流会で推薦のあった書籍は以下の通りです。まず最初に30歳代男性のこちらの本です。

 

 

マーティ・O・レイニー『内向型を強みにする』(バンローリング)

 

 

 

この本は、米国の心理療法士で、内向型人間に関する研究の第一人者であるマーティ・O・レイニーの著書です。「外向型」ソーラーパネルに喩え、「内向型」充電式バッテリーに喩えているところが分かりやすくユニークです。

 

 

 

著者によれば、米国人では「外向型」が75%、「内向型」が25%の割合だそうです。日本人は比率が逆転しているような印象がありますがいかがでしょうか。

 

 

 

著者は米国オレゴン州ポートランドに在住し、米国とカナダでワークショップや講演を行っており、丁寧なアドバイスが好評を博しているそうです。

 

 

 

次に紹介があったのは50歳代男性のこの本です。

 

 

磯田道史『天災から日本史を読み直す』(中公新書)

 

 

 

この本は最初に、秀吉と二つの大地震(天正地震と伏見地震)との関係について知られざる史実が述べられています。地震が無かったとしたら歴史が変わっていたかも知れないという事実に驚かされます。

 

 

 

私たちは大災害について、起きた直後は衝撃を受けて記憶も鮮明ですが、時を経るにしたがって記憶は風化してしまい、また同じような防災上の不備や誤りを繰り返しています。

 

 

 

2011年3月の東日本大震災もそうでしたし、昨年夏に起きた広島の土砂災害過去に起きていた災害の再来でした。私たちはなぜ過去の歴史や教訓に学べないのか、考えさせられる書です。

 

 

 

 

3番目の「推薦書」30歳代男性が持ってきたこの本です。

 

 

遠藤周作『沈黙』(新潮文庫)

 

 

 

この本は、キリシタン迫害史を背景とする緊迫の物語で、神の存在を問い、信仰の根源を衝いてくる日本と西洋の思想・文化の対立を描き出した小説です。発表者によれば「愛とは何か」を説いた、しびれるような書きぶり、ということです。

 

 

 

重たいテーマだけに拒否反応が起きたり、衝撃を受けたりと、読者の受け止め方は様々でしょう。今回の「読書交流会」でも本書を読んでいた参加者は多く、様々な受け止め方が話題になりました。

 

 

 

4番目の発表は40歳代女性による、こちらの「推薦書」です。

 

渡邉格『田舎のパン屋が見つけた「腐る経済」』(講談社)

 

 

 

この本は、資本主義、利潤、搾取、虐待など、現代社会の矛盾は「この世を滅ぼしかねない」と危惧する発表者の心を捉えた一冊です。

 

 

著者の渡邉さんは父親とともに1年間ハンガリーに滞在した経験を持ち、千葉大学園芸学部に学んで有機農法に興味を持ちます。「腐る経済」とは、自然の発酵を繰り返す普通のパン、素材の良さを生かした経済を提唱するものです。

 

 

どんどん悪い方向に向かって進む現代の資本主義や格差社会を象徴するテーマで、私たちに「正しいあり方とは何か」を考え直させてくれる書です。

 

 

次に5番目の「推薦書」は、40歳代女性の発表にあった、こちらの本です。

 

 

杉本鉞子『武士の娘』(ちくま文庫)

 

 

 

この本は、日本人が米国で書いたものですが、翻訳本です。発表者によれば「背筋がピーンとなる気持ち」にさせられる記述が続くということです。

 

 

 

穏やかな中にも威厳のある「武士」の心をしっかりと受け止めている娘の振る舞いを描いています。英語版の原書は AmazonKindle では本日現在、何と90円で入手可能です。以下のタイトルになります。私はすぐに購入してしまいました。

 

 

Etsu.Inagaki.Sugimoto 『A Daughter of the Samurai 』(English Edition)[kindke版]

 

 

 

 

 

最後6番目の発表者は50歳代男性で、「推薦書」はこちらの本です。

 

 

清水良典『書きたいのに書けない人のための文章教室』(講談社)

 

 

 

この本は、ありきたりの文章を書いても読み手の心に残らないため、自分独自の文章を書くことを説いた書です。なかなか文章を書けない人のためのガイドであり入門書です。

 

 

 

日常の出来事について「メモを取る」ことによって、自分オリジナルな文章を書けるようになることを薦めていて参考になります。

 

 

 

 

以上、今回の「推薦書」6冊は全てが読みたくなるような魅力あふれるプレゼンでした。ぜひ6冊とも入手して読了したならば、今後のコラムで順次、紹介していきたいと思います。

 

 

 

また、第1回および第2回の「読書交流会」における「推薦書」はこちらのコラムからご覧いただけます。

 

 

http://bit.ly/1CbWgQn

 

 

http://bit.ly/1xjZYS1

 

 

 

皆さんも、本を通して人柄を知ることができる「読書交流会」にぜひ参加してみませんか。素敵な本との出会いもきっとあると思います。

 

 

 

では、今日もハッピーな1日を!