書評ブログ

定年前起業の壁『なぜ名刺交換をしても仕事につながらないのか?』

定年前起業を目指す人は、新しい顧客を獲得するために、多くの人が様々な交流の場名刺交換をします。しかしながら、名刺が増えてもいっこうに仕事に繋がらないと嘆く人が多いのではないでしょうか。

 

本日紹介するのは、そんな方にぴったりの、こちらの書です。

 

笹原隆生・中島由雅『なぜ名刺交換をしても仕事につながらないのか?』(同友館)

 

この本は、小さな会社のPR力アップアドバイザーの笹原隆生さんと10分で和む税理士の中島由雅さんが書いた、「名刺交換から仕事に繋げる方法」を具体的に書いた書です。

 

著者ふたりの数多くの失敗や成功の経験がもとになった実践的な内容です。本書の構成は以下の8部から成っています。

 

 

1.なぜ名刺交換が大事なのか?
2.どうやって仕事に繋がる新しい人と出会えるのか?
3.名刺交換前に準備しなければならないこと(自己紹介編)
4.こんな会社や人こそ名刺の効果がでかい

 

5.次に繋げるための名刺交換だけで終わらせないトーク術
6.初回訪問は訪問回数を増やす第一歩
7.共同で顧客開拓ができないかを考えてみる
8.名刺交換の達人がやっている!ちょっとした仕掛け作り

 

 

本書はまず、仕事に繋がる出会いの場所から紹介が始まります。異業種交流会セミナーなど、名刺交換をする出会いの場は多くありますが、それぞれの場所の特徴や、そこでの心構えなど、貴重なノウハウが開示されています。

 

また、上記の4部めに述べられている「名刺の役割」はたいへん興味深い内容です。著者によれば、名刺の効果を営業に活かせるのは、次のような方々です。

 

 

◆ 多くの宣伝費用を使うことが難しい中小企業や個人事業主
◆ 初対面の人と話すのが苦手な人や早口で話す人
◆ 同業他社との差別化を伝えたい士業やコンサルタント
◆ 起業して実績が浅い会社
◆ 新卒で入社した営業経験がない営業マン

 

 

このような会社や人は名刺を上手く活用することで、素早く相手に自分のことを伝えることができます。例えば、自己紹介が長くなりそうなら、「裏面に自己紹介が書いてあるので読んでください」と声をかけるだけで、長い自己紹介をしなくて済みます。

 

実際に名刺を変えただけで、以下のような変化があった人は何人もいます。

 

 

◆ 名刺に書かれている仕事内容について具体的に質問された
◆ 初対面でも会話が盛り上がり、後日、警戒されずに気軽に訪問できた
◆ 営業経験がない新卒の営業マンでも売り込まず自然に商品の説明ができた
◆ 名刺交換をして1年後ぐらいに問い合わせが来た

 

 

これらは実際に起こった例です。名刺こそ、最大の宣伝ツールなのです。名刺を重視する人と軽く見る人に分かれますが、著者によれば、名刺の役割は「仕事に繋がるきっかけ作りの営業ツール」です。

 

名刺が「営業ツール」として持つ機能は次の3点です。

 

 

1.同業他社より覚えてもらうこと
2.名刺交換した人から仕事について関心を持ってもらうこと
3.あなたのことを思い出してもらい問い合わせをしてもらうこと

 

 

 

本書ではその後、「名刺の目的」について記しています。「名刺で何を伝えるのか明確にしておこう」と著者は提唱しています。名刺の目的は、名刺で何を知ってほしいのか、ということですが、主に以下の2つです。

 

1.誰にどんな仕事が得意なのか知って欲しい
2.仕事よりも自分という人間性を知って欲しい

 

目的が違っていても、名刺を作るポイントは同じなのです。本書には、名刺の実例写真も出てくるのですが、表面の冒頭(一番上)に、キャッチコピーが来ます。

 

さらに表面には顔写真(なるべく仕事をしている動きのある写真)と連絡先が明記されています。また、名刺の裏面は、「プロフィール」「こんな悩みにお応えします」という具体的な実績や商品・サービスの特徴を分かりやすく書いておくことが大切です。

 

著者によれば、名刺で最後に入れてほしいのが「行動喚起」の情報です。商品・サービスに関心を持った人が、次にどんなアクションをして欲しいのかを明確にすることが重要です。

 

また、数種類の名刺を、ターゲットに応じて使い分けるために複数の名刺パターーンを用意したり、名刺は状況に合わせて改定・進化させていくべきものだ、と著者は言っています。

 

本書を読めば、名刺それを交換する時のトークがいかに大切かが心の奥底から理解できるでしょう。新規顧客の獲得や集客が課題という方は、ぜひ本書の一読をお薦めします。

 

では、今日もハッピーな1日を!