書評ブログ

中山治『ゆとり受験の方法』(JICC出版局)

中山治氏は、慶応義塾大学大学院社会学研究科で博士課程を修了した心理学者で、臨床社会心理学を専門とする。

 

心理学の知識を勉強に応用した著書を多数、出版している。とくに中学受験を扱った書籍は数多くのファンに支持され、受験ママたちの読者が多い。

 

本書は、中学受験をテーマとした著書の代表作で、三田誠広著『パパは塾長さん』(河出書房新社)と並んで「中学受験の古典」とも言うべき本だ。

 

中学受験は、まだ自らの意思で進路を判断できない小学生が受験勉強を強いられるということで、親の受験になりかねない。

 

「わが子を燃え尽き症候群にしないために」というサブタイトルが付いている通り、受験を終えて中学校に入学した後に、子どもが燃え尽きてしまわないように、ゆとりを持った中学受験を勧めている。

 

受験本は、文部科学省が「ゆとり教育」を打ち出して以降、中学受験をはじめ、急激に出版が増えた。「受験は要領」と説く精神科医師の和田秀樹氏を初め、多くの論客も出てきた。

 

受験や勉強法については、様々な主張があり、多くの意見が戦わされているが、すべての受験生に正しいという理論はない。

 

そうした中で、中山氏の著作は一読すべき見識だろう。受験に取り組む全ての親子に読んでもらいたい。