書評ブログ

成毛眞『本は10冊同時に読め!』(知的生きかた文庫)

成毛眞氏は元マイクロソフト日本法人の社長で、現在は投資コンサルティングを行う株式会社インスパイアの代表だ。ビジネス界きっての読書家として知られており、多くの新聞・雑誌に書評を寄せている。この『本は10冊同時に読め!』は、強烈な読書推奨本だ。

 

自分の価値は読書量で決まる、本を読まない人間はサルである、本嫌いの人とつき合う必要はない、使える金はすべて本に注ぐ!など、強烈な言葉が並ぶ。読書をしない人、嫌いな人は読むに堪えないだろう。

 

読書が3度の飯と同じくらい好きな私でも、「ここまで言うのか」と、驚き呆れるくらいのインパクトだ。成毛氏はこの本の中で、とにかく全く違うジャンルの本を同時並行で読んでいくことを推奨している。

 

私は関連するジャンルの本を集中的に読んで、取り敢えず一定レベルまで学んで極めていくタイプなので、読書の仕方は違う。違うけれども、他分野や異なる業界、ジャンルの発想を組み合わせるところから革新的なアイデアや付加価値が生まれる、という主張には全く同感だ。

 

アップルのCEOとして、次々に革新的な新商品を出し続けたスティーブ・ジョブズは、コンピュータ以外の様々な分野、文化などに並々ならぬ興味・関心を持っていたという。あの大ヒットした i Phone のシンプルなデザインは、日本の「禅」の精神が元になって発案されたのは有名な話だ。

 

本書の最終章は、「私はこんな本を読んできた!」 というタイトルで、成毛氏の推薦本が出てくるのだが、正直、私の読んでいる本とは殆どかぶっていない。

 

著者の博学ぶり、多才ぶりには驚くばかりだが、私の興味・関心とは大きく違うようだ。読書家にもいろいろあることがわかって勉強になった。

 

その中で唯一、一致していたのが、野中郁次郎ほか 『失敗の本質』 (ダイヤモンド社)だ。これは旧日本軍が太平洋戦争でなぜ敗北したかを保有戦力や戦闘能力の格差ではなく、戦略の面から分析した書籍である。

 

経営書とも位置づけられる、この名著については、また別の機会に紹介することにしよう。成毛氏の強烈な読書推奨本『本は10冊同時に読め!』を読み、実践してみることをお薦めしたい。