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あなたの「運」をよくする方法

あなたの「運」をよくする方法があると言ったら、知りたいと思いませんか。「運」とは何かを知ってコントロールする方法を科学的、合理的に考えてみましょうと呼びかけている本があります。齋藤孝明治大学教授のこちらの本です。

 

齋藤孝『運の教科書:「うまくいく人」はこう考える』(筑摩書房)

 

この本は、「運」についての考え方をしっかり持つことで、心を強く前向きにしていこう、というメッセージを伝えるための書です。「運」についての考え方をはっきり持つためのガイドブックという意味で、タイトルを『運の教科書』としています。

 

「運がいい人」「運が悪い人」がいるなら、誰でも自分は運がいいほうになりたいと思います。人間は強い存在ではありませんので、人間の力ではどうにもならないものにすがってしまうのは仕方がないと言えるでしょう。

 

天変地異や病気、死など、自分たちの力ではいかんともしがたいものに対して、「加持祈祷」「おまじない」、「お祈り」、「おすがり」などが古代からずっと生きつづけています。

 

そこに「科学」の考え方が入ってきました。古代ギリシャのアルキメデスの物理学に始まり、ガリレオ・ガリレイの天文学を経てニュートンに受け継がれます。

 

ニュートン「観察と実験」という実証主義を科学の基本とし、近代科学の基礎をつくりました。さらに論理的な思考を提唱したデカルト『方法序説』の中で、「自分の思考力で自分自身の基礎をつくっていこう」と宣言して、神中心から人間中心の考え方を説きました。

 

それまでの「運」頼みでお願いしてきた時代から、科学的な思考が重視される時代になってきました。現代は、「運」に頼る人と、「科学的、合理的に考えるべきだ」という人が併存している時代です。

 

 

はたして「運」とは何なのか「運」をよくする方法はあるのか、ということを科学的・合理的に考えてみよう、というのがこの本のテーマです。この『運の教科書』は以下の5部から構成されています。

 

1.「運」の正体をみきわめよう
2.「運」という龍に食われるのか、乗りこなすのか
3.「運」がいい人とは、どんな人なのか
4.「運」を引き寄せるには、どうするか
5.「運」はコントロールできる

 

 

この本は、上記の5部それぞれの最後に「まとめ」が記されていて、イラストも入った図で表現されています。これが頭の整理にとても有効で、それまで読んできた要旨を整理して次に進めます。

 

この本で定義する「運」とは、①エネルギーであり、②「思い」であり、③機会であり、④しつこさ、です。自分でどうしようともできないもの、という側面がある一方、「運」は自分の力でどうにかなるものでもあります。

 

「運」に対する考え方には様々なものがあり、主として次の4つを押さえておくと有効です。

 

1.仏教: 「運」に頼らない悟り
2.ビジネス: 自分自身をコントロールして「運」を動かす
3.実存主義: 「運」のせいではなく、すべて自分の選択による
4.快楽主義: 「運」より快楽が大事

 

 

次に本書では、「運」がいい人として次の3つの要素を挙げています。

 

1.感性を磨いた人
2.バランス感覚がいい人
3.揺れが少ない人

 

 

そして「運」を引き寄せるには次の4つが大切だと結論づけています。

 

1.基本原理を持つ
2.レジリアンスを身につける
3.優先順位が高いことからやる
4.誰についていくかが重要

 

 

最終的にこの本では、「運」はコントロールできるとしていて、以下の5つを行うよう推奨しています。

 

1.「自尊心」を大切にする
2.軽々と進む軽やかさを身につける
3.武器になる「ルール」を持つ
4.精神状態をニュートラルにしておく
5.ラッキーグッズに頼らない

 

 

上記の中でとくに2番目の「軽々と進む軽やかさ」は著者の齋藤孝さんが普段から実践している「体のバランス」や「リズム」を重視する経験からきていて興味深く感じました。

 

この本で述べられていることはいずれも奥深いもので、齋藤さんの「教養」や「成功体験」が滲み出ているように感じます。「運」をよくするには、「運」のいい人を真似るのが有効だと私は考えていて、齋藤さんの「強運」を私も大いに参考にさせてもらっています。

 

皆さんも「運」を正しく捉え、科学的にアプローチして「運」をコントロールしてみませんか。

 

では、今日もハッピーな1日を!