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三谷宏治『経営戦略全史』(ディスカバー21)

三谷宏治氏は、ボストン・コンサルティング・グループやアクセンチュアに勤務して活躍したトップ・コンサルタントで、現在は社会人教育をはじめ学校や保護者向け教育を中心に活動中だ。

 

本書は、経営戦略100年の発展史を一気に読める、珠玉の書だ。ビジネス革新をめぐる巨人たちの論争や経営戦略理論の変遷が、時代背景とともに理解でき、類書のない優れた一冊だ。

 

本書に登場する主な経営戦略理論は以下の通りだ。

 

1.テイラーの 「科学的管理法」
2.メイヨーの 「人間関係論」
3.フェイヨルの 「経営管理プロセス」
4.アンゾフの 「アンゾフ・マトリックス」 と 「SWOT分析
5.BCGの 「成長・シェア・マトリックス」 や 「PPM理論」

 
6.ポーターの 「5フォース分析」 と 「バリュー・チェーン」
7.ピーターズの 「エクセレント・カンパニー」
8.ストークの 「タイムベース競争戦略」
9.ハマーの 「リエンジニアリング」
10.ハメルとプラハラードの 「コア・コンピタンス」

 
11.マッキンゼーの 「イノベーション戦略」
12.センゲと野中の 「組織ラーニング」
13.バーニーの 「VRIOフレームワーク」
14.キャプランとノートンの 「バランス・スコアカード」
15.キムとモボルニュの 「ブルーオーシャン戦略」

 
16.ゴビンダラジャンの 「リバース・イノベーション」
17.グーグルの 「超・試行錯誤型経営」
18.IDEO・ブラウンの 「デザイン思考」
19.リーブスの 「アダプティブ戦略」
20.ドラッカーの 「経営論」 や コトラーの 「マーケティング理論」

 

主要な経営戦略理論はすべて網羅され、しかも当時の論争や時代背景、とくに米国を代表するトップ企業の変遷がわかって、理論についての理解が一気に進む。

 

本書は「ハーバード・ビジネス」レビュー誌(2014年1月号)で発表された、ベスト経営書2013年の第1位に選ばれている。とくにポーターを筆頭とするポジショニング派と、バーニーを代表とするケイパビリティ派の論争について、その変遷が分かって興味深い。

 

経営コンサルタント」は必読、経営に携わるトップや幹部もぜひ読んでおきたい良書だ。